ドイツの大学院のカリキュラムの進め方と、日本での準備

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今回は、ドイツの大学院の授業の進め方と、そのために必要だと個人的に思う準備についてです。

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ドイツの大学院の授業の進め方(BWL編)

まず、私の専攻は経済関係(念のため、BWLとはBetreiebswirtschaftslehreの略で、経営や経済学系の学部のことです)ですので、もっぱらその方面の授業に偏ります。特にドイツ留学を目指している人は、芸術系であったり、医学系であったり、物理系であったりすると思いますが、その辺の授業風景は正直分かりません。

さて、私の属している経済系の学部の大学院の授業の進め方ですが、日本の大学と全く一緒です。話しにきくところによると、アメリカのMBAはディスカッションなどが中心のようですが、ドイツの大学院の講義は大学の延長のような形で、単位を集めて卒業するのが目的です。

ちなみに、友人の話によると、大学進学した学生の半数程度(文系も)が大学院に進学するとのことで、日本のように文系は即就職、という風度でもありません。

さて、講義は私の場合週に5~6講義程度とる必要があります。1講義は1週間に2~3回程度で、一回の授業は1時間半ですので、まさに日本の大学の単位認定制度と酷似しているといってよいでしょう。

不安なかたもいるかと思いますが、教授にあてられたり、質問を強制的に答えさせる、というような場面は滅多にありません。前に、授業で日本の企業の話題になり『この中で日本から来た生徒はいますか?』と挙手させられ、日本の『系列keiretsu会社』の仕組みについて説明させられたことがありますが、その程度です。

授業によっては、週の中でレッスンパートと、練習パートが分かれているものもあります。例えば、火曜日に授業を行い、木曜日にその練習問題を行う、といった様子です。

また、日本の講義のように、中間テスト、期末テスト、と分かれていたり、出席や宿題で点数が加算されたり、といった救済措置は無く、期末試験一発勝負です。試験の形態に関してはまたいずれ触れますが、試験には辞書のみ持ち込んでよい場合、参考書も持ち込んでよい場合、手書きの紙のみ持ち込んでよい場合、何も持ち込んではいけない場合、など講義によって異なります。

あとは、通常の授業の他に、セミナーや、語学(ドイツ語以外)のコース、などもありますが、この辺は別途まとめていくことにします。

ドイツの大学院の講義についていくために必要な準備

続いて、私が「日本にいる間にやっておけばよかったな」もしくは「やっておいてよかったな」ということをまとめていきます。

1.数学ⅢC

これは私が経済学系だからですが、最適化の問題などでしょっちゅう数学の問題が登場します。正直、ゆとり世代の自分にはきついです。Hesse Matrixだの自然対数eだの、文系で大学受験をしてしまった私にとって、この辺の話題にドイツ語でついていくのは結構苦労しました。

あとは、分数の微分の仕方とか、ログの微分とか、習ったけど忘れているところも多々あり、この辺は日本にいる間にチャート式でも終わらせておけばよかったなと思いました。

2.英語

ドイツ語はまあ、日常生活でどんどん進歩していきますし、TestDaFやDSH2をパスしているのであれば、そこまで心配はいりません。私も、1~2ヵ月で慣れました。

ただ、英語は私にとって問題でした。私の学部は、授業の3~4割程度が英語で、それらは講義も試験も英語で受講しなくてはいけないので、頭のスイッチをそのたびにドイツ語→英語に切り替えるのに非常に苦労しました(というか今もしています)。

ドイツだろうとフランスだろうと、留学先ではやはり英語は必須になりますので、今留学を考えられている方は、そこの国の言語と並行して早めに英語も勉強しておくことをお勧めします。

3.就業経験(特に経済、BWL系)

これはBWL系の学部に限るかもしれませんが、やはり、一度就業経験があると、ピンポイントで勉強したいところが分かりますのでお勧めします。

また、授業の流れで実務経験を聞かれることもあります。そうした際に、特に全く文化の異なる日本の労働環境や労働文化などは、国際的に活躍したい学生たちにとって割と興味のある事項ですので、少なからず助けになります。

これらの『準備事項』はあくまで私のケースで、私の学部での話ですので、他のケースの方や、学部の方は当てはまらないかも知れません。他にも、自分の専攻する科目で苦手な分野がある場合、一度、日本語で目を通しておくと、理解度が全く変わりますので日本にいるうちに参考書を読んでおくのがお勧めです。

おまけ:日本の学生は怠惰か否か

よく、日本の生徒はゆとりだとか、大学の講義でも全く講師の話を聞いていないとか、中国人の留学生を見習えとか、さんざん叩かれていますが、実際のところ海外の講義で、海外の人々は本当にまじめなのでしょうか?

正直、あまり日本と大差ありません。基本的に、海外に来ている『留学生』というのは意識が高いので、なんとなく『留学生はまじめだな』という印象を受けがちですが、ドイツでドイツ人ばかりの講義を受講してみると、授業中にゲームをやっている学生もいれば、映画を見ている学生もいるし、さらに遅刻早退はあまり前で、講師もそれを見ながらジョークを言う、という余裕っぷりです。

ついでながら、よく『海外の生徒はしっかり授業中に意見を述べられる』という話も聞いたことがありますが、ドイツに限るとそこまででもありません。特定の生徒が挙手して答えているのは見かけますが、基本的にこの手の『発言系』でも真面目なのは留学生です。

結論。日本人が特別怠惰なのではなく、どこの国でも学生の意識は変わらず、留学生の意識だけが高い、というお話でした。