私のドイツ留学8:ドイツのWGで悪徳家主と戦った話

日本人のドイツ人に対するイメージは厳格、真面目、時間を守る、という優等生のようなものかも知れませんし、そのイメージは基本的にあっていると思います。しかし、ある人はこういいます「なんでドイツに自動販売機が無いのか知ってる?夜中に壊されるからだよ」。

ドイツは法治国家です。逆に言えば、法を守れば何をしても許される、と考えている野蛮な輩も中には多く存在します。これは、法治国家の限界でしょう。人が「良心」と呼ぶものを、まったく持ち合わせない人間も、この世には存在するのです。

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ドイツの悪徳家主との対決

さて、私の大学生活は、このようないわゆる良心を持たない、ドイツ人家主とのバトルから始まりました。彼は、WGを営み、難民を利用して法律すれすれのところで利益をあげるような人間でした。

現在、ドイツには難民が多く存在します。その難民への補助費は、国から支給されています。ですので、難民は金になるのです。こうした難民を食い物にする「難民ビジネス」なるものがドイツには存在します。

要するに、毎月彼らに支給される補助費のピンハネです。私の家主は、どうした理屈か、難民の補助費が直接彼の懐に入り込むような仕組みを作り上げていました。それも、市場価格の2倍もの家賃をもらって。

私の場合、適当に決めてしまったので、運悪くこの悪質な家主にぶちあたってしまいました。さらに、事前のメールでのやり取りでは300ユーロという話だったにも関わらず、いざ到着すると、330ユーロの契約書にサインさせられました。

私はすでに重い荷物を抱えてその街に来ていますし、すぐにセメスターが始まるので、ここで今から「他の家を探す」とは言えません。結局、毎月30ユーロも多く支払うことになりました。

さらに、上述のように難民だらけの家ですので、到底、勉強する環境ではありません。特に、アフリカ難民は、大勢友達をよび、毎日パーティをしています。注意しようにも、彼らは英語もドイツ語も話せないのでどうしようもありません。

引っ越しから1ヵ月くらい経つと、さすがにここでは長く暮らせない、と悟りました。困っていたところ、どうやら、下の階に同じように引っ越しを考えているドイツ人の学生がいる、という話を聞きつけました。彼もまた、同じように適当に住居を決めて、このふざけた環境のWGを引き当ててしまったようです。

ドイツの弁護士を頼る

このドイツ人の学生は非常に頼りになる男でした。このWGがおかしいものだと知ると、すぐに弁護士に連絡を入れ、契約の無効を訴えられるかどうか確認をし始めていたのです。

我々の契約は「1年縛り」のものでした。法治国家のドイツでは、契約書の持つ効力は絶大です。ところが、彼は契約書に一つミスを犯していました。最終的に「1年縛り」の文言を入れつつ、おそらく、一部契約書の中身にコピペを利用したのか「3ヵ月前の通告を持って、退去は可能である」という文言も別のページに小さく残されていたのです。

弁護士によると、このように矛盾する文言が一つの契約書に含まれている場合、契約書を作成した家主の瑕疵であるとして、消費者有利に解釈可能、とのことでした。弁護士に20ユーロくらい払い、その「消費者有利」である証明の手紙を書いてもらい、それを添付して退去通告を家主に突き付けました。

念のため、手渡しではなく、内容証明の郵便で送ります。そうすれば、彼が退去通告の手紙を我々から受け取ったことを、否定できなくなるからです。こうして、難民キャンプに収容されて2か月後、退去通告の手紙を突き付けることに成功しました。最も、法にのっとっても、3ヵ月は退去ができませんので、それからしばらく難民たちとの暮らしが続きました。

難民たちの様子

ついでですので、私のこの難民たちとの面白い経験をまとめておきます。まず、難民には何種類かいて、アフガニスタン系の難民は、非常に礼儀正しかったのを覚えています。おそらく、私は同じアジア人系だから共感が働いているからかも知れませんが、彼らとは特段なんの問題も発生しませんでした。

対して、アフリカ系難民は私の常識の範囲外に生きていました。試験があるから静かにしてくれ、と言っても夜中の2時までキッチンで騒ぐ、トイレや風呂を壊す、絶えずドイツの政府に対し文句をいい、自分たちの現状に不満を言う。知っているドイツ語は「セックス」と「飯」だけ。

もちろん、これはあくまで私の経験した範囲内での話ですので、中には礼儀の正しくないアフガニスタン難民もいるでしょうし、謙虚なアフリカ難民もいるでしょうが、この現状を見て、私は難民の受け入れには反対するようになりました。いくら倫理的に望ましいことだとしても、彼らのような人間が家の近所にいたらだれでも気が休まらないでしょう。イギリスがEUを脱退した理由がなんとなく分かりました。