春休み!ドイツの休暇(semesterferien)の過ごし方

backpack-1149461_1920

日本の大学では、春休みと夏休みがあり、生徒たちは旅行を楽しんだり、サークルやバイト生活に明け暮れることとなります。それでは、ドイツの学生たちは、休み期間中に何をするのでしょうか?

スポンサーリンク

ドイツのSemesterferien

私がドイツの大学に入学するときに、はじめに学長の挨拶がありました。その際の言葉が『良く学び、よくパーティせよ』というものでした(よく遊べではなく『パーティ』という言葉を使う当たりドイツっぽいですが)。ドイツの社会は、階級社会です。幼少時にすでに『エリート組』と『その他』に分けられてしまい、優秀な人材のみが大学・大学院に進学し、彼らは学業のみならず、教養、スポーツ、そして人とのつながりといった、全ての素養を備えることを求められています。

というわけで、勉強だけを求められるのではなく、学長の言葉通り、大いに人とつながって、経験を積むことも求められます。それは、セメスター内だけでなく、セメスターの間にある、いわゆる「休み期間中(semesterferien)」に関しても同様です。

Semesterferienとは、学期と学期の間の長期休みのことでドイツの大学の場合、一般的には3月~4月の春休み期間と、7~10月あたりの夏休み期間が存在します。この期間や、いつから始まるかなどの明確な基準は特になく、大学・学部・州ごとに異なりますので、今回の記事はあくまで私の大学の私の学部のケースと割り切って読んでいただければと思います。

1.旅行・帰省をする

多くの学生が、旅行をするか、実家に帰省をするかします。旅行といっても学生ですので、一ヵ月丸々、というわけではなく、1~2週間くらいです。一人旅をする人もいますし、友人と旅行をする人もいます。その辺は非常にフレクシブルで、日本と似たり寄ったりです。

大抵、休み中は何をするの(何をしたの?)という話題になりますので、そこで『家でゴロゴロ』とでも言おうものなら、とち狂ったかのように扱われます。別に見栄をはるために旅行に行けとは言いませんが、話題つくりに一回くらい何かしておいた方が、休み明けの話題についていきやすいです。

私も学生で、会社も辞めた身ですので、そこまでふんだんに余剰資金があるわけではありませんが、近隣諸国であればバスでも飛行機でもそんな大した額でなく旅行することができます。この前ポーランドに行ってきましたが、往復バス+3泊で、2万円しないくらいの予算だったかと思います。やはり、友人と旅行すると親密さが増しますし、困ったときに助け合える関係構築ができますので、そうした仲間を作っておけると有用です。

あとは、日本にいったん帰国する、という手段もあります。仮に、1ヵ月以上家を空ける場合、家賃がもったいないので「zwichenmieter」という、短期間で自分の借りている家に住む人を募ることも可能です。これは、大学の掲示板で自ら探すのが手っ取り早く、特に夏休みに2~3ヵ月も家を空けるような場合は、これで家賃は当然浮きますし、家を解約しなくていいので、引っ越しや荷造りの手間が省けます。

それと、ドイツ人以外の友人(ロシア、フランス、ポーランドなど)がいる場合、彼らの大半は帰省しますので、そうした友人を訪ね歩いても楽しいです。私も、はじめドイツからイスタンブールまで、バルカン半島の友人をたずねてまわるツアーを一人で行おうとしようとしましたが、宿題の都合で断念しました。

私のドイツ人の友人の中では、タイ・ベトナムなど物価の安く温暖な東南アジアや、スペイン・ポルトガル・トルコなどの近場で温暖な国が人気です。というのも、ドイツの冬は寒く、そして太陽が照らないので、日差しと気温を求めてみなグループなり個人なりで旅に出かけます。

2.セミナーの準備、勉強関係

セミナーは休み期間中に準備を要するものも結構多いです。セミナーの場合、特に膨大な量の資料を英文、ドイツ文で読まなくてはいけませんので、いくら時間があっても足りません。私は、旅行先に持っていって、バスの中で読もうと思いましたが、酔うので全く読めず、帰国してから急いで読んでいます。

あとは、試験を前学期に行わなかった場合、次の学期の頭に繰り越すことができるので、その場合は休みを試験勉強にあてることが可能です。あとは、特段試験やセミナーなどがなくとも、ドイツ語や英語の勉強をこの隙にやっておくと割と後々楽ができます。

最初の項目で『旅行』と書きましたが、なにも1~2ヵ月丸々旅行に行くわけではなく、残りの期間は大体学校に残りますし、そのため、学食も図書館も休み中でも空いています。

3.アルバイト、インターンシップ

まず、インターンシップですが、これはかなり重要です。少なくとも、経済系、ビジネス系の学部の場合、この経験がないと就職に甚大な影響が及びます。そのため、休みの長い夏休みには、ドイツ国内、国外を問わず、インターンシップを行うケースが多いです。

ドイツのインターンシップは法律で最低賃金が定められており、学生でも給料をもらうことができるのが特徴ですが、それだけ倍率も高いです。また、3ヵ月程度の期間が必要とされることが多く、春休み期間にはそのため、せいぜいイベントごとでの通訳であったり、簡単なバイト、インターンくらいにとどめている学生が多いです。

4.スポーツ

以前どこかで書きましたが、ドイツの大学では日本でいうサークル活動のようなモノはなく、学部のスポーツセンターか、あとはVereinという小ぢんまりとしたサークル(ただし、大学主催というのではない)といったものがあります。前者のスポーツセンターの主催するようなスポーツイベントは、別に普段からスポーツに参加していなくても、あるいはまったくの初心者であっても参加できるような仕組みになっており、飛び込みでも割かし楽しめます。

特定の目的がないと、休み期間中はかなり暇になりますので、こうしたスポーツイベントに参加してみるのも悪くはありません。

5.ボランティア

ドイツ(他のヨーロッパでもそうかもしれませんが)の社会では、ボランティア(社会奉仕)の経験という物が割と重要になってきます。例えば、海外留学に応募したり、仕事の応募をする際に『ボランティアの経験』が証明できると、有利になることがあります。

重要なのは、日本の就職活動と違って、ボランティア活動の場合でも単に口頭で説明するだけでなく、ちゃんとした文書での証明をとる必要があります。まあ、なにもドイツでなくても、かつて震災でのボランティアにいったことのある人や、大学期間中に海外ボランティアにいったことのある人なんかもいると思いますので、そういったものでも構いません。

重要なのは『空白期間』を作らないことであって、それがあると、面接の際などに『何をしていたの』と聞かれて、なにも答えられないと困ることになります。