私のドイツ留学10:大学生活への慣れと就活への準備

私はよく、性格的な問題なのか、ものごとを期待値に当てはめて考えるようにしています。こんなことをしたら恥ずかしいとか、そういった感情的なことは考えずに、損か得か、経験として有益か否か、と機械的に判断して行動しています。

その基準に照らし合わせれば、私にとって、ドイツ語で行動し、失敗することは別にマイナスにはなりません。どうせ失敗して当たり前ですので。と、いうわけで最初のセメスターはたくさん行動した分、たくさんの失敗を経験しました。

ただ、そんなことを繰り返していると、次第に慣れてきます。Social Leaning Theoryといって、心理学的にも分析されているように、失敗したか成功したかは問題ではなく、経験し、次に生かせるかが問題なのです。と、いうわけで、第一セメスターで絶望的な成績を残した私ですが、第二セメスターでは次第にその失敗を生かすようになってきました。

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物事への慣れ

最初に語学留学のためにドイツに降り立って、丸二年が経とうとしていました(日本への一時帰国含む)。とりあえず試せることは手当たり次第試しましたので、次第にドイツへの生活へも慣れてきました。

まず、講義の形式ですが、自分の最適な勉強方法を知りました。講師の言っていることをすべてノートに写すのではなく、まず、集中して聞き、要点だけを書き写します。

授業後の復習は、予習とともに効果的です。その、授業で知った内容を、誰かに話すとより一層効果的です。ちょうどこのころ、初めてのドイツ人の彼女ができたので、とりあえず今日の講義の内容などを説明していたところ、妙に頭に残るようになり、この勉強方法は効率が良いと気づきました。

友人との交遊も、慣れてきました。やはり、物事には得手不得手がありますので、自分の慣れないグループと、背伸びをしてまでツルむ必要はありません。自分の心地よい温度で遊びにいける仲間、講義を助けてもらえる仲間を作りました。

多分、このころから、ドイツでの生活が楽しいと感じるようになってきました。もちろん、授業は難しいですし、やることもたくさんありますが、何事にも慣れ、自分の安心できる場所ができたことで、ドイツに来たばかりのころの無力感や、大学が始まったころの疎外感を感じなくなってきたのでしょう。

二度目の期末試験

物事に慣れてきたこともあり、二度目の期末試験は一回目ほど破滅的な結果ではありませんでした。2セメスター目のみの結果で言えば、5つの試験を受験して平均成績は2.3です。2.0まではまだちょっと足りませんが、1セメスター目に落第しまくったのと比べると、大幅に進歩しました。

心にゆとりがでてくると、行えることの幅も広がります。海外旅行にちょいちょい出かけるようになりました。友人を訪ねにロシア、トルコ、フランス、など、ヨーロッパ各国を周ります。

ちなみに、ドイツでの授業は半分くらいドイツ語で、半分くらいは英語ですので、セメスターを通じて英語の力も大幅に向上しました。このことも、海外旅行に積極的に行ったり、新しい留学生に声をかけたりと、割と私の性格をアクティブにすることに貢献したかと思います。

将来の進路を考える

2セメスター目を終え、大学院生活も折り返しを迎えたところで、そろそろ卒業後の進路を真剣に考える時期に差し掛かりました。ドイツの大学院を卒業したからといって仕事が簡単に手に入るほど、ドイツは甘くありません。

ただ、折角ここまでドイツでの生活に慣れてきたので、日本に帰る、という選択肢は私にはありませんでした。どうにかしてドイツで就職し、こちらに残る道を模索します。

まず、ドイツで就職する場合、インターンシップ(Praktikum)という、本採用の前座段階のようなものが必要になります。これを、最低でも3ヵ月、できれば半年程度行いたいと考えていました。

ちょうど折よく、友人からの紹介で、ドイツの企業が日本で働けるインターンの学生を募集している、という話を聞きつけました。欲を言えばドイツ本国でインターンをしたかったのですが、そろそろ会社を辞めて3年が経とうとしている時期で、お金も次第に無くなってきたので、お金を稼ぎつつ一応ドイツの企業でインターンをする、という目的で、一旦日本に帰国することにしました。

ドイツの最後のセメスター

私の場合、最初の学期で単位を落としまくったので、実際4セメスターでの卒業が危うかったのですが、Urlaubsemester(休学システム)という制度を活用し、無事に「表向き」は4セメスターで卒業することに成功しました。

つまり、インターンをする、という名目で休学し、その休学期間中に次のセメスターの試験を勉強しまくる(ノートは友達に借りる)、これによって、私は最終的に成績を伸ばし、かつ無事に4セメスターでの卒業を可能にしました。

この制度を活用するため、実はドイツの某メーカーでもう一つインターンシップを3ヵ月行ったのですが、こちらもあんまり詳細人書いて特定されるのが嫌なのと、機密事項保持書類などの関係でどこまで書いていいか分からないのでここには書きません。日本の会社を辞めるときにもたくさんの書類にサインしましたが、たかがインターンのために、私はドイツで10近い書類にサインさせられました。さすが、お役所主義と言われるだけあります。

さて、このUralubsemesterを活用し、ついでに私は卒論のデータを集める作業にも着手し始めました。これも、ドイツの学生がよくやる手口で、休学中にデータを集めようが、論文を書き始めようが誰もなにも言いません。このように、ドイツでいい点を取るためには、いろいろな制度の抜け道を活用する必要があります。ルールにのっとっている限りでは、ドイツ人は非常に寛容です。