ドイツ語試験TestDaFにおけるライティングとスピーキング

German, Language

前回、TestDaF一般にかかわることおよびリーディング、リスニングについてまとめました。今回は、TestDaFの中でも日本人が苦手な、アウトプット型の試験、ライティングとスピーキングについて見ていきたいと思います。

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TestDaFのアウトプット型

詳細を見ていく前に、そもそもアウトプット型とはどのようなものかというと、文字通り『自分の思ったこと、考えたこと』を文字にするなり言葉にするなり、表現する技能のことです。

このアウトプット型の中でも、特に『スピーキング』に関して、日本人は特に苦手意識を持っています。それは、単に言語の問題だけでなく性質の問題ではないかと私は思っているのですが、TOEFLしかりIELST(英語の試験)しかり、○○分時間をあげるので、自分の意見を述べてください、と言われたところで、それが仮に日本語であっても、思うように伝えられない人が多いのではないでしょうか。

ここからは更に私の推測なのですが、日本人の教育方針に根付いている『出る杭は打たれる』という悪しき風習が、間違ってもいいので自分の意見を述べる、という国際社会において重要な能力を欠如させているように思います。

逆に、ヨーロッパの人たちは、2分間与えられたら、とりあえずそれが正しいか否かはおいておいて、自分の意見をペラペラと述べ始めます。それがあまりに自信たっぷりなので、聴いている方はついつい同調してしまうのですが、特段、明確な資料や数字に基づいたものではありません。

というわけで、もしこのスピーキングが苦手だと感じているかた、ないしはライティングにしてもそうなのですが、アウトプットに対して苦手意識を感じている人は、それは自身の能力の問題というよりも、性質の問題ですので、人前で積極的に話す、書く、という練習を、日本語でもよいのですることをお勧めします。

これは、ドイツ語の試験に合格する云々よりも、今後ヨーロッパの社会で生き抜いていこうと考えたら不可欠な能力ですし、向こうでは、褒められこそしても、日本のように『傲慢だ』と上から叩かれる心配はあまりありません。

ここまでは前置きですので、以降、ライティングとスピーキングセクションについて見ていきましょう。

3.ライティングセクション

前回からの続きで、テスト当日の三科目はライティングの試験になります。時間は1時間で、その中でグラフの要約と意見の構築という、受けたことのある人にはお分かりかと思いますがIELTSのような試験形式です。

大体、グラフのほうは20分、意見の構築に関しては40分くらいのスタンスで行うのが良いとされていますが、私はグラフが苦手でしたので、そちらに時間をかけました。

面倒なことに、ボールペンでの記述式(リーディングもリスニングもそうですが)ですので、文の構成を一文でも間違えるとえらいことになります。上からぐしゃぐしゃっと消してもいいのですが、どんどん見栄えが悪くなりますし、段落を丸々一個間違えでもしたらえらいことになります。

このライティングセクション、私の周りでもあまりここで引っかかって落ちたと言う日本人はあまり見かけません。スピーキングとライティングという2つのアウトプット形式を見比べた時に、比較的時間に余裕のあるライティングのほうが、日本人のしょうにあっているのかもしれません。

さて、勉強方法ですが、理想的なのは毎日少しづつエッセイを書くことです。ベストなのは、何か学術的な記事を読む(リーディングの勉強)→それについての要約を書く(ライティングの勉強)というものです。

これは、リーディングとライティングの勉強のみならず、要約をするうちに語句も憶えますので、リスニングやスピーキングの勉強にもなる、非常に有効な勉強方法です。もし時間が無ければ、模範解答を丸々暗記してしまうというのも一つの手段です。

というのも、このTestDaFで出題される問題、毎回ほとんど同じですので、文章の構成さえ覚えてしまえば、あとはちょいちょいと語彙を代用するだけでなんとかなることもあります。ですので、円グラフ、棒グラフ、図表などの模範解答をそれぞれ覚えておけば6~70%の問題には対応できるようになるはずです。

とにかく、試験はボールペンという独特な形式ですので、極力、ボールペンを使った練習をしておきましょう。試験に限らず、向こうの人は授業などでもボールペンを使いますので、そっちに慣れておいた方がお得です。

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4.スピーキング

最後の最後に待ち構えているのが、このスピーキングセッションです。このスピーキング、TOEFLのように機械に向かって吹き込む形式ですので、例えば2分間話してください、と言われても、間が持たず、1分半程度で終わってしまうこともあります。

ただし、試験通に言わせるとそれはよくないようで、早く終わるくらいなら、時間をオーバーしろという言葉もあるくらいです。

試験は7~8問(ちょっと数は忘れましたが)で構成されていて、問題に応じて時間が異なります。例えば、最初の1問目は必ず『学校に問い合わせる学生』のシチュエーションで、30秒の猶予しかなかったと思います。

ただ、TOEFLと違って、紙とペンが用意され、問題の前に『準備時間』が与えられます。例えば、2分話してください、の問題であれば確か1分~1分半ほど準備時間を与えられたと思いますので、簡単なアウトラインを構成することができます。

また、ライティング同様、問題の形式は毎回似通っています。上述した学生のシチュエーションのほか、グラフの要約、友だちへのアドバイスなどなどですが、こちらも、要するにそのシチュエーションごとにフレーズを丸暗記してしまえば、結構なんとかなります。

勉強方法としては、ドイツに住んでいるのであれば、まずは人とひたすら話す事。試験2週間前になったら、時間を区切って、特定のトピックに関する練習問題を解きまくること。日本に住んでいても同様で、テープレコーダーとストップウォッチなどを使って、時間を計って自分の声を聞いてみるのも効果的です。

特に、試験の一番最後に行われると言うこともあって、集中力が途切れがちですが、ここで気を抜いてしまい、最後に涙をのんだ受験者は少なくありません。一日フルに試験すると疲れますが、どうにか乗り切りましょう。

まあ、日本の大学受験と違って、一年に一回だけというわけでもなく、2ヵ月に一回受けられますし、そこまで緊張する必要もありません。