日本の大学生活というと、サークル、バイト、セミナーなど、学業よりもむしろ人間関係、社会関係の構築に重点が置かれているように思えます。それらは、実際に就活の時もたびたびアピールポイントとして活用されるのではないでしょうか。
一方、ドイツでは大学生活に関する捉え方が根本的に異なります。今回は、ドイツで就職するために後悔しないドイツでの大学生活についてまとめていきたいと思います。
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ドイツで後悔しない大学生活を送るには
まず、卒業後にドイツ、ないしはヨーロッパでの就職を考えていることを前提条件としましょう。そうでなければ、根本的に戦略が変わってきますので。ですので、今回の記事の主旨は「卒業後にドイツで就職するうえで後悔しない大学生活」です。
以前、ドイツの就職戦線で求められているものをいくつかピックアップしてまとめました。具体的には、大学での成績、職歴、語学スキル、などです。ですので、今回は、主にそれらの条件を充足するために、どのような大学生活を送ればよいのか、というところが焦点となります。
1.良い成績で卒業する
まず、ドイツの大学・大学院生の本分は学業であることを忘れてはいけません。ですので、いかに大学で良い成績を収めるのか、がドイツの大学生活における重要な関心ごとになってきます。
また、留年も好ましくありません。例えば、大学院生の目安となるセメスター数は「4セメスター」ですので、そのセメスターを越えての卒業となると、いささか人事部による覚えが悪くなります。
では、具体的に「良い成績」とはどのくらいなのでしょうか。一般的に、ドイツで受け入れられる成績としては「2.5以上」が挙げられています。実際に、多くの企業が、インターンなどの募集要項の条件をこの「成績2.5以上である」こと、と規定しています。
もうちょっと言うと、2.0以上であればさらに好ましく、シーメンスなどでは1.8以上をいわゆる「採用基準」にしているという話も聞きます。というわけで、まずドイツの大学生活における最大の焦点は、いかにしていい成績を残すか、というところにかかってくるわけです。
特に、後述するような「語学スキル」「職歴」などは、卒業後も積み重ねることができますが、大学の成績だけは、新しく大学に入りなおさない限り上書きすることができませんので、これは非常に重要だということを覚えておきましょう。
2.長期インターンを行う
今しがた「学生の本分は学業である」と書いたばかりですが、それと並行してインターンなどを通じた仕事経験を積むことも、ドイツでは非常に重要だと言われています。実際に、私の周りではほとんどの大学生が在学中に半年程度のインターンを経験しており、それがないと卒業後すんなり仕事を見つけるのは難しいと言われています。
この「長期インターン」とはアルバイトとは根本的に異なるもので、いわゆる会社でサラリーマンとして給料をもらいつつ、実際の職場と同じ環境で仕事をするわけですので、ほぼ職歴としてみなされます。
また、どの分野でもいいというわけではなく、できれば自分の専門や、卒業後に働きたい分野であることが望ましいでしょう。そのために、ドイツでは大学を休学することが一般的で、実際のところ、卒業が1年近く遅れますが、これはセメスターには換算されませんので、留年とは見なされません。
3.人間関係を構築する
ドイツでは人間関係は「Vitamin B」と呼ばれ、社会活動を営む上で重要なものごとの一つとしてみなされています。実際に、友人を通しての仕事の紹介などもドイツでは珍しくありませんし、そのほかにも、仕事上の手伝いや、卒論の手助けのように、日本人では難しいようなことも助けられる部分があります。
こうした「密な」人間関係を構築するうえで重要になってくるのが、やはり学生時代の繋がりでしょう。一緒にパーティに行ったり、旅行にいったり、場合によってはセミナーを一緒に受けたりと、学生ならではの付き合いがあればこそ、利害関係のない親友を作ることが可能です。
というわけで、学業やインターンの準備なども重要なのですが、ドイツで学生として生活するうえで、親友のような存在を見つけておくのも非常に重要です。
4.語学スキルを磨く
大企業はもちろん、中小企業で働くにしろ、語学スキルは必須です。ドイツ語はもちろん(理系ですと、英語のみでも可能な分野がありますが)、英語のレベルが多くの場面で問われてきます。ここで求められているのはTOEIC700点とかいうレベルではなく、ビジネスレベル、流暢レベル、すなわち「C1」のレベルです。
というわけで、大学院生活2年であれば、少しでも多く、ドイツ語と英語を話す機会を設けましょう。ドイツの語学コースで「C1」を取得した、というだけではまだまだ不十分です。仕事で通用するドイツ語を磨くには、たゆまぬ努力が必要になってきます。
ドイツで有意義な大学生活を送ろう
もちろん、最初に断っておいた通り、これらの項目はあくまで「ドイツでの就職」を目的とした際に必要になってくる事柄です。ですので、卒業後に日本で就職する、などの場合は、また違った項目が必要になってくるでしょう。
いろんな記事で書いてきましたが、ドイツの大学生活は楽ではありませんし、ドイツでの就職も楽ではありません。それでも、大学生活の中には旅行やパーティなど、楽しいイベントも盛りだくさんですし、多くの学生が学業とインターン、そしてプライベートのバランスをうまくコントロールしながら楽しんでいるのも事実です。
ただ無為に生活するだけでは就活の際に困ってしまいますが、あまりそれにばかり気を取られてしまうと、ドイツでのせっかくの学生生活が楽しめなくなってしまいます。何事も、ほどほどが大切です。