学生の味方:ドイツの大学で休学制度(Urlaubsemester)を用いるやり方

ドイツの大学のシステムは日本とは大きく異なり、いろんな点で困惑することが多いと思います。試験でいい成績をとることも重要ですが、そのいい成績をとるための下準備を詰むこと、これに関してはやはり情報量がカギとなります。

今回は、その中でも特に、知らないと損をする「Urlaubsemester」の仕組みについてまとめていきたいと思います。

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Urlaubsemsterとは何か

無理やり翻訳するのであれば、「休学」という日本語が適していると思います。Urlaubとは休暇の意味で、Semesterとは文字通り「セメスター」ですので、セメスターを丸々一つ、休暇にあてる手続きのことです。

ただ、どんな場合でも休学できる、というわけではなく、休学のための条件がいくつか存在しており、その条件を満たして初めて、休学の申請が行えます。具体的には、以下のような理由で休学することが可能です。

  1. 長期インターンシップAbleistung eines Praktikums
  2. 海外留学Studienbedingter Auslandsaufenthalt
  3. 病気Krankheit
  4. 出産、育児休暇Schwangerschaftt, Mutterschutz, Elternzeit
  5. 兵役Ableistung einer Dienstpflicht (z.B. Wehr- oder Ersatzdienst)

以下、それぞれ簡単に解説していきます(兵役に関しては、我々には関係ないので割愛します)。

1.長期インターンシップAbleistung eines Praktikums

おそらく一番オーソドックスな理由ではないかと思います。セメスターの半分以上(私の大学の規則では)を長期インターンシップに従事する場合、そのセメスターは丸ごとUrlaubsemesterにあてることが可能です。

2.海外留学Studienbedingter Auslandsaufenthalt

海外留学プログラムなどに参加した場合も、この休暇申請を行うことが可能です。ただし、ここでいう「海外留学」が、申請先の大学と提携した大学である必要があるのか、あるいは語学留学などでもオッケーなのか、などの詳細は大学ごとの規定によると思いますので、問い合わせてください。

3.病気Krankheit

文字通り、病気による休暇申請です。基本的には医師の明確な診察のもとで証明用の書類を貰うことが可能です。

4.出産、育児休暇Schwangerschaftt, Mutterschutz, Elternzeit

特にMasterの生徒等ですと、稀に在学中に妊娠、出産を行う学生もいます。そうした際には、やはり、上述のような申請条件同様、休暇申請を行い、育児に専念することが可能です。

Urlaubsemesterのメリット

続いて、具体的にこのUrlaubsemesterを申請することによって得られるメリットについて見てみましょう。まず、最大のメリットは、この休学期間中は、自分が大学に在籍した期間とは見なされないので、最終的な卒業証明書の見栄えがよくなります。

就職活動の際など、どうしても「5セメスター在籍して卒業」よりも「4セメスターで卒業」のほうが見栄えが良いので、こうした休学制度を活用する生徒は多いです。ですので、極端な話、休学制度を活用して、大学で勉強→インターン→大学で勉強→インターン・・といった形で、卒業まで3~4年かかっても、卒業証明書に記載される在籍期間は「4セメスター」というような誤魔化しがきくのです。

また、後述するように、この期間を試験や論文の準備にあてる、ということも可能です。私はこの作戦で、ドイツの成績を向上させました。

Urlaubsemesterのデメリット

デメリットとしては、この休学期間中には科目登録、および試験を行えません。特に、ドイツの場合夏セメスターと冬セメスターで受講できる講義が異なりますので、一回休学してしまうと、次にまた受けたい講義まで一年待つ必要があります。

ただ、ここも面白いところなのですが、科目登録自体はできませんが、以下のような形で、試験を受けることは裏技的に可能になります。

例えば、どうしても受けたい試験が夏学期にあったとします。その最初の試験が7月30日、二回目の試験が9月15日、だとしましょう。4月1日~9月30日までは夏学期に該当するので、この期間中に試験は受験できませんが、三回目の追試が10月以降に行われる場合、この「夏学期に最初の試験が行われた科目」を冬学期に受験することが可能になります。

この場合、その期間大学に在籍していた友人のノートなどを利用し、試験だけ受ける、というやり方は、ドイツの学生の間ではよく行われています。

もう一つ裏技的なものとして、「この期間に論文を提出することはできないが、準備ならしてもよい」という暗黙の了解があります。ですので、この期間にデータなどを集めるだけ集めまくって、よくセメスターから卒業論文を書き始める、というやり方を使うと、卒論がだいぶ楽になります。

もう一つ、ささやかなデメリットとして、セメスターチケットが使えなくなります。セメスターチケットとは、それを持っていると同じ州内の鈍行列車に無料で乗り放題、という夢のような学生特権なのですが、これがこの期間内に効力を発揮しなくなります。ただ、学生証自体は有効ですので、美術館などでの学割は適用されます。

この記事で書いた条件などは、基本的に私の大学のルールをベースにしています。他の大学ではまた他の大学ごとの異なったルールがあると思いますので、最終的には各大学のオフィスに問い合わせてください。