クレジットカード付帯の海外旅行保険に関する注意点:重複と合算

海外旅行保険はインターネットなどで申し込むのが通例で、基本的には海外旅行の際に申し込む必要のあるものです。ただ、昨今多くのクレジットカードが「クレジットカード付帯型」の海外旅行保険をサービスで提供していることも多くなってきており、申し込み前に重複がないか注意が必要です。

今回は主に「クレジットカードに付帯」の海外旅行保険に焦点を絞ってみていきたいと思います。

海外旅行の基礎知識や、各種保険に関しては以下のリンクを参照ください。
海外旅行保険の基礎知識に関するまとめ

※保険会社の規定、約款は保険会社ことに違い、かつケースバイケースの部分もあり、はっきりとこの場合に支払える、支払えない、と断言することはできません。この記事の情報によって仮に問題など生じたとしても、私は一切責任を負うことができませんので、あくまで最終的な判断を必要とする場合は保険会社に直接相談のうえ、真偽を確かめてください。

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クレジットカード付帯型の海外旅行保険

概要に関してですが、文字通り、クレジットカードを申し込めばセットでついてくる代物で、インターネットや空港で海外旅行保険を申し込まなくても、海外旅行に出かけさえすれば自動的に保障してくれるような内容になっています。

ところが、このクレジットカード付帯型の海外旅行保険、いくつか気を付けなくてはいけない点があり、これを見逃してしまうと保険がおりないこともありますので、必ず注意が必要です。実は、海外旅行に出かけさえすれば自動的に補償される、という認識は間違いで、ある条件を満たさないとその効力は発揮されないのです。

クレジットカード付帯型の海外旅行保険が効力を発揮するには

全部の会社が同じ条件というわけではありませんが、大体規定としては似たような部分があり、おおよその項目については共通しています。例えば、以下は三井住友カード付帯の海外旅行保険ですが、どんな時に補償が適用されるのか見てみましょう。

1.日本出国前に航空機、電車、船舶、タクシー、バスといった公共交通乗用具の利用代金を当該カードで支払った場合
2.日本出国前に宿泊を伴う募集型企画旅行の旅行代金を当該カードで支払った場合
3.日本出国後に公共交通乗用具の利用代金をはじめて当該カードで支払った場合

例えば、一番身近で、かつカード会社が望んでいるであろうことは「飛行機チケット」のクレジットカードによる購入です。他にも、旅行代理店の団体旅行に応募する際にクレジットカードで支払うなども、上述の条件を満たすうえで有効です。

しかし、こうした条件を知らずに、うっかり飛行機チケットなどを別のクレジットカードなどで購入してしまった場合は、別の手段を講じなくてはいけません。例えば、日暮里から成田空港までをスカイライナーで行く際、クレジットカードでチケットを購入すれば、それによって条件が満たされます。

また、クレジットカード付帯の海外旅行保険には期間が定められています、一ヵ月、二ヶ月、三ヶ月など、それはカード会社によって異なりますが、仮にこの期間を超えての出国の場合、別途海外旅行保険に申し込み必要があります。

その際、例えば出国から一ヵ月を「クレジットカードの保険」、それを超過した分を「別途申し込む保険」でまかなうことはできません。あくまで、保険の開始日は旅行当日ですので、仮にクレジットカードに付帯されている保険を超過しての滞在を考える場合、諦めて重複を覚悟で別の保険に加入する必要があります。

クレジットカードに付帯されている保険の補償

クレジットカードの種類によって異なりますが、ゴールドやプレミアカードなど、年会費の高いようなカードではその分補償が手厚くなっている形ですが、補償の額を無視すれば、どのクレジットカード保険でも、医療・傷害の実費、賠償責任保険、など最低限度の保険は付帯されています。

携行品損害等に関しては、ついている会社とついていない会社が分かれており、また、自己負担金も発生したりしますので、確認が必要です。

また、カード会社によっては、海外旅行保険を付帯していなくても「そのクレジットカードによって購入した商品」の盗難・破損に関する保険が自動的にかけられるようなクレジットカードを発行している会社もあり、この場合、海外で盗難にあったとしても保険金が請求できます。

クレジットカードに付帯されている補償の額は、あくまで最低限度額です。例えば、上述の三井住友カードのクラシックカード保険の場合、現地での病気などで治療を受けた場合、補償されるのは50万円までです。

これは、医療保険としてはやや心もとないといえますので、別途海外旅行保険をかけることをお勧めします。ただ、こうした実費払いの場合、保険料は合算して支払われる、ということを覚えておいてください。

以下、具体的に例を見てみましょう(一般論ですので、最終的な解釈は保険会社の判断によります)。

保険金の合算・重複の仕組み

海外旅行に赴くにあたり、A社のクレジットカード付帯の海外旅行保険で50万円、それでは心もとないのでB社のインターネット申し込みで50万円、それぞれ医療実費に対する保険を掛けたケースを想定してください。

ケース1:被害が50万円以下だった場合

仮に現地で食中毒などを患い、治療費が10万だったとしましょう。この場合、保険の「利得禁止」の原則に従い、二重請求は禁止されています。つまり、A社から10万、B社から10万、それぞれ請求することはできない、というわけです。保険会社同士で情報を交換し合っているので、そういう不正を働くと発覚します。

ですので、この場合、二つ保険をかけた意味はなく、A社、B社のいずれかから10万円の、治療にかかった費用を受け取ることで、この件は終了となります。

ケース2:被害が50万円以上だった場合

今度は、現地で盲腸などを患い、治療費が90万円だった場合を想定してください。この場合、A社で50万、B社で50万保険をかけていますので、合計で100万円まで補償されています。治療費が90万円で、その分の90万円の保険金を受領するので、「利得禁止」の原則にはなんら抵触しません。

この場合、二つ保険をかけていてよかったね、という話になります。

ケース3:被害が100万円以上だった場合

現地で交通事故被害などにあい、120万円の足の手術をしたとしましょう。かけている保険はA社で50万円、B社で50万円で、合計しても100万円しかありませんので、それを上回る治療費を請求された場合、はみ出た部分は自己負担となります。

この場合、B社の保険でもう少しかけておけばよかったね、という話になります。