ドイツのホテルやレストランではどのくらいのチップを払えばいいのか?

ドイツには、日本の居酒屋やレストランと異なり、チップという文化が存在します。これは、法的な強制力をもつわけではありませんが、それでも多くのドイツ人が会計の際に極力払うようにしています。

今回は、ドイツのチップ事情、いくらくらい払えばいいのか、払わないとどんなことが起きるのか、などについてまとめていきたいと思います。

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ドイツのチップ事情

まず、そもそもチップとは何か、というところから始めましょう。チップとは、客からサービス提供者へ対する心づけです。「してくれてありがとう」「あなたのサービスは最高だったよ」「また来るね」というような意味合いが、チップの中には込められています。

ですので、逆にチップを払わないということは、極端な話で「あなたのサービスはまずかった」と言っているようなものです。もちろん、多くのドイツ人が「アジアにはチップの文化が存在しない」ため、旅行客などがチップを払わなくても笑って受け止めてくれるとは思いますが、やはり、知っておいたほうがスマートでしょう。

以下、1レストラン・居酒屋におけるチップ、2ホテルにおけるチップ、についてみていきたいと思います。

1.レストラン・居酒屋

ドイツで生活していると、友人同士で居酒屋にいくケースが多いでしょう。そんな時、どれくらいチップを渡せばいいのか悩むことがあります。

1.支払う額

レストランや居酒屋、カフェなどの場合、基本的には「会計の1割」がチップとして期待されている額です。例えば、2,60ユーロのビールを飲んだ場合、会計の時に3ユーロわたせば完璧です。

こちらから支払いたい額を指定したいときは「〇〇Euro, bitte」というと、その額面通りに受け取ってくれます。例えば、12,40ユーロだった場合、13ユーロ支払うか14ユーロ支払うか少し悩むところだと思いますが、チップを含めて13ユーロ支払いたい場合は、例えば15ユーロ分手渡したうえで「13 Euro, bitte」というと、おつりが2ユーロだけ返ってきて、60セントは相手にチップとして受け取られる仕組みです。

上述のような12,40ユーロの場合、払う額も少し悩みどころです。13ユーロでは少ない気がしますし、14ユーロでは多い気がします。3人で食事をして、みなが12,40ユーロのものを食べ、みんながそれぞれ14ユーロずつ支払うと、チップだけで5ユーロ近く払うことになります。

このような場合、まとめてお会計してしまったほうが早いでしょう。まとめてお会計すると、37.20ユーロですので、40ユーロ渡せばちょうどきりが良く、個別にお会計するのに比べて支払うチップの総計も安く済みます。

基本的には会計額の1割がチップとして期待される

2.クレジットカードの場合はどうするのか

注意が必要なのは、クレジット払いの場合です。上述の通り、チップを渡す、というのは、そのサービスに従事してくれたウェイター、ウェイトレスに対する心づけですので、彼ら本人に直接渡す必要があります。クレジットカードに上乗せしてしまうと、この差額はレストランのオーナーなどにいってしまい、彼らの手元には残りません。

ですので、クレジットカードを使い、それでもチップを別途渡したい場合には、現金で彼らに渡す必要があります。そうして初めて、彼らの懐にチップが残るのです。

クレジットカード払いの場合は要注意

3.チップをテーブルに置いて去るのはクール?

日本人的には、あまり仰々しく渡すのも恥ずかしいので、さりげなくチップを置いて帰りたい気持ちもありますが、実はこれはドイツでは失礼なこととされています。

Viele Gäste lassen das Trinkgeld für ihren Kellner auf dem Tisch legen und verlassen anschließend das Restaurant. Das gilt als unhöflich. Denn: Jedes Trinkgeld ist eine persönliche Anerkennung für die geleistete Arbeit und diese sollte auch ebenso übergeben und von einem freundlichen „Dankeschön“ begleitet werden.

「多くの客がチップをテーブルの上に置いていくが、これは失礼である。チップとは、彼らサービス提供者に対する「ありがとう」の気持ちで成り立っているものなので、その言葉とともに、サービスを提供してくれた人に手渡しするべきである」

上述の通り、チップには「あなたのサービスは素晴らしかったよ」という意味合いが込められており、そのため、実際に「ありがとう」という言葉とともにチップを手渡す必要があります。日本の婉曲や忖度を好む文化と違い、ドイツの文化はつねに言葉にしないと伝わらない文化ですので注意しましょう。

テーブルにチップを置いて帰るのは失礼

ホテル

ホテルの場合も同様に、サービスを受けた場合にはチップを渡す必要があります。ただ、レストランや居酒屋と違い、割とホテルではチップを支払わないドイツ人も多いようです。

また、額面に関しても、会計額の1割、という具体的な目安があるレストランのチップと違い、ホテルのチップはもう少し曖昧です。100ユーロのホテルに泊まったら10ユーロをチップとして支払う必要があるのか、と聞かれたらそういうわけでもなく、荷物を運んでもらったなどのサービスに対する対価として、2~3ユーロ支払うとスマートである、と言われています。

以前、有名なサッカー選手に親身になってサービスをしたのに、チップをくれなかったという理由で、そのサッカー選手の部屋の香水の中に小便をぶちまけた、という話もあります。

ZEIT:
Apropos, in Ihrem Buch berichten Sie von einem Pagen, der kein Trinkgeld bekommt und deshalb in das Parfum eines Gastes uriniert. Wie oft passiert so etwas?
Tomsky:
Das war natürlich ein Extremfall. Kein Page reagiert so, nur weil er ein bisschen zu wenig Trinkgeld bekommt. In diesem Fall hatte der Page einem reichen Sportstar geholfen, hatte viel Arbeit mit dessen Koffern gehabt – und statt Trinkgeld zu bekommen, wurde er dann auch noch unfreundlich behandelt.

『記者:さて、貴方は著書の中でチップを貰えなかったからと言って客の香水に小便をぶちまけた人について触れていますが、こうしたことは頻繁に起こりうるのでしょうか?』『著者:それは当然やりすぎた例だよ。普通は、チップの少なさでそこまで怒りはしない。そのケースでは、ボーイはあるお金持ちのスポーツスターを接客したんだ。そこで、まあ荷物を詰めたりといろいろしてあげたにもかかわらず、チップを貰えるどころか邪険に扱われたので腹を立てたのさ。』

チップを払わないと最悪の場合香水に小便をぶちまけられる

ここまでの事件に発展するケースはそうはお目にかかりませんが、やはり、チップをあげる、ということはそのサービスに対して報いる、感謝する、という意味合いが込められています。日本人的な「ありがとう」は言葉に終始するものですが、ドイツ人的な「ありがとう」には、もう少しダイレクトな、物質的な意味合いが込められているようです。