ドイツの政府は市民の教育に随分と力を入れています。美術館、博物館、大学しかり、そして図書館に関しても、日本以上に使い勝手の良いものだと私は思います。
今回は、ドイツの図書館事情および図書館の使い方についてまとめていきたいと思います。
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ドイツの図書館
ドイツ語で図書館はBibliothekまたはBüchereiと言います。基本的には市や国によって運営されているものが大半ですが、中には大学や教会、あるいは美術館などによって運営されているところもあります。
まずはデータ的なところを先にみてみましょう。以下のサイトにドイツの図書館事情についてデータが掲載されていましたので、引用します。
10.180 Bibliotheken gibt es in Deutschland 345.400 Veranstaltungen finden jährlich in Bibliotheken statt 700.000 Besuche zählen Bibliotheken jeden Werktag 210.000.000 Menschen besuchen Bibliotheken jährlich 369.000.000 Medien stehen in den Bibliotheken bereit 467.000.000 Medien werden jährlich entliehen
(Quelle: Deutsche Bibliotheksstatistik 2013)
- ドイツには10180の図書館が存在する
- 年間345,400ものイベントが図書館で開催される
- 毎日700,000人もの来客が図書館を訪れる(平日)
- 毎年2億1000万人もの来客が図書館を訪れる
- 図書館には3億6900万もの情報媒体(本、雑誌など)が用意されている
- 毎年4億6700万もの情報媒体が貸し出される
(引用:Deutsche Bibliotheksstatistik 2013)
ちなみに日本はというと、平成19年度で全国の図書館の数が3,165と書かれています(日本図書館協会調べ)。なので、日本の3倍もの図書館がドイツには存在することになります。
国の施策ということもありますが、ドイツ人(特に女性)はとにかく本を読むのが大好きです。ドイツの有名な作家といえばゲーテ、シラー、ハイネ、ヘッセ、カフカなどですが、そうした有名どころは彼らは一通り読んでいますし、日本の村上春樹などもファンは多いです。
以下、実際にドイツの図書館を利用するうえでの手順についてまとめていきます。
ドイツの図書館で借りられるもの
以下、ドイツの図書館で借りられるものです。
- 書籍
- DVD
- CD
本・雑誌に関しては日本と同じです。図書館に入ってすぐのところに大抵このような地図が建てられていますので、そこでお目当ての本・雑誌を探すことになります(用語の説明などは記事の最後に邦訳をのせておきます)。
オンライン端末で探すこともできますが、混んでいたので写真は撮れませんでした。もっとも、オンライン端末で探すには本のタイトルが必要なので、漠然と『この分野のところがみたいな』というのであれば上記の地図をもとにぶらぶらしたほうが楽しいです。
雑誌(Zeitschrift)に関しては貸し出し不可のところもあります。以下のように雑誌コーナーという物が供えられていますので、時々日本のものも目にすることが可能です。
また、ドイツの図書館ではDVDやCDも借りられるのが特徴的です(TSUTAYA的な)。ただし、書籍と違ってこちらは『1ユーロ』かかりますので注意しましょう。
本やDVDの借り方に関しては後述しますが、返却期間はたいてい一ヵ月です。
ドイツの図書館利用
続いてドイツの図書館の、施設の紹介です。図書館の内部はこのようになっており、平日はそこまでごった返していることもありません(休日は込みますが)。
以下、簡単に図書館設備の紹介です。
図書館の設備
入場、出口
入場に関して、入場料を取られることはありません。中でのマナーは日本と同じで、携帯で通話をしない、大声で騒がない、食べ物を持ち込まない、などを守りましょう。基本的には日曜日が休みですが、中には月曜日など他の曜日に休みを設けているところもあります。
また、出口にはセキュリティーが設置されていますので、もし本を無断で持ち出そうとしたらブザーが鳴り、多分罰金等払わされます。
インフォメーションセンター・受付
ここでは、図書館カードをつくったり、機械の使い方を尋ねたりすることができます。他の公務員と同様、図書館のおばちゃんたちも比較的友好的です。
ただし、パートのおばちゃんなので英語はあまり通じないことが多く、ドイツ語メインの会話になりますので注意しましょう。
トイレ
ドイツで困るのがトイレが有料というところですが、図書館のトイレは嬉しいことに無料です。ドイツは治安がいいことで有名ですが、それでもトイレに行くときには念のため荷物を一緒に持っていきましょう。
特に観光地などでは頻繁に置き引きが発生しており、図書館も同様です。
座席
ドイツの図書館の座席は日本と同じ、複数人でかけるタイプの座席です。日本と同様、ここで本を読んでもいいですし、勉強をしても寝ていても問題ありません。
パソコンをしている人もいますが、パソコンは専用のブースを設けている図書館が多いため、そちらに移動した方が礼儀良いです。
本を借りる手順
はじめに『インフォメーションセンター』で図書館カード(Bibliothekskarten)をつくるところからはじめましょう。
図書館カードを作る際に必要なのが『滞在ビザ』です。ビザには住所をはじめ、必要な情報が全てのっていますので、これ一枚あれば基本どこの図書館でも図書館カードが発行できると思います。
ここで『図書館カードをつくりたいんだけど(Ich möchte eine Bibliothekskarte machen)』とでも言うと、はんはん、と察してくれて必要な手続きが始まります。
手続きの前に、私の場合は『図書館カードのタイプ』を選ばされました。
以下の3つのパターンがあったと思います。
- 1ヵ月パターン(4ユーロ)
- 3ヵ月パターン(9ユーロ)
- 12ヵ月パターン(21ユーロ)
うろ覚えですいません。たぶんこのパターンだったと思いますが、図書館によっても違うでしょうし、年によっても変化するでしょうから、大体相場として考えていただければ問題ないです。
私の場合は12ヵ月パターンで作成しました。と、いうか長期滞在者は12ヵ月一択の料金設定です。
その場でサインと電話番号、メールアドレスを書かされて、お金を払って、受付から5~10分程度で図書館カードが受け取れます。
ここで、一度に借りられる本の数とか、延長したい場合の手続きの仕方とかを説明されます。本を借りられる期間は1ヵ月で、それを越えて借りる場合には、誰もその本の予約者がいないことを確認し、再度貸し出しの手続きをおこなう必要があります。
ドイツの図書館システムで驚いたのが、以下の機械です。これは本を貸し出す際に使用する機械です。
これも、オンライン端末と同様、写真なんて撮ってたら怒鳴られそうなので詳細は割愛しますが、以下の手順で本を借りることができます。
- 機械の上に借りたい本と図書館カードを置く
- 機械が本とカードを自動的に読み込むので、画面のボタンをクリックする
- 画面の横から領収書のようなものが出て来る
以上をもって、貸出の手順は終了となります。この機械を通しておいたので、もう本を持って外に出ても問題ありません。場所によるかもしれませんが、私の図書館は返却期限が迫るとメールで知らせてくれるシステムになっています。
返すときは、日本と同じで写真のような返却ボックスのようなものがありますので、そこへ放り込めば終了です。上へ置くと中へ吸い込まれていくので気持ちいいです。(返却ボックスは日曜日もやっています)。
分野と日本語訳
最後に、図書館で必要だと思われる分野の日本語訳です。
- Mathematik 数学
- Naturwissenschaften 自然科学
- Medizine 医学
- Sport Spiel スポーツ
- Religion 宗教
- Psychologie 心理学
- Sprache 言語(英語、ドイツ語の参考書などもここにあり)
- Literatur 文学
- Geographie 地理(旅行関係の本もここにあり)
- Geschihte 歴史
- Recht 法律
- Sozialwissenschaft 社会学
- Wirtschaft 経済学
- Philosopie 哲学
- Kunst 芸術
- Musik Tanz Film 音楽、舞踏、映画