私のドイツ留学4:B2レベルへの突入とTestDafへの準備

ドイツ語の知識も、ドイツに住んだ経験もまったくのゼロからスタートしたため、最初の数か月、私はまるで幼稚園生にでも戻ったかのような不自由さを感じました。言葉だけではなく、習慣も文化も異なりますので、ことあるごとに改めて祖国の常識との「違い」を実感しました。

後々大学に入って勉強することになりますが、新しい文化に適合するかどうかは、その国でいかに積極的にコミュニケーションの場に赴き、失敗をするかにかかっている、とのことです。

もとい、私は日本にいたときからそこまで優秀な人間ではありませんし、基本的に失敗しようが恥をかこうがあまり気にしない性格でしたので、とりあえずできることは色々試すようにしていました。その、「できること」の幅がぐんと広がったのが、ドイツ語の語学レベルでいってB1~B2レベルくらいになったときのことです。

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机の上の学問から実践的なコミュニケーションへ

B1レベルくらいまでは、語学の勉強は机の上や、クラスルームで行われることが多いのですが、その時期を乗り越えると、今度は、実践を通じて語学の勉強がはかどるようになっていきます。

B1のレベルが終えられるまで、2ヵ月くらいかかりました。このレベルになってくると、ドイツ語を勉強するクラスメイトも、割とガチで大学受験を目指していたり、ドイツ永住を目指している人が多いので、おのずと、コミュニケーションもドイツ語になります。

年齢層も、大学受験を目指す高校生もいましたが、大学院受験を目指す25歳前後くらいの層、仕事でドイツ語を使う30歳前後の層など、割と豊富になり、A1レベルのころと比べて、付き合い安くなってきました。

また、この時期から、語学学校経由でタンデムパートナーを紹介してもらいました。タンデムパートナーとは、お互いに語学を交換し、勉強できるようなパートナーのことで、この場合、日本語を勉強したいドイツ人のことです。

これは、のちのち気づいたことですが、ドイツ人の中にもいろいろいて、やはり、海外経験のあるドイツ人は、我々日本人に対しても寛容ですし、ゆっくり話してくれます。これは多分、日本人の中でも外語大とか、留学経験者のほうが海外慣れしている分、外国人に対して壁を感じにくい、というような感じでしょうか。

中には我々ドイツ語初心者と話すときもお構いなしに早口のドイツ人もいますし、ゆっくりと、簡単なドイツ語を選んで話してくれるパターンのドイツ人もいます。

私のタンデムパートナーになったのは後者のタイプで、私の言語能力向上に非常に役立ってくれました。アジア数か国に滞在経験のあるドイツ人で、日本にもいたことがある、とのことで日本語を勉強していました。

これも後から気づきましたが、大体外国人が日本語を習う理由は限られていて、アニメ・漫画が好き、日本人の女の子をナンパしたい(日本人は英語が話せないので、そのためにはこちらが日本語を話す必要がある)、あとは文化に興味がある、ビジネスで必要、などの理由です。

私の引きあてたタンデムパートナーは(おそらく)下心半分、ビジネス目的半分でしたが、年齢も近いこともあり、語学学校滞在中に知り合ったドイツ人の中で一番の友達になりました。

結局、この彼をタンデムパートナーとして引き当てたことが、私のドイツ留学の難易度をかなり引き下げました。留学のための情報はもとより、いろいろドイツ人の友人を紹介してくれるので、生きたドイツ語に触れる機会も増え、スピーキング能力+リスニング能力が格段に向上しましたし、単純に「現地の学生」に慣れる価値もありました。

私のほうは非常に役立ったのですが、彼のほうは日本語の勉強に飽きたらしく、最終的にはただの仲のいい友達、というくくりになりました。

B2レベルとTestDafへの準備

ドイツに滞在して、5ヵ月が経とうとしていました。この段階にくると、そろそろ受験の話を考え始めなくてはいけません。ただ、ドイツの大学といっても色々で、そもそもドイツ語を必要としない大学、英語が必要な大学、など色々です。

私は、この時期ドイツ語以外のことに注力する余裕はありませんでしたので、とりあえず「TestDaf」合格に全力を注ぎ、受かったらその後をことを考える、という投げやりな作戦にでました。

TestDafとは、ドイツの大学・大学院受験を志すものにとっての登竜門のようなもので、この試験でいい成績をとらないと、ドイツ語を必要とする大学院で勉強することができません。

年に開催されるTestDafは数回あります。私は、3ヵ月後にせまった次々回のTestDafでなんとしても合格することを心に決め、そのための予行演習として、1ヵ月後にTestDafを記念受験することにしました。

ちなみに、TestDafは一回当たりの受験料が20000円くらいかかる割と高額な試験なのですが、私にとって形式に慣れておくことは重要だと考えたので、20000円を予行演習代にあてることにしました。当然、周りの講師などからも止められます、やれ金の無駄だ、やれ時間の無駄だ、と。

まあ、予行練習とはいえ、折角ですのでちゃんと準備して臨みたいと考え、1ヵ月程度死ぬ気でドイツ語を勉強しました。やり方としては、1.ドイツ語の雑誌を買ってくる、2.その中のドイツ語の記事を読む、3.要約する、4.要約した文章を説明する、というやり方です。このやり方を使えば、一気にリーディング、ライティング、スピーキングの勉強ができます。

これを毎日1~2記事、受験日まで続け、語学学校の講師やタンデムパートナーに添削してもらいました。

そして、もともと受かるわけもないTestDafの試験に臨みます。季節は冬、ドイツに来てから7ヵ月経過しようとしていました。