ドイツの大学・大学院における期末試験(Klausur)と日本との違い

ドイツの大学・大学院の目玉ともいえるイベントが「期末試験(Klausur)」です。Prüfungsangust(試験不安症)と呼ばれる造語までできるほど、ドイツの試験は過酷で、生徒たちから恐れられています。今回は、このドイツの試験についてみていきたいと思います。

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ドイツの試験の持つ意味とは

日本の大学は、出席やレポート、宿題などいわゆる「プロセス」も重視してくれるのですが、ドイツの場合、大体「結果」のみが重視されます。つまり、授業に一回も来なくても、試験でいい結果さえ残せば全部の授業に出席した生徒よりもいい成績を得ることができます。

そんなわけで、この「一発勝負」の期末試験の持つ意味合いはとても重要で、試験前になるとドイツの大学生はみんな必死になって勉強します。

ドイツの成績は1.0~4.0の中でつけられます(1.0が最高、落第は5.0)。ドイツでいわゆる「良い成績」とみなされるのは2.0以上ですので、みなそれを目指して必死になります。ちなみに、落第か合格かの目安は、60%以上の成績を試験で収められれば「合格」とみなされるようです。

ドイツの大学で推奨されている、試験を良い点でパスするのに必要な時間は、一科目当たり130時間です。4月に開始し、7月末に試験がある場合、4ヵ月で130時間勉強する必要がありますので、一日あたり1時間は一つの科目に費やしておきたいところです。

特に、私のような大学院からドイツで勉強を始めたものにとっては、勝手も違いますし、問題文をドイツ語で読むのも不慣れなので、それ以上の時間を費やしておく必要があると考えたほうがいいでしょう。

ドイツの試験と日本の試験の違い

ドイツで試験を行う方のために、ドイツの試験の暗黙の了解のようなものをここでまとめておきます。これは、ドイツ人にとっては当たり前のことですが、我々日本人にとっては新鮮なものばかりです。

1.筆記はボールペン

シャープペンシル、鉛筆に慣れている我々日本人にとっては聞きなれませんが、基本的に筆記はボールペンで行います。間違えた箇所は、二重線などで消すような形です。当日ボールペンが無くても、試験官に言えば貸してくれます

2.辞書持ち込みOK

実は、ほとんどの大学の試験では「独英」「日英」「日独」辞書など、自分の母国語と、試験で行われる言語が異なる場合、辞書を持ち込むことが認められています。ただし、電子辞書ではなく、紙の辞書オンリーですので、日本からコンパクトなものを買って持っていきましょう。

3.試験のチャンスは2~3回ある

ドイツの大学では、試験のチャンスは実は2~3回あります。2回目の試験は、例えば、1回目の試験のために準備する時間がなかったり、たまたま他の試験と被って時間が合わなかったりと、いろいろな理由で受験することが可能です。同様に、1回目の試験で落第した人も、この2回目の試験を受けられます。

1回目の試験が7月末に行われるのであれば、二回目の試験は8月、あるいは9月に行われます。

4.試験開始と同時に、席を立つ学生がいる

ドイツの大学で試験をすると驚くと思いますが、試験開始と同時に席をたち、試験用紙をほぼ白紙で提出して去っていく学生がいます。

上述のように、ドイツの大学では「いい成績」をとることが至上命題ですので、試験の山が外れ、悪い成績をとるくらいなら落第し、二回目の試験のチャンスに賭けよう、という人々が、試験開始とともに去っていくわけです。

5.試験用紙に名前を書いてはいけない場合がある

ドイツで試験を受けていて、何度か経験したのが、試験用紙には「学籍番号」のみを書き、名前は書かないでください、という試験用紙があることです。これはおそらく、名前によって特定の生徒にバイアスがかかることを防ぐ目的でしょうか。ともあれ、こういった場合は名前を書いてはいけません。