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勤めてきた会社を退職する、ということは、今までの会社のしがらみから解放され、休日のゴルフも残業もしなくてよくなる反面、今まで会社員でいたことによって受けられていた恩恵が受けられなくなるという問題が生じます。
具体的には、福利厚生・保険関係の手当てが一切受けられなくなり、自腹で払う必要が出てきます。
その辺の計算をせずに退職してしまうと、渡航前にお金が足りなくなる、という事態になりかねませんので、資金繰りに関しては綿密な計画を立てておくことをお勧めします。
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資金繰り
退職後の資金繰りに関しては、上記の事情もあって極力在社中に、できれば退職の通知前までにおこなっておくことが望ましいでしょう。と、いうのも、計算してみてやっぱり足りなそうだな、ということが分かれば、退職を先延ばしにする必要が出てくるからです。
さて、会社を辞めるとなると、副業や奨学金収入などのない限り、個人のキャッシュフローは赤字になります。
まず、留学に伴う学費、生活費、渡航費などはいったん後回しにし、とりあえず、退職に伴う支出を簡単に見てみましょう。
プラスの項目(+)
退職金、(失業保険)
マイナスの項目(-)
住民税、健康保険、年金、(引っ越し代)、(生命保険等)
以下、簡単に上記の項目をまとめていきましょう。
(+)退職金に関して
まず退職に伴い、通常は退職金が支払われます。企業などで、「企業型確定拠出年金」などを貯蓄している方は、その分も加算されて支払われるでしょう(企業型確定拠出年金の前受け取りは、各社ごとに規定が異なるため、別途規定などを読まれることをお勧めします)。
ただ、20代での退職となると、退職金の額面はあまり額は期待できませんし、会社の業績に応じて少なくなる、といったケースも存在します。個々の会社の退職金に関しては私は分からないので、マイナス項目である、引っ越しに伴う旅費や引っ越し費用とあわせて、社内の退職金規定、旅費規程等に事前に目を通しておくことをお勧めします(引っ越しに伴う旅費等は、『自己都合退職』の場合、自費負担になるケースが大半です)。
ひとつ、退職を語る上でわすれてはならないのが、基本的に、個人的な理由で会社を辞めるのは『自己都合退職』扱いとなることです。この自己都合退職で会社を退職する、ということは、失業保険手当が退職後3か月間もらえないことになり、場合によっては留学渡航スケジュールに大きく響いてきますので注意しましょう。
(+)失業保険手当に関して
上述の通り、自己都合退職にしてしまうと、退職から3ヵ月は失業手当は貰えません。ちなみに、失業手当としてもらえる額は、退職前半年の給料や勤続年数によって異なりますが、仮に5年働いた会社を月収40万円の人が退職したとすると、もらえる額は月々18万円で、限度は3ヵ月、つまり合計で54万円です。
詳しくは以下の記事を参照してください。自己都合退職の場合、退職後「3ヵ月」待つというのが、海外留学者にとってはネックです。
(-)住民税に関して
住民税は、前年の所得に応じて課せられるので、辞めてからも注意する必要があります。こちらも、前年度の所得や生命保険などの控除額によって変動しますが、計算が面倒な場合、15万円~20万円程度用意しておきましょう。詳しい計算方法は以下の記事で紹介しています。
(-)健康保険に関して
会社を退職すると、健康保険代は自分で負担する必要が出てきます。これは、割と馬鹿にならない額で、月々2万円ほどかかることとなり、しかもこれを払うのは義務です。ですので、会社を辞めてから渡航までの期間が開けばあくほど、この健康保険を毎月支払うことになります。
(-)年金に関して
年金は、今まで天引きだったものが自分で払うパターンに変わるだけなので、マイナスとはいきませんが、一応紹介しておきます。ちなみに、海外渡航時には年金徴収に待ったをかけることができますので、詳しくは下記記事を参照ください。
海外渡航中の年金制度の取り扱い:意図的に免除させることが可能
(-)引っ越しに関して
規定や赴任地にもよりますが、仮に独り暮らしの家から実家、ないしは留学先に荷物を送ろうとすると、最低でも5万円程度はみておくことが望ましいです(独り暮らしの私の場合、実家まで、引っ越し費用4万円弱でした)。
この中には、例えば、ベッドや洗濯機などを廃棄する費用も含まれています。リサイクル業者は、もちろん家具の状態にもよりますが、買い取っていくのではなく、こちらがお金を払って引き取っていくケースが多いです。
もし、その費用を節約したいのであれば、余裕をもってネットオークションなどで売りにだすことをお勧めします。
ちなみに私の場合、ベッドと冷蔵庫をネットオークションで売りに出したのですが、思ったより早く売れてしまい、最後の1週間をベッドなし、冷蔵庫なし、で過ごさなければならなくなりました。
そこまで高価なものでなければ、多少出費を覚悟してもリサイクルショップなどに引き取ってもらったほうがいいかもしれません。
まとめ
今回まとめた出費は、あくまで退職に関わる出費のみです。実際にはここに、留学のための学費、生活費、渡航費などが加算されていくことになります。
詳しくは以下の記事でまとめていますが、ドイツ語スキルがゼロの状態から、ドイツ語を習得し、ドイツの大学院を卒業するまでにかかる費用はおよそ「500万円」で、その期間アルバイトなどはほとんどできないと思っていてください。
ですので、今回計算した退職金などを勘案したうえで、上述の「500万円」に達するのかどうか、達しないのであれば、どこら辺の出費を削る必要があるのか、などを考える必要があります。