まとめ記事: 個人旅行の際の海外旅行保険に関する基礎知識

予防接種や、海外の安全情報を確認するのは、病気やケガを未然に防ぐためのものです。もちろん、病気やケガに全く遭遇しないのであれば、それは最善です。

ただし、どんなに気を付けていても、やはり予想もしていなかった事故や病気に巻き込まれることも多々あります。そんな際に必要になってくるのが「海外旅行保険」です。

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ビギナーのための海外旅行保険講座

まず、海外旅行保険は様々な特約によって構成されており、その特約の種類によって、海外で負担される保険の内容が異なります。大まかに分類すると「自分の病気やケガに対する保険」「海外旅行中で賠償責任が生じた際の保険」「自分の財物に損害が生じた際の保険」「その他のオプションの保険」と4つにカテゴライズすることができます。詳しい説明は下記リンクを参照ください。

この中で、最も重要度が高いのが「自分の病気やケガに対する保険」です。なぜかというと、仮に海外で病気や事故にあった際、医療費は高額になる可能性があります。さらに、その際に医療費を支払う手段がないと、診察や治療を拒否される恐れも出てきます。

いくら日本で貯金があると言っても、途上国などでは取り扱ってくれないパターンもあり、確実に相手を納得させ、治療を受けさせてもらうために、海外旅行保険に入っておくのは自分の身を守るために重要です。

海外旅行中のケガ・病気に関する保険

続いて重要なのが「海外旅行中で賠償責任が生じた際の保険」です。ホテルにある高額のツボを割ってしまった、水を出しっぱなしにして漏水させてしまった、などなど、旅行中に損害賠償請求の発生するような危険性はいたるところに転がっています。水漏れのケースですと、ドイツやフランスなどで60万~100万円単位の損害賠償を請求されていることもあります。

海外旅行中に他人のモノや身体に損害を負わせてしまった時の保険

また、物ではなく、人をケガさせた場合はさらにケタが跳ね上がることもあり、この場合、自身の身の破滅に繋がりかねません。ですので、上述の「自分の病気やケガに対する保険」に次いで重要な保険と言えます。

残りの「自分の財物に損害が生じた際の保険」「その他のオプションの保険」に関する重要度は、そこまで高くはありません。自分の財物の損害とは、例えばカメラを落として壊してしまった場合などが想定されていますが、この「自分の財物に損害が生じた際の保険」自体が割と高額なので、予算次第では必須とまでは言えません。

海外旅行中に携行品を壊した、盗まれたときの保険

「その他のオプションの保険」とは、飛行機が遅延した際のホテル代や、手荷物が届かずに一時的に必需品を購入した際などに支払われる保険です。

その他便利な海外旅行中の保険

申し込み方法

海外旅行保険の申し込み方法はいくつか分類することができ、代表的なものでは「インターネットによる申し込み」「空港での申し込み」「代理店での申し込み」です。海外旅行保険の申し込みに関しては下記リンクを参照してください。

海外旅行保険の申し込み方の違い:インターネット、保険代理店、空港申し込みのメリット・デメリット

保険金の請求

海外旅行保険の保険金の請求に関しては、下記リンクを参照してください。この記事では携行品損害保険の請求を行った時の事例を挙げています。

お金が返って来る!海外で被害にあったときの携行品損害の保険金請求

他の保険との兼ね合い

ここで、一つ海外旅行保険に加入する前に、注意しておかなくてはいけないことがあります。損害保険の原則とは「損害てん補」「利得禁止」ですので、損害を被った場合、保証される内容はそのこうむった損害額を限度とし、原状復帰以上の焼け太りがなされることは禁止とされています。

どういうことかというと、この原則に照らし合わせると、仮に複数社で同じ補償内容を保険としてかけている場合、請求できる金額は自分の損害を被った額までですので、重複箇所が無駄になってしまいます(ただし、傷害保険など、重複・合算して支払われる場合もあり、この辺りは別の項目にて説明します)。

え、でも「海外旅行保険なんて加入していない」という方も、実は知らない間に「海外で有効な特約」を保持しているケースが多々あります。代表的なところでは、クレジットに自動付帯されている海外旅行保険です。

例えば、三井住友VISAゴールドカードの場合、携行品損害は50万円(ただし3000円の実費)まで補償されますので、ここからもう一つ携行品損害に加入するのは、50万円以上の携行品を持たない場合ほぼ無意味です。ただし、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の場合、保険金が支払われる条件が限定的で、例えば「旅費をクレジットカードでまかなった場合に保険は有効である」「入国から2か月以内」など、注意すべき点が多いです。

クレジットカード付帯の海外旅行保険に関する詳しい説明は下記リンクを参照ください。

クレジットカード付帯の海外旅行保険に関する説明:重複と合算に注意

また、実は自動車保険や火災保険などにも、海外で有効な特約が付帯されているケースがあります。以下は、東京日動火災の自動車保険の特約である「個人賠償責任保険」の支払い条件です。

記名被保険者やそのご家族等が国内外での以下のような事故により、他人にケガ等をさせたり、他人の財物を壊して法律上の損害賠償責任を負う場合に、1事故について保険金額を限度に保険金をお支払いします。

ここではっきりと「国内外」と書かれているのがポイントで、国外で物を壊したり人をケガさせたりした場合も、この保険契約は有効だということが分かります。ただし、いろいろ条件があり、国外の損害の場合1億円を限度とする、とか、海外の交渉案件には示談交渉できない、などです。

というわけで、一見して海外旅行保険に加入していないような場合でも、実は自分の周りでいつの間にか契約されている場合があります。ただ、保険金の有無責(支払われる、支払われない)の判断は会社規定によりますので、あくまで自己責任で、どの特約が不要でどの特約が必要かを判断してください。