エコ大国ドイツの環境意識と環境問題に対するドイツ語のボキャブラリー

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2011年に東日本大震災が勃発し、福島第一原発のニュースが世界中を駆け巡りました。

私もドイツにいると、大抵のドイツ人が東京と福島の名前は知っています(広島・長崎、京都なども知っている人は知っていますが)。

欧州の経済大国ドイツは、日本の福島第一原発のニュースをうけて脱原発の流れが加速しましたが、今もってエネルギー価格の高騰などをうけて政権は動揺している状況です。

Deutschland will bis 2022 aus der Atomkraft aussteigen

『ドイツは2022年までに原発を脱却しようとしている』

原発はともかく、『環境問題』というものへのドイツ人の考えはかなり深いものがあり、大学受験を考えられている方はしばしばフリーディスカッションなどでかなりの割合でこの問題が取り上げられるので、今回は環境問題にまつわる単語をメインにヨーロッパをとりまく環境問題についてふれていきます。

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世界的な環境意識

今や環境問題は一国内で済む問題ではありません。海を隔てた中国の大気汚染が日本に流れてきますし、ヨーロッパのどこかの国で原発が暴走したら、国境を隔てた別の国にもその影響は及ぼされます。

放っておいたら自然に我々の環境がよくなるわけではありませんので、誰かが率先して先陣を切る必要があります。

とはいえ、これは先進国の都合ですので、未だに先進国の仲間入りを果たせない国々にとっては『自分たちが産業革命時代に散々CO2を撒き散らしておいて、今さら後進国にまで二酸化炭素や工場の規制をさせるのはおかしい!』となります

未だに、やはり石油燃料は根が張りますので、後進国では安価ですがより大気汚染が深刻な石炭などにエネルギーを頼らなければいけないのが実情です(太陽光や風力も、経済の観点からいくと石油・石炭には及びません)。

温室効果

温室効果のことを、ドイツ語で『Treibhauseffekt』と言います。我々の使う車や、エネルギーのもととなる火力発電などから排出『Ausstoß』される二酸化炭素が、地球の周りに層をつくって太陽の熱を逃がさなくさせる現象です。

以下、二酸化炭素が温室効果の原因です、というドイツ語です。
Der CO2 verursacht den Treibhauseffekt.

こうして世界の気温が上昇することで、日本でデング熱が流行るように、南方の病原菌が北上したり、生態系のバランスが崩れたりといった現象がおこります。

また、北極『Nordpol』の氷がとけ、海抜が上昇することで、海抜すれすれや海抜以下に暮らしている人たちが生活できなくなります(オランダや、ドイツ北部もそれに該当します)。

以下、氷河が溶けるというドイツ語です。
Die Gletscher schmelzen.

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ちなみに、1m海抜が上昇すると日本の砂浜の90%が消失し、干潟などに住む生物の生態系も大きく変化してしまいます。

以下、海抜が上昇するというドイツ語です。
Der Meeresspiegel steigt.

気候の変化

ドイツ語で『Klimawandels』です。異常気象の原因は様々に議論されており、直接の原因が何かは今もって知られていません。

地球の地軸だとか、太陽の影響だとかいう説も言われていますが、人間による環境破壊のつけがまわってきたのだろう、という意見が大多数です。

異常に多い雨と、異常に少ない雨、この2つが我々の環境を苦しめます。異常に雨が多ければ、当然洪水『überschwemmung』を引き起こしますし、少なければ干ばつや砂漠化などを引き起こします。

ドイツも今年たびたび豪雨に見舞われ、数人が亡くなっています。

クリーンエネルギー

それでは、火力発電を離れクリーンエネルギーに切り替えていけばよいでしょうか?メリットがあればデメリットがあるものです、以下のような一見クリーンにみえるエネルギーにも、問題が潜んでいます。

1.原子力発電『Atomkraft』
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冒頭でも述べましたが、福島第一原発の事故があってのち、ヨーロッパでは脱原発の動きが高まっています。

チェルノブイリもしかりですが、原子力は一旦暴走してしまうと手が付けられませんし、原子力発電所から海へと排出される水も、一節によると海面温度上昇の原因になっています。

もしヨーロッパの原発が大きなトラブルをおこしたら、おそらくヨーロッパのほとんどの国に影響がもたらされるでしょう。

そういえばこの前以下のようなタイトルをちらっと読んだのでのせておきます。
Das Wasser um Fukuschima Atomkraftwerk war radioktiv verseucht.

『福島原発付近の水は原子力汚染された』

2.水力発電『Wasserkraft』
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水力発電は、ドイツの総エネルギーのおおよそ4分の1を占めています。一見してクリーンに見えますが、実はその近くに住む水生体の生態系を乱すとも言われています。

3.風力発電『Windkraft』
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風力発電もしかりです。風向きが変わることによって、ある山岳地帯では、風力発電所を設置したことによってそこに住んでいた鳥がいなくなったという報告がされています。

大気汚染

ドイツ語では『Luftverschmutzung』です。特に、かつてドイツは酸性雨で有名になった黒い森がありますので、大気汚染に関しては結構シビアに見ています。

ルール工業地帯の排煙関係は、現在はかなり改善されています(かつては太陽が見えないほど工場のばい煙が立ち込めていた、と言われていますが)。

ただし、大気汚染に関しては中国から日本に黄砂が飛んでくるように、他の国からも国境を越えてこえてくるので、ドイツの新聞でもたびたび発展途上国のことなどが話題に取り上げられています。

Mehr als 3,5 Millionen Menschen sterben pro Jahr an den Folgen der Luftverschmutzung in ihren Wohnräumen. Die meisten Betroffenen leben in Entwicklungsländern.

大気汚染によって、毎年3500万人以上の住民が犠牲になっており、そのほとんどが、発展途上国の住民であると書かれています。

遺伝子組み換え食品

ドイツ語では『Genfood』です。また、遺伝操作は『genmanipulation』と言います。

我々の中には、暗号のように遺伝子が張り巡らされており、それが後世に伝わっていきます。しかし、遺伝子組み換えによって発育を促進されたり、砂漠地帯でも育つようにされた食物を食べることによって、我々の遺伝子に何らかの影響があるとも言われています。

他にも農薬をたくさん使ったような食物やなどもドイツでは避けられており、代わりにスーパーでは有機栽培や、中には自分で家庭菜園で育てている人も見受けられます。

ただし、自由貿易システムのデメリットですが、他国からそうした汚染された食物が、(以前中国産の食肉がどうといって日本でも話題になっていましたが)輸入されてしまうことを防げないという点が問題です。

オゾンホール

まあ、明るい話題もあります。

Ozonschicht hat sich in Teilen regeneriert

オゾンホールは部分的に回復している、と書かれています。

一時期、エアコンや冷蔵庫やスプレーに使用されるフロンガスのせいで、空高く我々を紫外線から守っていたオゾンホールに穴が開き、我々は皮膚がんのリスクと戦う羽目になりましたが、ここ数年で見込みよりも早くオゾンホールは回復にむかっているそうです。

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それでも、以下の文章によると、1980年代のオゾンホールに戻るには2050年までまたなければいけないようですが。

Ungefähr bis zum Jahr 2050 werde sich die Ozonschicht in weiten Teilen regenerieren können und das Niveau von 1980 erreichen

繰り返しになりますが、ドイツは環境意識が高い国ですので、大学のディスカッションに使わなくとも、一般教養として頭に入れておくのがいいかと思います。