留学の目的が定まったら、次は具体的にどのように留学までの道筋をたどるかを計画していく必要があります。
この際、「ドイツ留学」というあまりに漠然として、情報も出回っていない世界に飛び込むことになりますので、それを手助けするためにエージェントという職種が存在します。
今回は、ドイツ留学にあたって最初で最大の関門、情報収集の正確性を、エージェントやインターネットでの情報などを比較して検証していきたいと思います。
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留学ビジネスの仕組み
ドイツ留学に当たって、参照できるものは具体的には以下の4つがあげられます。
- 留学エージェント
- インターネット情報(ブログなど)
- インターネット情報(DAADなど公的機関)
- ドイツ大使館
- 口コミ、友人などに聞く
少し面倒ですが、詳しくその情報の正確性を確かめるために、それぞれの媒体がどのようなビジネスモデルのうえに成り立っているのか、という視点からスタートしていきましょう。
1.留学エージェント
資本主義の仕組みとして、経済が基盤となって人々の生活が成り立っています。つまり『無料』『対価無し』でサービスや恩恵が享受できるということは、ほぼほぼありえないことだとまずは頭に入れておかなくてはいけません。
中には無料で海外留学の相談を受け付けているエージェントもいますし、無料の情報サイトもあります。ただし、そうした人々も当然、趣味や金持ちの道楽で迷える若者に道を教唆して回っているわけではありません。欧米の宣教師が植民地化の先兵であったように、彼らもまた、当然のことながら彼らの利益のために動いています。
代表的なところでは、紹介先からのキックバックです。似たような仕組みとして、保険代理店が存在します。彼ら自体は無料で顧客の生命保険や自動車保険をコンサルしますが、しっかり代理店手数料と呼ばれるものを元受の保険会社から得ていますので、ちゃんと元をとっています。留学エージェントもまた、無料の場合、懇意の語学学校などに生徒を紹介することで利益を上げているケースがあります。断っておきますが、これらは別に違法でもなんでもなく、れっきとした一つの『営業ビジネス』です。
ただ、問題は、紹介先の語学学校や団体のキックバックの料金によって、おススメする先が作為的に変わってくるということです。無料のサービスであれば、どこかから利益を得なくてはいけないので、当たり前といえば当たり前です。
無料のエージェントだけでなく、有料のエージェントも存在しますが、ビジネスには取引先がつきものですので、いずれのケースにしろ、100%中立的な立場からのコンサルティング、というものは望めません。
また、留学エージェントの持っている情報は「外から見た情報」であることが多いです。ドイツ留学に携わっているエージェントはいくつかありますが、そのうちの何人が実際にドイツに留学し、ビザの手続きなどまで一人でしたことがあるでしょうか。
語学学校を紹介するにしろ、すべての語学学校に通って比較検討したわけではありません。あくまで取引先をキックバックの関係で紹介しているだけです。
とはいえ、一応ビジネスではありますので、コンサルも語学学校の紹介もある程度は親身になってやってくれると思います。再度注意しますが、生徒が語学学校に入ればエージェントは儲かりますし、語学学校に払う金が高ければ高いほど、エージェントへのキックバックも大きくなりますので、みな「長期滞在」をお勧めしてきます。
エージェントの長所
- 経験、知識が豊富(な場合が多い)
- お金さえ払えばなんでもかんでもやってくれる
- トラブルの際に、責任の所存はエージェントとなる(場合によっては)
エージェントの短所
- どうしても損得勘定で動くことになる
- 「おススメプラン」は生徒にとってのお勧め、ではなく、エージェントにとってのお勧めである
2.インターネット情報(ブログなど)
それでは一方、インターネットの情報はどうでしょう?そもそもなぜインターネットに記事を書くのか、というと、これも親切心から記事を書いているような人はほとんどいません。1:アフィリエイト目的、2:自己顕示欲、のどちらかが彼らをブログ運営に駆り立てています(私のブログも、読者が増えることでお金が入る仕組みです)。
また、インターネットサイトの信ぴょう性はかなり怪しいところです。多くのインターネットサイト、ブログには出典元がありませんし、書いていると分かりますが、こんなものいくらでも改ざん・捏造・脚色できてしまいます。
私のサイトも、あくまで個人的な経験に基づいてのものですし、そもそも州によってドイツは決まりが異なるケースもありますので、100パーセント信用しないでいただけるとありがたいです。この辺は、プロフェッショナルでもビジネスでもなんでもないので、限界があります。
あとは、一部のアフェリエイトサイトなどに誘導するために、特段優良でないようなサービスを大々的に宣伝するようなケースもいくつかありますので、自分で記事を書いておきながらなんですが、私はインターネットの情報をほとんど信用していません。
インターネットサイト・ブログの長所
- 気軽にアクセスが可能
- 無料
インターネットサイト・ブログの短所
- エージェント同様、特定の業者に誘導されていることがある
- 信ぴょう性がない
- 自分で情報収集し、自分で責任も持つ必要がある
3.インターネット情報(DAADなど公的機関)
DAADなど公的なサイトがどのようにビジネスとして成り立っているのか知りませんが、サイトを読む限り割とまっとうな、そして正確な情報ですし、分からないこと、現地でないと知りえないことははっきり「分からない」「現地に確認してください」と書かれています。
ただ、難点として、だれかコンサルの人がつきっきりで懇切丁寧に助言してくれるわけではなく、あくまで多くの情報の中から自分に見合った情報を探し出して、自己責任で準備を進めていく必要がありますので、フレクシブル性の面ではあまりお勧めできません。
また、ブログのようにかみ砕いた表現でされているわけでなく、一般的なことが面白みのない文体でたらたらと書かれているだけですので、読むのが億劫です。私の場合も、DAADのサイトは合計で10分読んだ程度です。
大学のホームページもしかりで、英語・ドイツ語で読まなくてはいけませんし、片っ端からすべての大学の情報を読んでいくと果てしなく時間がかかります。
公的インターネットサイト(DAAD)の長所
- 無料
- 情報は割と正確
公的インターネットサイト(DAAD)の短所
- 自分の知りたい情報を収集するのが面倒、読むのが億劫
- 自分で情報収集し、自分で責任も持つ必要がある
4.ドイツ大使館
営利団体ではありませんし、情報の正確さ、という面ではぴか一です。ただ、彼らは非常に忙しく、かつ、電話・メールでの質問には割と長い待ち時間が要されます。しかも、彼らはエージェントでもなんでもないので、なんにでも答えられるわけではありません。彼らが取り扱っているのは、ビザ発行など、ごく限られた領域だけです。
ドイツ大使館の長所
- 情報は正確
ドイツ大使館の短所
- 返信まで時間を要する
- 回答をもらえる情報は限られている
5.口コミ、友人などに聞く
私が実際にドイツの大学院にいるので、割と色々な人から『どんな情報を参照したのか』と聞かれるのですが、そのように、一番手っ取り早いのは、知り合いに聞くことです。ドイツに留学したいならドイツに留学している人、フランスに留学したいならフランスに留学している人に話を聞きます。
ただ、問題として、それぞれの人がそれぞれのバックグラウンドを持っているので、ぴったり同じような情報が提供できるかといったら、微妙な要素があります。例えば、私の場合、日本の大学を卒業後、日本の会社で働いた経験を持ち、ドイツの大学院で経済を勉強したい、という場合であればアドバイスできますが、理系であったり、芸術系であったり、あるいは学部生であったりと、畑違いの場合はそこまでうまくアドバイスできる自信がありません。
案の定、私が留学するさいも、語学学校で何人か日本人で芸術や法律を勉強している人には会いましたが、私と同じ条件で大学を探している人は居ませんでしたので、情報の部分でかなり苦労しました。
口コミ・友人情報の長所
- 情報は中立的である
- 主観的な経験を交えての話なので分かりやすい
口コミ・友人情報の短所
- そんな都合の良い友人、知り合いはそうそういない
結局どんな情報を信頼すればよいのか
あれもダメ、これもダメ、と言っていますが、最終的には何がいいのでしょうか。結論を言うと、最適(ideal)な情報源はことドイツ留学においては今のところ存在しません。私の方法論を言わせてもらうと、上述の方法のうち、美味しいところどりをする、というやり方がベストです。
例えば、情報収集自体はインターネットでしますが、鵜呑みにするのではなく、あとからドイツの大学のホームページや外務省のホームページで確認したり、まったく同じ境遇でなくても、留学経験のある友達がいれば一部分だけ情報をもらったり、保険関係はエージェントに任せたりと、情報の寄せ集めをおこないます。
まとめ
最後に、とりあえず私の立場から、留学のための情報を探している人に対して言えることは以下の通りです。
1.いろんな情報源を参照する
1~2個の情報源ですと、プロパガンダの可能性がありますので、複数のサイトや情報源(口コミ、インターネット、友人、をフル活用)を参照し、比較するように心がけましょう。
2.プランは長期的に、ただし資金は小刻みに投資する
情勢は刻々と変化します。上述のようなやり方で得て、精査したはずの情報も、1年たったら全く状況が変わってしまうこともあります。
例えば、語学学校は長期滞在すると安くなりますが、滞在中に新たな情報が入ってくることも多々ありますので、フレクシブルに対応できるようにするためにも、投資は細分化しておく必要があります。『俺は1年ドイツで生活するんだ』といって一年契約で家を借りて、半年後に日本に帰りたくなった人を知っています。
3.逃げ道を残しておく
ドイツ留学は割とリスキーな部分もあります。私の知る限り、語学学校で知り合った半数近くの学生が、なんらかの理由で目的を果たせずに帰国しました。
というわけで、全額ドイツ留学にぶち込んだり、大学合格ありきで将来のプランを立てるのではなく、念には念を入れて、挫折後のプランも考えておくことをお勧めします。あとは、先ほど書いた通り『どうにかなる・ならない』は来てからじゃないとはっきり部分が大きいので、とりあえず日本で逃げ道を残してから挑戦したほうがいいかと思います。