私が日本の会社を退職したのが2013年、26歳の時です。現在、4年が経過し、私も30歳になりました。30歳と言えば、日本の会社に残っていたらそこそこの役職についていたころでしょう、もしかしたらもう結婚していたかもしれません。
かつての同僚が出世の道を上り、幸せな家庭を築いていく中、私は一人、レールから外れ、ドイツに移住しました。そこで、語学学校に通い、孤独に試験勉強をし、ドイツの大学院に入学し、悪徳な家主と戦い、ドイツ人の友人を作り、ドイツ人と恋愛をし、インターンシップを経験し、と、様々なイベントが発生しました。
最後に残された課題は、「ドイツでの就職」です。
スポンサーリンク
ドイツでの就職は簡単ではない
結論からいうと、私は2社からオファーを貰いました。一つはドイツの中小企業で、一つはイギリスの企業で、最終的にドイツの中小企業で働く道を選びました。私の行きたかったドイツの大会社からは、仕事のオファーはおろかインターンシップのオファーもらえませんでした。
ドイツの大学に在学していて気付いたのは、私のように大学院からドイツで勉強を始めた人間は、ドイツ人に対抗できるソフトスキルを持っていない、という点です。私の前職は営業です。これは、言語が完璧である、というコンテキストで初めて、優位性を持ちます。
一方、私がドイツでドイツ人以上に上手い営業を行うことは困難です。もちろん、私は英語もドイツ語も話せますが、ドイツ人以上に上手くは話せませんし、ドイツ人同士にしか分からない機智、あるいは感情的な信頼感、というものもあるでしょう。
また、大学の成績の問題もありました。後半随分巻き返したとはいえ、一般的に「優秀な学生」とみなされる1.8のラインには到達できませんでした。私の友人の中国人などで、大学の学部からすでにドイツで勉強を始めたような生徒は、さすがに語学もより堪能ですし、試験の勝手もわかっており、成績がいい分、もうちょっといいところに就職していました。まあ、よそはよそ、うちはうちです、私にはこのくらいが関の山でしょう。
と、いうわけで、私はとりあえず、ドイツの大企業への就職をあきらめました。厳密には、もう一社、上海で就職する気があるなら紹介する、という話が合ったのですが(つまり、外資企業の中国支社のこと)、私の目的はとりあえず「ドイツで働く」ことですので、この選択肢は除外しました。
最終的に以前インターンをしたドイツの中小企業からのオファーを受け、しばらく働いてみることにしてみました。
ドイツにおける就活
さて、ドイツで就活をするにあたって、会社の入り口は二つあります。正面から戸を叩くか、裏口から訪問するか、です。
正面とは文字通り、Web上で普通に応募することです。インターネット上にはたくさんの情報が出回っていますし、中にはリクナビのような応募サイトも存在します。こうしたWebからの応募が、一般的なドイツにおける就活の窓口になります。
そしてもう一つの裏口ルートというのが、教授や友人などの口利きです。別にやましい意味ではなく、これはドイツではれっきとした就活手口の一つとして認められています(いわゆるVitamin Bという造語)。実際に、欧州では約3割が、こうした「知人の紹介」を通じて就職先を見つけています。
紹介だからといって、面接や学歴がすべて免除される、というわけではありません。ただ、人事部にストレートで通じたり、表立って応募していない職種の情報が入手できる、というような話です。ですので、普通に落とされることもざらです。私も一件、ドイツ人の友人の伝手で大企業の公開されていない求人をダイレクトにつないでもらいましたが、私のスキル不足でオファーをもらうことはできませんでした。
私が就活をするにあたって利用したのは、前者と後者が半々くらいの割合でした。と、いうかまだ本腰を入れて就活をしよう、という前からすでにいろんな友人づてにアジアの金融マーケットに詳しい大学院生を探している、という話がちらほら入ってきており、ついでにインターンに応募した結果、そこでの長期インターンのチャンスを得て、最終的に採用にいきついたわけです。
ですので、私の場合、本格的に就活をする前にすでに終わってしまいました。もしかしたらもっといい企業に入れたかもしれませんし、もしかしたら私の場合たまたま運よく仕事が早く見つかっただけかも知れません。話を聞くところ、ドイツで職を得るのはそう簡単ではないようなので、多分後者でしょう。
あまり特定されたくないので、職種や企業の立地などは伏せることにしますが、そこまで大きな企業でもないですし、そこまでいい給料でもありませんが、一応これで「ドイツで就職する」という当座の目的は果たされました。
これにて、会社を退職してから足掛け4年にわたってのドイツ留学記は終了です。最後に、今までの時間軸をまとめておきます。もちろん、ドイツ語レベルやインターンの有無などで違いは生じると思いますが、会社を退職してからドイツの大学院を卒業するまで、4年前後は見ておいたほうが良いでしょう(語学勉強、インターンなどすべて含む)。
退職(2013年)
↓2ヵ月
ドイツの語学学校に入学
↓7ヵ月
TestDaFの試験に合格(奇跡!)
↓2ヵ月
英語B2レベルの合格
↓2ヵ月
大学院合格
↓3ヵ月
大学院入学
↓3年(うちインターン9ヵ月含む)
大学院卒業・就職(2017年)
一応留学記は終了ですが、今後もいろいろとドイツの生活についてまとめていきたいと思います。