日本よりも難しい!ドイツの大学・大学院の期末試験の傾向と対策

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ドイツのセメスターは2期に分けられており、10月ごろから始まるWinter Semesterと、4月ごろから始まるSummer Semesterです。それぞれの学期の間には春休みと夏休みがあり、大学生活でうれしいイベントの一つでもありますが、その前には期末試験があり、それを乗り越えなくてはいけません。今回は、そうしたドイツの試験事情についてまとめていきたいと思います。

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ドイツの試験事情

日本の社会では、推薦入学を使ったりしない限り、高校、大学での成績はそこまで次のステップに響きません。高校の通知表がビリでも、試験でさえうまくいけば大学に合格できますし、大学での成績も、就職活動にはそこまで響いてきません。良くも悪くも、入学試験と、入った大学の名前でその後の人生が決まって来る、というわけです。

対して、ドイツの社会はそうではありません。まず、ドイツでは日本のように大学の入学試験が無い分(一部、あるところもありますが)、高校や大学での成績が重要視されます。逆に言えば、高校、大学での成績が悪いと、どんなに本番の面接などで頑張っても、巻き返しがきかない、ということです。

例えば、大学での成績に関してですが、どれくらいが望ましいのかというと、私の周りで大学院に進学する人の成績は、1点台がほとんどです。1点台というのは、日本のGPAシステムに置き換えると、A,B,C,Dで、通知表にAとBしかないような状況です。

もちろん、2点台の人も中にはいますが、大学(高校)での成績が悪ければ悪いほど、将来の可能性が狭まっていきます。入れる学部、働ける会社、さらには、大学や大学院に入学した後も、奨学金の申請、インターン、留学の申し込み、果ては学校でのアルバイトの申し込みでも、大学の成績の提出が求められてきます。

この辺で、ドイツの大学での試験の重要性が分かっていただけるかと思いますが、出席を友達に頼んでおいて、一夜漬けで備えて単位のもらえる日本の大学とは勝手が違うのです。最低でも私は、一つの試験につき2週間前から勉強を始めますし、出席点もつかないのに毎回講義に出席しています。私だけでなく、毎日のように飲み歩いている遊び人であっても、クラブ通いのチャラ男であっても、講義にはしっかり来ます。それだけ日々の積み重ねが必要になってくるのです。

ドイツの試験システム

続いて、ドイツの試験システムに関してです。まず、私の大学ですが、何回か試験のチャンスがあります。例えば、10月から始まる冬学期であれば、12月、2月、4月くらいに試験を受ける機会があり、試験勉強が間に合わなかったり、どうしても用事がつかない時などは、別の試験日程を選ぶことができます。

試験の形式はまちまちで、センター試験のような選択問題の場合もあれば、少ない問題をがっちりエッセイ書かせる問題もありますし、計算問題もあります。辞書、電卓、参考書、ノート、これらの持ち込みは講師によりますが、基本的に辞書と電卓は持ち込み可能になっているところが多いです。ただし、電子辞書は禁止ですので、紙の辞書を用意しておきましょう。あと、試験中は時間がないので、辞書を引いている時間はあまりありません。

試験当日は、学生証を持っていきます。これで本人確認をするような形です。試験は鉛筆ではなく、ボールペンを使わなくてはいけません。当然、不正行為は禁止されており、確認され次第厳罰を持ってのぞまれます。

試験後は、大体1ヵ月くらいすると結果がインターネット上で確認できます。ドイツの成績は1~5で分かれており、1が最高、5が最低ですが、4と5は不合格なので、実際は成績として扱われません。

私の試験勉強法

続いて、私の試験勉強法を紹介していきたいと思います。前提条件としては、講義にまじめに参加しておくことが挙げられます。試験の問題は配布物の範囲からでるので、理論的には講義に一回も出なくても合格しようと思えばできますが、講義に出る→復習する、のプロセスをしっかりおこなっておくと、後々頭に残っておいて、試験前になって必ず役に立ちます。

さて、私の勉強法はもっぱら「丸暗記」です。これは私だけでなく、多くのドイツ人学生たちがこの勉強法を行っています。丸暗記のよいところは、丸暗記した内容をそっくりそのまま試験の記述問題に援用できるところです。ついでに我々日本人からすると、丸暗記することでドイツ語の語彙や表現力が身に付きますので、試験を2回もこなすと、かなりドイツ語が上達した感じがします。

単語カード

単語カード

私は上記の写真のようなカードを用いています。日本でいう単語帳のようなもので、表面に質問を、裏面に答えを書いて、黙々と丸暗記していきます。

ただし、中には丸暗記が通用しない試験もあります。例えば、あまりに範囲が広くて、どこを丸暗記したらいいのかわからないような講義です。そういった場合は、別の戦略をとる必要があります。

この場合「過去問」を手に入れる必要があります。過去問は、講義によっては講義中に教授が公表してくれますので、これを持って対策を立てることができます。例えば、計算問題ばかりの試験であれば、わざわざ単語や意味を覚える必要はなく、数式や導き方だけ覚えて置けばいいわけです。

ただし、当然中には過去問を公表しないケースもあります。そうした場合はどうしたらよいでしょう?この場合、昨年試験を受けた知り合いに聞いたり、あとは、教授のアシスタントをしている学生に傾向を確認する、という戦略があります。中には、なぜか過去問が流出していることもあり、それをもって試験を有利にすすめられます。

ただ、この戦略をとる場合は、広範囲な人脈が必要になってきます。あまりコミュニケーションが苦手な人は、とりあえず顔が広そうなドイツ人の友人を一人作っておきましょう。そうすれば、彼経由で過去問の情報が流れてきます。

さて、どうしても過去問が手に入らない場合は、最後の手段が残されています。前述したように、試験を受けるタイミングは何回かありますので、とりあえず最初のタイミングは見逃して、2回目の試験で受けることにし、最初の試験を受けた生徒に、試験の内容を確認する方法です。この場合でも友人は必要になってきますので、やはり学部では友人を作っておく必要があります。

それと、我々外国人には、ドイツ語での試験自体がネックになってきます。多くの場合、下手するとドイツ人でさえも試験時間が足りない、なんてことがありますので、TestDafやDSHといったドイツ語の試験を苦労して受験した我々にとっては、正直非常に敷居が高いものがあります。ただ、試験の形式や、聞かれること自体は、過去問や、今までの講義からある程度推測できますし、今までの講義の内容をしっかり復習しておけば、出てくる語彙もそこまで難しくはないと思います。というわけで、やはり丸暗記方式の勉強法が、我々日本人には適している、ということになってきます。