ドイツ:聖ニコラウスの日には子供を躾ける怖いサンタクロースがやってくる

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日本でも年末年始は子供たちにとって幸せなひと時です。クリスマスにはプレゼントがもらえ、年始にはお年玉がもらえ、冬休みが享受できます。

ドイツの子供たちは、そんなプレゼント尽くしの年末年始にあって、もう一つキリスト教ならではのイベントを享受することができます。12月6日聖ニコラウスの日です。

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聖ニコラウスの日とサンタクロース

トナカイにのってやってくるサンタクロースを、実はドイツの一部の人は好んでいません。カトリックの中で、サンタクロースは元々12月6日にやってくるなまはげのようなキャラクター(後述します)で、トナカイ版のものはコカ・コーラの宣伝用に20世紀になってつくられたものです。

Der Weihnachtsmann wie wir ihn heute kennen ist eine Märchengestalt, die in den USA Santa Claus, in Holland Sinterklaas und in Russland Väterchen Frost genannt wird. In unserer Vorstellung wohnt er am Nordpol, wo ihm Elfen und Wichtel dabei helfen, Weihnachtsgeschenke für rund 2 Mrd. Kinder auf der Welt zu basteln. In der Nacht vom 24. auf den 25. Dezember macht er sich mit einem Rentierschlitten auf den Weg zu den Kindern, klettert durch die Schornsteine der Häuser und legt die Geschenke unter den Weihnachtsbaum. Wie es dazu kam und welche Rolle Coca-Cola dabei spielte, erzählt uns die folgende Geschichte.

『バイナフトマン(サンタクロース)は、こんにちではメルヘンの登場人物として我々に認識されている。アメリカではサンタクロース、オランダとロシアでは「Väterchen Frost」と呼ばれている。我々のイメージでは彼は北極に住んでいて、象牙と小人に助けられて、世界中の2億人の子供たちのためにプレゼントを作っている。12月24日の夜から25日にかけて、彼はトナカイの橇に乗って、子供たちのところに向かい、家々の煙突をつたって家に入り、クリスマスツリーの傍にプレゼントを置いていく。このような彼のイメージは、実はコカ・コーラの宣伝用に作られたもので・・・』

サンタとコカ・コーラ

サンタとコカ・コーラ

そのため、商業主義に反対するドイツの一部の敬虔な信者がサンタを襲撃する事件がかつて発生したとも言われています。

ドイツでは実際のサンタクロースは(実際という表現もおかしいですが)、12月24日ではなく12月6日に来ます。そこで良い子にはプレゼント(お菓子)を配り、悪い子には枝で打擲するそうです。

そのサンタクロースのもととなったのが、この祝日の名前にもなっている『聖ニコラウス』です。

Der Nikolaus Tag findet in Deutschland am 6. Dezember seinen Platz. In Finnland ist dieser Tag sogar ein Nationalfeiertag. An diesem Tag ist der Namenstag des heiligen Nikolaus von Myra. Myra ist eine Stadt in der heutigen Türkei, in der er Bischof war. Der Nikolaus ist einer der populärsten christlichen Heiligen und gilt als Schutzpatron der Seefahrer, reisenden Händlern und vor allem Kindern.

『ニコラウスの日はドイツでは12月6日に据えられている。またフィンランドではニコラウスの日は国民の祝日になっている。この祝日は聖ニコラウス・ミュラの聖名祝日である。ミュラはトルコの地名であり、聖ニコラウスはこの地の司教であった。ニコラウスはキリスト教のもっとも有名な聖人の一人であり、船乗りや行商人、そして全ての子供たちの守り神としても見なされている。』

古代都市ということで、今でこそミュラという地名自体は存在しませんが、トルコの観光地としてサンタクロースの石像が飾られていたりします(トルコはイスラム教だと思いますが、この辺は寛容なのでしょうか?)。

トルコのニコラウス像

トルコのニコラウス像

聖ニコラウスは3世紀~4世紀ごろに実在した人物で、12月6日は彼の命日にあたります。貧しくて売春を余儀なくされていた娘を救ったり、海難にあった人々を助けたりしたことから、彼は子供たち、貧しい者、あるいは水夫の守り神として讃えられています。

また、このように由緒ある名前ですので、ヨーロッパ圏ではこの『ニコラウス』にちなんだ名前を多くみかけます(二コラ、ニコール、ニコラスなど)。

Am Nikolaus Tag oder Abend gibt es verschiedene Bräuche. Vor allem aber soll es ein Tag für Kinder sein, da der Nikolaus von Myra ein Wohltäter der Kinder war. Kinder werden sprichwörtlich gefragt: “Bist du denn auch brav und fromm gewesen?
In vielen Familien wird erzählt, dass es das Goldene Buch des Nikolaus gibt, in dem alle Bosheiten und alle guten Taten eines jeden Kindes stehen. War das Kind lieb, wird es belohnt, wenn nicht, bekommt es eine Rute.

『ニコラウスの日またはその夜は、国ごとによって様々な習慣がある。ただ、全ての国においてニコラウスの日は子供たちのために存在する。なぜなら、ニコラウス・ミュラは子供たちの慈善家だったからだ。子供たちは次のような周知の質問を彼に(彼に扮した人々)投げかけられる。『君は素直で敬虔かな?』
多くの家族では、次のように説明されている。ニコラウスの金の書物というものが存在しており、その中に子供たちの全ての悪戯と全ての善行が書き記されている。もし子供たちが素直ならばそれに報いられるし、逆に悪い子供だったら懲罰が下される。』

起源を辿れば子供たち、弱き者、貧しい者の味方だったニコラウスさんですが、時とともに子供のしつけに使われるようになりました。

教会に現れた聖ニコラウス

教会に現れた聖ニコラウス

良い子にはプレゼントを、悪い子には罰を与える。親たちは子供たちが悪さをすると『ニコラウスがあなたを叩きに来るわよ!』といってしつけをします。私も子供の時、赤い見ず知らずの男に叩かれたらトラウマになりそうです。

Es ist eine Tradition, dass die Kinder am Vorabend ihre Schuhe putzen müssen. In der Nacht werden diese, vorausgesetzt der Besitzer war lieb, traditionell mit Nüssen, Mandarinen, Schokolade oder Lebkuchen gefühlt. Heute bekommen Kinder oftmals materielle Geschenke und kaum was Süßes.

『これはドイツの習慣だが、子供たちはニコラウスの日の前日には彼らの靴を磨く。そうするとその靴の持ち主は素直な子供であると言うわけで、翌日にはクルミやマンダリン、チョコレートやレープクーヘンが貰えるというわけである。こんにち、子供たちは甘いものというよりも、マテリアルな(つまりおもちゃなど)プレゼントを買いあたえられることが多い。』

というわけで、12月は今では多くのドイツの家庭で、子供たちは二回プレゼントをもらう機会があります。12月6日は聖ニコラウスが、12月24日には北極からサンタクロースがやってきます。

聖ニコラウスの日のお菓子

聖ニコラウスの日のお菓子

日本と同様で、小学校低学年くらいまで子供たちはサンタクロースを半信半疑くらいで信じていますが、やがて両親が冬のボーナスでプレゼントを買ってくれていたことを知ります。

日本にはあまり煙突が無いので子供ながらに『煙突ないのにサンタさんどこから来るんだ』と思っていましたが、ドイツの多くの家では煙突があるので、少しばかりサンタがいないと気付くのに時間がかかるそうです。

聖ニコラウスのパン

聖ニコラウスのパン

話がそれますが、サンタクロースと似たような話で、ドイツの子供たちは『歯をお金と交換してくれる妖精』を信じています。

乳歯が抜けたら、それを枕元に置いておくと翌朝妖精が歯を1ユーロに交換してくれるというおとぎ話で、妖精やらネズミやら国によって登場人物は違うようですが、欧州圏の伝統の一つのようです。