ドイツ英語事情:ドイツ(ヨーロッパ)旅行で英語はどこまで通じるのか?

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海外旅行をする際に気になるのが、現地でのコミュニケーション方法です。

もちろん、イギリスやアメリカへ旅行する際には、彼らは英語が話せるのが明瞭ですので、心配する必要はありませんが、ドイツや、その他欧州諸国を旅行する際はどうでしょうか?

今回は、ドイツを中心に、各国の英語事情についてまとめていきたいと思います。

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ドイツ人の英語レベル

以前もどこかでまとめたことがありましたが、ドイツをはじめとする北欧諸国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデンなど)の英語能力は軒並み高めです。これは、かれらの学習能力が優れているとか、教育システムがよいからといった理由よりも、そもそも英語と近しい言語だからです。ドイツ語、オランダ語、北欧の言語などは、同じゲルマン諸語に属し、それだけでまず、英語学習に際して他国と比較するとアドバンテージを得ています。

ただ、アドバンテージを得ている、というのは、勉強すれば他の国の人よりも早くマスターすることができる、という意味であって、勉強せずに英語が話せるわけではありません。中には、英語が話せないドイツ人も当然いますし、英語力は当然まちまちです。例えば、私が語学学校に通っていた際のホームステイ先のお母さんは英語が話せませんでしたし、道で知り合った犬の散歩をしているお婆さんも英語が話せませんでした。

ただ、若い人を中心に、特に学生であればある程度のレベルの英語は話せますし、我々がドイツを旅行する際に携わる人々、美術館や博物館の受付、駅員、ホテルの従業員、インフォメーションセンターなど、この辺で英語の話せない人はいないはずです。スーパーのレジなどでも、おおよそ最低限の英語は話せます。

大学院生となると、TOEFLで100点越えはかなり普通です。映画は字幕なしの英語バージョンが田舎町の映画館で放映されていますし、アメリカドラマやアメリカの小説などを、訳無しで読んでいる人がたくさんいます。大学内にはかなりの割合で留学生(ドイツ語が話せない)がおり、そうした学生との交流をする際にも英語を用いますので、普段から英語を話す機会は欠かしません。

大学の講義、仕事場での顧客対応など、英語をもとめられる場面は日本の比ではなく、ドイツに住み、特に仕事を得ようと思う場合には、ドイツ語だけでなく、高い英語力も必要とされてくるのです。

ドイツ以外の欧州諸国の英語レベル

続いて、ドイツから海外旅行に行く際の参考になると思いますので、個人的に感じたその他欧州諸国の英語力に関してです。イギリスとアイルランドはもちろんネイティブですのでランキング外としますが、次に高い英語力を誇るのはオランダです。文法の構造も発音も似ていますので彼らにとってそもそも習得が容易なうえに、オランダ自体市場の小さな国ですので、外貨獲得のために外国語教育に力を入れています。それから、上述の通り、ドイツ、北欧諸国などが続きます。この辺の国は、旅行に行っても全く問題なく英語が通用します。

続いて、その他欧州諸国は、言語分類上ではゲルマン諸語ではありません。フランス語、スペイン語、ポルトガル語などの属する「ロマンス諸語」と、ロシア語、ポーランド語などの属する「スラブ諸語」が存在します。かれらは、傾向として、ゲルマン系の人々よりも英語が苦手な傾向にあります。

統計的な資料を見ても、実際に旅行に行ってみても、フランス、スペイン、イタリア系の人の中には、英語が苦手な人が多く存在します。例えば、パソコンで英語の学習サイトを閲覧する人の数も、ドイツ人に比べてフランス人の方が多いです。原因としては、単に言語の属するグループ以外にも、教育的な側面、自国語へのプライド(特にフランス)、英語に触れる機会、などがも影響していると思います。

もちろん、中には英語がペラペラな人もいますが、基本的に英語が苦手な私よりもさらに英語が苦手なポルトガル人生徒の友達がいますし、傾向的にやはり、多少ドイツよりは英語レベルが落ちています。

さらに、ドイツ以東の東欧と呼ばれる諸国に赴くと、英語の苦手さは顕著になります。彼らの母語はスラブ諸語で、ラテン語を同じ起源に持つ単語もいくつか使っていますが、文法的な構造がかなり異なりますし、英語レベルは欧州では最下位レベルです(もちろん、中にはペラペラな人もいます)。

特に、言語の構造的な問題だけでなく、教育水準、英語と触れる機会なども影響しているようです。ポーランド、ウクライナの小さな都市に行くと、スーパーで英語はほとんど通じませんので、身振り手振りでのコミュニケーションが要求されます。

どうやって英語を身につけるべきか

以前もちらっと、ドイツでの英語の勉強方法を書いたと思いますが、日本に比べ、ドイツには非常に多くの英語に触れあう機会がありますので、環境としては申し分はありません。あとは、どれだけ英語を勉強する時間を作れるか、です。講義を一つ英語で受講するだけでも、たくさんの語彙や表現を覚えるチャンスになりますし、セミナーなどに参加すると、他の生徒と英語で触れ合う機会も生まれます。

中には留学生も数多くいて、それらの多くはドイツ語が話せませんので、これまた英語で触れ合う機会です。アジア人も多くいますので(特に中国人)、そうした連中と話していても、自然に英語を覚えることが可能です。

もっとも、ドイツ語もしかりですが、ただやみくもに話しているだけでは、語学力は身に付きません。講義や参考書、テレビやラジオなどを通じて絶えず新しい語彙、表現、発音などを身に着けていくことによって、日常会話の中での表現のレパートリーが増えていき、結果として様々なことが表現できるようになっていく、というわけです。

仮に、英語―日本語でのタンデムパートナーを見つける機会があれば、日常的に英語のエッセイを読んで修正してもらったりなど、インプット→アウトプット→修正のサイクルを構築しておくことが必要になってきます。

特に、卒業論文やセミナーの発表などは、場合によってはドイツ語でなく英語でしなくてはいけないところもありますので、日ごろから、英語に関する質問ができるブレーンを身近に置いておくことが重要です。添削系の会社を利用してもいいですが、その場合高くつきますし、都度都度手直しをしてもらうのは経済的ではありません。

我々日本人がドイツで仕事やアルバイト、インターンシップのチャンスを得ようと思ったら、絶えず語学の問題が付きまといます。勿論、ドイツ語も肝心なのですが、大体の募集要項には『高いドイツ語、英語能力』と書かれており、ドイツ語と同等に英語知識も必要とされてきます。