寒い寒いドイツの冬を乗り切ろう。防寒対策、冬の食事、気候について


ドイツは多くの点で日本とはことなります。特に文化的な違いに目をむけると、ドイツ人の性格、ドイツの家、ドイツの仕事習慣、食習慣などなど。こうした違いは、ドイツに住む日本人にとって、場合によっては悩みの種になることがあると思います。

しかし、こうした日本とドイツの文化的な違い以外にも、在独日本人を悩ませる問題があります。それは、暗く寒いドイツの冬です。

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ドイツの冬

ドイツ語で冬はWinterで、これは英語と同じです。暦のうえでは12~2月までがドイツの冬ですが、人々は寒さを感じたら『Der Winter kommt!(冬が来たぞ)』と言います。

ちなみに、日本では『春の足音』のように季節を擬人化しますが、ドイツでも『Der Winter steht vor der Tur.(冬がドアの前に立ってる)』といって、冬の近づいている様を表します。

それは、春の足音のようにかわいらしい、歓迎されるような代物ではないでしょう。多くの芸術作品で形容されるように、冬は死と絶望の季節です。少なくとも、ドアの前に立っているのは、好ましくない何かでしょう。例えば以下の詩は、ドイツ人の冬に対する思いを端的に示していると思います。

Wind und Sonne
wurden vom Himmel verbannt
Tag um Tag
wird Atmen schwerer
dann laden sich Wolken
aufs Land
und drohen –
die Welt in Grau und Schnee
zu ersticken
by Hans-Christoph Neuert (1958 – 2011)

【冬の重荷】
風も太陽も 
空から締め出された
日に日に
空気は重く
雲はのしかかる
この世を
絶望と雪のなかに
窒息させんと
威嚇するように

夏を過ぎると、ドイツの空からは太陽が消え去り、毎日の日照時間が極端に少なくなります。空は曇天に絶え間なく覆われ、“冬晴れ”を望むことはほとんどかないません。この日照時間の問題は、私にとっても、冬の凍てつく寒さよりもきついと思えます。

そのためか、ドイツ含め北欧では冬になると特に自殺をする人が多くなるとききます。ドイツ人は年間30日近い有給が使えますので、冬の間に一気に消化し、トルコやイタリアなどに太陽を求めて旅行にでかけていくことも多々あります。

以下、こうした厳しいドイツの冬を、以下のような切り口から見ていきたいと思います。

  1. ドイツの冬の気候
  2. ドイツの冬の食材
  3. ドイツの冬のファッション・防寒具

1.ドイツの冬の気候

まずは冬の気候ですが1月あたりは、北陸のようにドカ雪が降るわけではありませんが、気温はマイナス2度~3度辺りのレンジで、朝方は道路が凍っていることもあります。

ちなみに、参考までに12月~2月までの気温と降水量をみてみましょう。

     12月   1月   2月
平均最高気温 5.6度   5.0度   6.5度
平均最低気温 1.5度   0.3度   0.7度
降水雨量 73.4mm  63.8mm  61.6mm
日照確率 15.3%   16.3%   26.8%

このように、1月が一年の中で一番寒い時期で、それを過ぎてさえしまえば日照時間、平均気温共に徐々に高まっていきます。

気温自体は、他の北欧・東欧諸国に比べるとそこまで厳しいわけではありません。問題は、日照時間の少なさです。日照確率もさることながら、とにかく日の出が遅く、日の入りが早い、という環境にあります。

冬のドイツの冬の日の出、日の入りの時刻ですが、大体日の出は8時、日の入りは16時と、夏場に比べると極端に日が短いことも特徴的です。夏場は夜の21時くらいまで明るいのですが、秋分を越えたあたりからめっきり日が暮れるのが早くなり、冬場は夕方でも外に出ると真っ暗な状況です。

http://www.sonnenuntergang-zeit.de/

上述のサイトでドイツの都市の日の出、日の入りの時刻を確認することができます(都市によってそこまで違いはありませんが)。

日照不足によるカルシウムの欠乏を補うために、冬になると几帳面なドイツ人たちはビタミンDのタブレットを買い始めます。

2.ドイツの冬の食材

今でこそ世界各地から野菜や果物が輸入されてくる時代になって、冬でもマンゴーが食べられますが、かつてドイツは不毛の地で、ジャガイモしかとれないところでした。そのため、かつてドイツでは「ジャガイモが料理できないとお嫁にいけない」と言われたほどです。

それが長い時間をかけて農業技術を発達させてきて、様々な有機野菜を冬場でも店頭でみかけることが可能になりました。

Sie möchten auch im Winter gesund und kalorienbewusst schlemmen? Kein Problem – sogar in der kalten Jahreszeit gibt es Äpfel und viele leckere Gemüsesorten aus heimischem Freilandanbau.

『冬のあいだも、健康的に、カロリーに気を付けながら食事を楽しみたいと思いませんか?心配ご無用です。寒い季節の間でも、国産の農家(温室栽培ではない)からとれたリンゴや美味しい野菜を味わうことができます。』

これはドイツネスレのホームページから拝借しましたが、やはり国産、有機野菜、というのはどこの国でも人気ワードのようです。スーパーには、冬でも様々な野菜や果物がそろえられています。

Saisongemüse und -obst, das aus der Region stammt, hat keine langen Transportwege hinter sich. Es ist aromatisch, vitaminreich und enthält reichlich sekundäre Pflanzenstoffe. So stecken beispielsweise in Wirsing, Weißkohl und Co. sogennante Carotinoide und Glucosinolate.

『国内各地から収穫された旬の野菜と果物は、長い陸路を経てやってくるわけではありません。そのため、芳香が漂い、ビタミンに溢れ、十分な栄養を兼ね備えた新鮮なものです。例えば、サボイキャベツや白キャベツなどにはカロテノイドやグルコシノレートが含まれています』

カロテノイドは動物に吸収されるとビタミンAに姿を変える栄養素のようです。グルコシノレートは調べてみても不明でしたが、恐らく似たような栄養素の一種です。

果物に関しては『リンゴ』が冬の果物の代名詞のようなもので、スーパーなどにもたくさん売られています。野菜に関しては、ほかには以下のようなものがドイツでは冬に旬を迎えるようです。

Champignons, Chicoreé, Chinakohl, Feldsalat, Grünkohl, Kartoffeln, Knollensellerie, Kürbis, Lauch, Mangold, Möhren, Rosenkohl, Rote Bete, Schwarzwurzeln, Weißkohl

『マッシュルーム、チコリ、支那キャベツ、ノヂシャ、キャベツ、ジャガイモ、カボチャ、ネギ、フダンソウ、ニンジン、赤キャベツ、赤カブ、キクゴボウ、白キャベツ』

主に根菜類が多いようです。ドイツ名物の『塩キャベツサラダ』も、この時期ですと普段より美味しいのかもしれません。

ドイツのリンゴ

ドイツのリンゴ

3.ドイツの冬のファッション・防寒具

最後にドイツの冬のファッションですが、大体コート一着持っててインナーを使いまわせばなんとかなる感じです、ドイツ人はみんなそんな感じです。

その他着合わせとしては、周りを見ている印象としては以下のような感じですので参考にしていただければと思います。

  • アウター:コート(基本的には暗い色が多い)
  • インナー:セーター、タートルネック、トレーナー
  • ボトム:厚手のズボン、ジーンズ
  • 小物:マフラー、耳当てorニット帽、手袋、厚手の靴(トレッキングシューズのようなもの)

アウターに関してはそんなに説明がいらないと思いますが、日本の冬よりも寒いので、普段着ているコートよりももう一段階温かい恰好を想定していた方がいいと思います。

ピーコートからロシアの軍人が着ているようなものまで、ドイツの人々はファッションにそこまで頓着ないようで、基本普通の概念のコートであれば浮くことはありません。

ちなみに、お店で売っているコートはこんな感じです(200~500ユーロ程度しますので、コートは日本から持ってくることをお勧めします)

ドイツのコート

ドイツのコート

続いてインナーです。室内やレストランなどではコートを脱ぎますが、暖房のききが悪かったりと中には寒い思いをする場合もありますので、重ね着は必須です。

私は寒がりなのでコートの下に3枚程度着ておきますが、外国人の中には冬でも1枚の強者もいますので、この辺は暑がりか寒がりかでコーデの好みが分かれるところかと。

ズボンも同様に、薄手では当然寒いので、ある程度厚めのズボンと、寝巻き用に同じく厚めのスウェットなどを用意しておきましょう。

最後に小物ですが、実はこれが一番重要です。特に手袋とマフラーは必需品です。どちらもドイツ国内で当然買えます。

ドイツの手袋

ドイツの手袋

相場としては、両方ともヒューゴボスのようなブランドに拘らなければ、大体20ユーロ程度で購入可能です。ブランド物のレザーの手袋なんかだと100~200ユーロくらいします。

また、靴も普通のスニーカーなどでは足が冷えます。トレッキングシューズのようなものがお勧めで、これは日本から持ってくるのは難しいので現地調達しましょう。

ドイツのブーツ

ドイツのブーツ

大体80ユーロもあればまずまずのものが買えますが、中には30~50ユーロ程度で購入可能なものもありますので、デザインに拘らないのであれば小物一揃いで5~60ユーロで調達可能です。

あとはお好みに応じて耳当て、ニット帽なども有用ですが、この辺は軽いですし日本から持ってきた方がサイズもあって良いかもしれません。