海外旅行保険の基礎知識その1:医療・傷害保険

海外旅行保険を考える際に、最も重要になってくるのが自分の身に何かあった時に備えるための保険です。今回は、「自分の病気やケガに対する保険」についてまとめていきたいと思います。

その他の海外旅行保険、海外旅行保険に関する基礎知識に関しては以下のまとめ記事をご覧ください。

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海外旅行保険における医療・傷害保険

ここで説明する海外旅行保険の内容は、あくまで一般的なものであって、会社や規定ごとに異なる点をご注意ください。また、支払らわれる、支払われない、のいわゆる有無責判断も保険会社によりますので注意が必要です。最終的にはご加入の保険会社、または代理店にお尋ねください。

治療費用特約

まず、私にとって一番に必要になると思われるのが「治療費用特約」です。これは、海外旅行中に生じた病気、けがなどに対する治療の実費が支払われるもので、具体的には「海外で高熱を出して入院した」「交通事故にあって手術を受けた」「お腹の調子が悪いので医師の診察を受けた」などが該当します。また、会社によっては「帰国後に発症した病気で、国内の医療機関で診察を受けた場合」でも請求可能です。

この特約の原則は「治療のために実際に病院などに支払われた金額」です。では、何をもって治療のために支払われた金額、とするのでしょうか?病院へ行く際の交通費、救急車代金、入院中の食事代など、区分が難しそうです。

これらは、基本的に「社会通念上妥当とみなされる」範疇での支払い補償となっており、ケースバイケースです。例えば、病院の最上階の超高級一人部屋を毎日10万払って入院するようなケースであれば、その部屋代はもしかしたら下りないかもしれません。仮に保険会社に連絡する余力・体力があるのであれば、入院前に電話で確認し、支払われる限度を確認しておくとよいでしょう。

また、温泉治療、カイロプラクティック治療も支払いの対象外になるケースが多いです。

その他のケースで注意しなくてはいけないのが、国内での持病・既往症、妊娠出産流産、自ら積極的におこなったケンカ、歯医者治療、などに関しては保証されない会社が多いです。ですので、留学など長期滞在を考えている場合は、こうした海外旅行保険ではなく、留学向けの保険に加入する必要が出てきます。

保険金の請求に当たっては、大きく二種類あり、保険約款を現地の医療機関に見せることでキャッシュレスで治療が受けられるケースと(請求はダイレクトに保険会社にいく)、一時的に自分で治療費を支払い、帰国後に請求するパターンです。

例えば、現地の大きな病院などの場合、保険会社と提携していて、キャッシュレスでも受け付けてくれるケースが多いですが、そうでない、ローカルな病院などでは、とりあえず自ら立て替えておいて、帰国後に請求、というケースもあります。この際、必要となる請求書、レシートは交通機関も含め全部取っておきましょう(ただ、交通機関のレシートを取っておくのが難しい場合、自己申告でもなんとかなります)。

救援者費用特約

被保険者が遭難した場合の救助費用や、家族が国内から駆け付ける際の旅費などが負担される特約です。ハイキングやピクニック中などに遭難し、ヘリコプターなどで救援を必要とする事態を想定しており、仮に保険に加入していなかったとするとこれまた100万円単位で請求されかねない代物です。

ただ、果たして遭難するようなところへ行くのかどうかは旅行者の旅のプランによりますので、本当に必要かどうか考える余地があります。

死亡保険

疾病死亡、傷害死亡などがあり、海外旅行中に不意のケガや病気で亡くなった場合に、契約した保険金額が定額で支払われる契約内容です。実際に自分は死んでしまっているので、支払われるのは遺族に対してです。

後遺障害保険

ケガが原因で後遺障害を負った場合に、その程度に合わせて保険金が支払われる特約です。例えば、全身まひ、体の部位の欠損など、将来的に影響を与えるような症状が想定されています。

どのくらいの保険をかけるべきか?

これはなかなか難しい質問で、確率の問題ともいえます。例えば、医療費用保険を見れば、海外に行って治療を受けるような確率は少なくありません。発展途上国へ行けば、食中毒、発熱などしょっちゅうかかるものですから。

ただし、果たしてそこで1000万円や2000万円、あるいは無制限の治療費が必要なのか、と聞かれると微妙なところです。確率的には100万を超えるような病気、ケガをするようなケースは滅多にありません。ただし、ゼロではありません。

個人的には治療費用は1000万円程度あると安心します。統計学的には、500万円程度でもほぼ安全ですが、仮に治療費が足りずに治療できずに海外の病院で死んだら嫌なので、途上国に行く際は1000万円で保険をかけるようにしています。また、クレジットカードなどに保険が付いている場合、限度額は合算することが可能です。

死亡・後遺症保険に関しては、自分が一家の大黒柱なのかそうでないのかで大分状況は異なってきます。学生の場合であればそこまで高い死亡保険をセットしても意味ないのではないでしょうか。生きて帰ることが最大の親孝行です。