独特の職人芸が光る!一生の思い出になるドイツの伝統的なお土産

旅行者にとって重要なことの一つが「お土産」です。ドイツのお土産に関して日本人に人気なのは「バームクーヘン」や「地ビール」、「チョコレート」などのようで、これらはインターネットで検索すれば上位に引っかかってきます。

ただ、どうせならば他の人とは違ったお土産を購入したい、旅の記念にずっととっておけるようなものが欲しい、という方のために、今回は職人の国ドイツらしい、渋くてこだわりの伝統的なお土産物を紹介していきたいと思います。

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ドイツ伝統的なお土産事情

ドイツの正式名称は「ドイツ連邦共和国」です。どういうことかというと、もともとは神聖ローマ帝国時代に300の領邦に分かたれていた地域がのちに「連邦」という形で共同体の形をとっている国ということです。

そのため、日本のように東京に大学や会社が集中している中央集権的なシステムというよりは、ドイツでは今でも、各地方自治体が大学などを運営し、独自の州の色合いを強く残している傾向があります。

特に、それぞれの都市では、近代にいたるまでギルドと呼ばれる商人や手工業者のグループが根強く残り、その中で職人制度が発達してきました。それゆえ、ドイツの都市や村では、その場所を反映した工芸品、伝統などを見受けることができます。

ある土地では陶磁器が、ある土地ではガラス細工が、ある土地では木工細工が、と、それぞれの歴史を反映させた古き良きモノ作りがドイツでは継承されています。

1.Weihnachtskugeln und Christbaumschmuck aus der Region Lauscha(Lauscha地方のクリスマスデコレーション)

クリスマスの飾り

日本では馴染みのない「Lauscha」は、「ガラス吹きの町」としてドイツで知られる職人の町です。人口わずか3000人程度の小さな地域ですが、500年近くもガラス吹きの伝統が伝えられています。とりわけ、クリスマスに飾られる「クリスマス・オーナメント」が有名で、世界中に多くのファンを持っています。

Das kunstvoll gefertigte Glas aus Lauscha ist heute weltberühmt und fasziniert mit zahlreichen Formen, Farben und der unglaublichen Kreativität seiner Glasbläser. Schon früh hat sich der thüringische Ort zu einem Zentrum der deutschen Glasindustrie entwickelt und dabei so manche Krise überstanden. Dank der Wertschätzung deutscher Handarbeit wird noch heute Lauscha Glas liebevoll per Hand hergestellt und in alle Welt exportiert.

「Lauschaの工芸ガラスはこんにちでは世界的に有名であり、かつその豊富な形状、色彩、そして創造性によって多くの人を魅了している。すでに古い時代から、テュービンゲンはドイツのガラス産業の中心として栄え、組合が設立された。ドイツの手工業が保護されていることもあり、Lauscheは今でもなおガラスは手作りで行われ、世界中に輸出されている。」

クリスマス・ツリーを彩るクリスマス・オーナメントはこのLauschaの名産です。古き良き手工業者を大事にする、ドイツならではのこだわりの逸品でしょう。

2.Nußknacker aus dem Erzgebirge(エルツ山地のくるみ割り人形)

くるみ割り人形

ドイツとチェコの国境、周囲を山に囲まれたエルツ山地一帯では、その豊かな自然を利用し、古くから木工工芸が盛んです。その中でも特に有名なのが、毎年クリスマスの時期になると装飾品として利用される「くるみ割り人形」です。

Der originale Nussknacker aus dem sächsischen Erzgebirge ist weltweit wohl der bekannteste Vertreter der erzgebirgischen Volkskunst und stellt für viele Menschen ein ganz besonderes Symbol der Weihnachtszeit dar.

「くるみ割り人形はザクセンのエルツ山地を代表する木工工芸品であり、多くの人にクリスマスシーズンの象徴として親しまれている」

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」で有名なくるみ割り人形です。発祥については諸説あるようですが、早い時期からこのエルツ山地では工芸品としてくるみ割り人形を作り始めていたようです。

3.Steiff-Bären aus Baden-Württemberg(Steiff社のテディベア)

テディベア

ちょっと「伝統品」とは異なるかもしれませんが、一応これも職人芸のくくりに入るのではないでしょうかと思ったので紹介しておきます。

「Steiff」とはマルガレーテ・シュタイフによって100年以上前に創設されたドイツの老舗人形メーカーで、かの有名なテディベアの生みの親です。ルーズベルト大統領に送られたことがきっかけで、世界的に大ブームとなるこのぬいぐるみは、一つ一つ手作りで、世界に一つとして同じものがありません。

Kuscheltiere von Steiff sind nicht nur hierzulande bekannt für ihre hervorragende Qualität und ganz besondere Niedlichkeit. Ein Stofftier mit dem berühmten Knopf im Ohr ist vor allem in Russland ein beliebtes Souvenir, das oft ein Leben lang hält. Der Hauptsitz der Steiff GmbH ist im baden-württembergischen Giengen, Shops gibt es aber im ganzen Land.

Steiff社のぬいぐるみは、その質だけでなく、かわいらしさでも類を見ない有名さである。(模造品と見分けるためにつけられた)ボタン・イン・イヤーはとりわけ、ロシアからの観光客に人気であり、長持ちする。Steiff社の本社はbaden-württembergischen Giengenだが、お店は各都市に点在している

ドイツのぬいぐるみらしい、どことなく間の抜けた可愛さがあります。唯一、今回の記事で紹介している他のお土産品とは異なり、壊れ物ではないので日本へ持ち帰るのが容易です。

4. Kuckucksuhr aus dem Schwarzwald(シュヴァルツヴァルトのカッコウ時計)

カッコウ時計

時間とともに中から鳩(カッコウ)が出てきて時間を告げる鳩時計、これも実はドイツの伝統的な工芸品です。シュヴァルツヴァルトはドイツ南西部に位置するいわゆる「黒い森」で、ここでとれる木材を加工して、カッコウ時計の歴史が始まりました。

ちなみに、VDS Zertifikatという「シュヴァルツヴァルドのカッコウ(鳩)時計」の証明が、「VDS」のマークでもってなされています。

Dass die original Schwarzwälder Kuckucksuhr zu einem so weltbekannten Produkt geworden ist, hat vielerlei Gründe. Der Kuckuck, der zur vollen Stunde erscheint und die Kuckucksuhr zu einem einzigartigen Objekt macht, ist sicherlich einer davon. Zu Beginn der Produktion war aber ein anderer Faktor wichtiger: der Preis. Im 17. Jahrhundert begannen die Schwarzwälder Bauern damit, die Einnahmen aus den spärlichen Ernten mit der Herstellung und dem Verkauf von Haushaltsgegenständen aufzubessern. Der Werkstoff der Wahl war Holz, und so hatten die ersten Kuckucksuhren auch mechanische Uhrwerke aus Holz. Diese mechanisch arbeitenden Holz-Uhrwerke waren natürlich wesentlich günstiger als mechanische Uhrwerke aus Metall, die zu dieser Zeit üblich waren, und das machte sich auch beim Preis bemerkbar

「黒い森のカッコウ時計が世界的に有名になったのには、いくつかの理由がある。まず、毎時現れては時間を告げるシンボルとしてカッコウというユニークな鳥が使われていること、これが一つの理由だろう。ただ、その起源にさかのぼれば、もう一つ別の重要な理由があった。“価格”である。17世紀当時、シュバルツヴァルドの農夫たちは、当時の少ない稼ぎと家計の足しにするため、製造と販売を開始した。その際の材料は「木」であり、最初のカッコウ時計は機械仕掛けの部分も木で作られていた。この、機械仕掛けの木質時計は、当時普及していた金属式の時計よりも安価であり、市場で目を引くものであった。」

ちなみに、日本では鳩時計の名称で親しまれていますが、中から出てくるのは鳩ではなくカッコウです。

5. Meißner Porzellan(マイセンの陶磁器)

マイセンの陶磁人形

マイセンは、ヨーロッパ随一の陶磁器の町として有名です。1710年、今から遡ること300年以上も前、アウグスト強王の常軌を逸した陶磁器への熱中により、このマイセンは陶磁器の町へと生まれ変わりました。

Hunderttausende Besucher zählt jährlich die erste Porzellan-Manufaktur Europas, die hier 1710 von August dem Starken gegründet wurde. Neben der Pflege alter Traditionen in Form, Farbe und Dekor werden auch neue Wege der Porzellangestaltung erfolgreich beschritten.

「1710年にアウグスト強王によって作り上げられたヨーロッパ最大の陶磁器の町、このマイセンには、毎年何十万人もの人が足を運ぶ。伝統的な工法の保護以外にも、常に新しい工法、色彩、装飾が模索されている。」

ちなみに、陶磁器だけでなく、陶磁人形なども作られています。

まとめ

今回は伝統的な職人芸という部分にスポットをあて、いくつかのドイツのお土産物を紹介しました。これらは上述の通り、こうした伝統工芸が生まれるに至った歴史背景や、地理的な条件を一緒に考察してより面白いかも知れません。

難点としては、今回紹介したものはいずれも「高額」で、かつテディベアを除けば持ち運びに不便であるという欠点があります。いずれまた、気軽に購入できるお土産や、食べ物・飲み物のお土産をピックアップしていきたいと思います。

写真出典:
クリスマスの飾り
https://www.glasmarkt-lauscha.de/
くるみ割り人形
http://www.erzgebirge-palast.de/Nussknacker/Koenige:::50_266.html
テディベア
http://www.steiff.com/de-de/teddybaeren-kuscheltiere/teddybaeren/teddybaeren-fuer-kinder.html
カッコウ時計
http://www.hubertherr.de/german/tradition.asp
マイセンの陶磁人形
https://www.meissen.com/de/produkte/die-musik-h-215-cm