ドイツの生活費の額を計算するためには、どのレベルの生活水準なのか、というところをまずは明確にしなくてはいけません。要するに、社会人感覚で毎日レストランで美味しいものを食べるのと、学生気分で自炊に徹するのとでは、かかる額はまったく異なります。
今回は「語学学校での生活」に絞って、具体的に毎月いくらくらいの出費があるのかを見ていきたいと思います。
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ドイツの生活費
上述のように、もちろん出費の額は生活水準に応じて異なりますが、一つの指標として、以下のサイトが参考になります。これは、ドイツの一般的な大学生の、その都市における生活費の試算をおこなったものです。

ドイツの生活費(地域ごと)
http://unicheck.unicum.de/lebenskostenrechner
写真の中で、左側の地図を選択すればその地域ごとの平均生活費が出てきます。右には、ドイツ全体の生活費の平均がのっています。具体的には、以下のような出費が、ドイツで生活するにあたって必要になる、と書かれています。
- Miete inkl. Nebenkosten(光熱費込みの家賃):263,40ユーロ
- Ernährung(食費):156,90ユーロ
- Kleidung, Wäsche, Körperpflege(衣類、洗濯、ボディケア):56,99ユーロ
- Verkehrsmittel(交通費)35.3~125.83ユーロ
- Krankenversicherung, Arztkosten, Medikamente(保険、医療、薬代):75,72ユーロ
- Telefon, Internet, Rundfunk- und Fernsehgebühren(電話、インターネット、ラジオ、ラジオ受信料):47,02ユーロ
- Lernmittel(学用品費):37,00ユーロ
以下、それぞれの項目に関してみていきたいと思います。
1.Miete inkl. Nebenkosten:263,40ユーロ
(光熱費雑費込の家賃)
学生の費用なので、キッチン付きの個室のアパートではなく、一つの区画をみんなでシェアするWGのような、皆安いところに生活しています。WGやホームステイでも、都市によりますが300€前後が相場で、多くて400€といったところでしょう。Nordrhein-Westfalen近辺は根が張りますが、それでも300~400€前後です。400€を越えると、ちょっと払い過ぎ、といった感じです。
語学学校に通う場合、学校側が斡旋してくれるホームステイ、あるいはWGなどの形式がありますが、ホームステイの場合、後述するような雑費はすべて込み込みなので、割とお得です。
また、大都市での生活の場合、小さな個室で500€、600€といったケースもあります(フランクフルトなど)。語学学校での生活に限るのであれば、学生都市など、生徒の流出入が多く、部屋が借りられやすい都市をお勧めします。
2.Ernährung:156,90ユーロ
(食費)
ドイツの学生の月平均食費は157€、日本円で2万円、といったところです。昼食をとる場合、主にドイツの学生の間では「メンザ(大学にある学食)」が主流で、語学学校の生徒でも、この学食を利用することが可能です。このメンザで、大の大人がお腹いっぱい食べるには、おおよそ5ユーロ前後を見ておく必要があります。毎日食べれば、5ユーロ×30日ですので、昼食だけで150€に達してしまいますね。ケバブなど、ファーストフードも大体3~4ユーロのレンジで食べることが可能です。
語学学校に通い始めると、学生証のようなものが支給されるはずです。これをもって、ドイツの語学学校に通う『Schüler(Schülerin:女性の場合)』という扱いになり、学食で割引が適用されます。
一方、レストランを利用したり、居酒屋に行くとするとさらに費用がかさみます。下の写真のようなスパゲッティは6~7ユーロしますし、居酒屋に行くのであれば毎回最低でも10ユーロはみておいたほうがいいです。
こうした外食ばかりを繰り返すと必然的に食費は高くついてしまいますが、逆に、スーパーで野菜などの材料を購入し、自炊に徹すれば、逆に食費は安く抑えられます。と、いうのも、ドイツの場合、税金の関係で、外食関係にはたくさん課税されている分高いのですが、スーパーで買えるような生活必需品は税金も安く、庶民には助かる仕組みなのです。
例えば、スーパーで購入可能な冷凍食品は1~3ユーロです。
また、ビールもスーパーで買えば1ユーロ前後で購入できます。お米1キロ3ユーロ、パスタ500グラム1~2€、玉ねぎやジャガイモといった根菜の値段は日本より安いくらいですので、生活費に困っている場合は、自炊が主な食事手段になります。
自炊を中心に、一週間に1回のみに行く程度でしたら月の食費は200ユーロくらいで済みます。逆に、毎日メンザ、毎日レストラン、のような生活を続けるのであれば、300ユーロ以上はみておきましょう。
3.Kleidung, Wäsche, Körperpflege:56,99ユーロ
(衣類、洗濯、ボディーケア)
衣類は人の好みによると思います。買う人はたくさん買うでしょうし、日本から持ってきたもので十分な人は必要ないでしょう。
ただ、ボディーソープや髭剃り、女性であれば化粧品の類などは微妙に消耗品として費用が掛かるところです。
ただ、男性向けのこうした消耗品はそこまで高くありません。髭剃りも普通のものでしたら2~10ユーロ程度ですし、シャンプーも1~3ユーロくらいで購入可能です。
衣服に関しては、夏物はそこまででもありませんが、冬服(特にコート)は高いので、日本から持ってくることをお勧めします。
また、ホームステイの場合問題ないのですが、一部のWGには洗濯機が存在していないので、その場合、必然的にコインランドリーを利用することになります。一回2ユーロ程度ですので、月に10回くらい利用すると20ユーロです。
4.交通費35.3~125.83ユーロ
交通費に関しては、上述のインターネットサイトでは車ありバージョンと公共交通機関バージョンがありましたので、それぞれのせておきます。
- Laufende Ausgaben für ein Auto: 125,83ユーロ
恒常的な車の費用 - Ausgaben für öffentl. Verkehrsmittel:35,30ユーロ
公共交通機関の費用
語学留学をしている日本人で、わざわざドイツで車を買う人はそういないと思います(中古だと30万円くらいでも買えますが)ので、公共交通機関前提で話をすすめます。
このサイトには、月の交通費は35ユーロと書かれていますが、これはおそらく妥当な数字です。バス代の定期券を買うのであれば、月にそれくらいですし、バス代の定期券をけちるのであれば、自転車が必要です。町の中心部に家を借りると高くつきますし、この辺はロケーションに応じてことなりますが。
日本でも、ほんのそこまで出かけたい、などの際に自転車はやはり重宝します。また、私の場合学校までバスで15分の距離なのですが、途中で止まる駅が多いし、夏場の朝などは自転車で通学するほうが快適だと言うことで自転車を購入しました。
ちなみに、大学生になるとセメスターチケットと言って、市内のバスや鈍行列車に乗り放題になる学生証が入手できます。
これに付け加えて、語学学校滞在中に旅行に行きたい場合など、その費用も見ておく必要があります。ドイツの交通費は高いです。
5.Krankenversicherung, Arztkosten, Medikamente:75,72ユーロ
(保険、医療、薬代)
保険代は、以前ビザのところでちらっと触れました、ドイツに語学留学するためには語学学校向けのビザが必要で、そのためには「Care concept」や「Step in」などが主流です。それぞれ毎月30ユーロ程度、70ユーロ程度です。
あとは、これに加えて、薬局で処方された薬代金がかかるようなイメージです。
基本的に薬局ではお手持ちの健康保険は適用されないものと思っていてください。そして、ドイツの薬は微妙に高いことが多いです。
上述の医療の記事で書きましたが、ドイツの薬代は保険も効かず値段も高いので、注意しなくてはいけませんが、それでも年間にそう何度もかかるものでもありませんので、年に薬代としては5~60ユーロみておけばいいと思います。
保険、医療費に関しては、ドイツの正規大学生になると事情が少し変わってきます。
6.Telefon, Internet, Rundfunk- und Fernsehgebühren:47,02ユーロ
(電話、インターネット、ラジオ、テレビ受信料)
ドイツではラジオ、インターネット、テレビなどの受信料を請求する手紙が送られてきます。月額17ユーロ程度を、日本でいうNHKの受信料のようなノリで払うことになります。もっとも、ホームステイやWGに住んでいる人は、この受信料に関しては支払う必要はありません。一つの家でまとめて払っておけばいいので、アパートとかを借りる際に必要になるくらいです。
また、電話に関してはプリペイドを用いると思いますので、その場合やはり月10~20ユーロくらいは見ておいたほうがよいのかな、という印象です。
7.Lernmittel:37,00ユーロ
(学校用品費)
最後に、語学学校の場合、勉強をしに来ているわけですので、文房具や教科書などを買う必要が出てきます。
特に、Test DaFなどのドイツ語試験に対して対策をする場合、市販のドイツ語の本や雑誌などを買ってきて、リーディングに慣れる必要があります。こうした自己学習の部分も、費用の計算に入れておきましょう。
合計
というわけで、全ての費用を足してみると、このサイトを活用して計算すると、ドイツの学生が一ヵ月に必要な生活費はデュッセルドルフで『672,31ユーロ(95,000円程度)』という計算になります。
また、先に紹介したサイトの左側の地図の部分をクリックすると、地域ごとの平均生活費が閲覧できる仕様になっています。日本でも東京と鹿児島とで生活費が全く違うように、ドイツでも生活費には都市によって差がでてきます。
例えば、ドイツ国内で安い都市とされているのがFreiberg, Zwickau, Weimerなどで、700ユーロ(10万円程度)を切るくらいの生活費、Freibergに至っては665ユーロで生活できる計算になっています。
逆に生活費のワーストに名を連ねているのがLudwigsburg, Sigmaringen, Friedrichshafenなどで、どれも1200ユーロ~1400ユーロ、Ludwigsburgに至っては1440ユーロ(20万円程度)という驚きの結果です。
これらの結果には『車代』が込みになっているので(ドイツ人学生の車保有率は高い、中には馬を持っている学生もいる!)、これを取っ払うとここからもう少し減額される形になりますが、それでも都市によっては1000ユーロ以上は見ておく必要があります。
実際の生活費
さて、これはあくまでドイツの学生の平均値ですので、実際に日本人がドイツで生活してみたらどうなのか、というところを最後にまとめます。
上述の記事では一ヵ月の平均は672ユーロでしたが、結論からいうと以下のような形です(私の実体験)。
- 家賃:300ユーロ
→語学学校在学中はホームステイ。 - 食費:300ユーロ程度
→アルコール、タバコ込。昼飯はレストランやメンサ、夜は週に2回程度飲みにいくが、食事は済ませてから行く。自炊も織り交ぜつつ。 - 交通費:0ユーロ
→自転車通学だったので、初期費用のみ。 - 医療費:不明
→3~4ヵ月に一回、風邪をひいたら薬を処方してもらう程度。 - 雑費:20~30ユーロ程度
→ノート、シャンプー、髭剃り、電池などの消耗品。
これに加えて、携帯のプリペイドが切れたら買いますし、冬が来たら冬服を買いますので、月平均で700~800ユーロ、といったところでした。
問題は、これらの内訳には『レジャー費用』が含まれていないということです。ドイツにいるのでサッカーが見たい方、映画や登山や旅行を楽しみたい方は、当然その都度費用が掛かります。
ただ、日本国憲法で定められているように『健康で文化的な最低限度の生活』を維持するのであれば、やはり月に700~800ユーロ程度が分水線になってきます。
参考までに、以前私が熱で10日程度倒れた際は、タバコもレジャーも一切やめ、ひたすら粗食と水で乗り切ったら、一日3ユーロ程度の生活費でいけましたので、無理矢理頑張れば、『一ヵ月100ユーロ』(家賃は別)での生活も不可能ではありません。
ただ、そんな生活をしていたら体に悪いので、無理なく生活するにはやはり700ユーロ、日本円で10万円は用意しておきたいところです。