ドイツの大学・大学院受験のための具体的な流れ(その2)

今回は、前回の続きで、具体的な大学院(大学)受験までの流れです。とにもかくにも、鬼門である『ドイツ語の試験』に合格する必要がありますので、まずはそれに集中しましょう。

スポンサーリンク

TestDaFとDSH

基本的には、前回もお話したように、上述の試験のどちらかのハイスコアが求められます。他にも、Goethe試験とかもありますが、こちらの難易度は高いので無視しましょう。

さて、TestDaFとDSHですが、それぞれ特徴があります。正直、どちらが適しているかは、それこそ、TOEFLとIELTSの違いのようなもので、一概に、どちらがいいとは断言できません。

TestDaFで合格してDSH不合格の人もいれば、逆もしかりです。以下、それぞれの特徴を書いていきますので、適していそうな方を受験することにしましょう。ちなみに、テイストが違いますので、同時並行で勉強するのはお勧めしません。

1.TestDaF

Deutsche als Fremdsprache(外国語としてのドイツ語試験)の略称で、巷ではさらに略してDaFと言われることが多いです。このTestDaFの最大のメリットは、日本でも受験可能だと言うことです。

日本でも受験できる

ですので、仮にドイツの語学学校に通うお金が無くなって、日本に帰国してからでも、熱意さえあれば受験することができますし、実際にドイツで不合格で、それから猛勉強して、日本で受験してようやく合格した人も何人か知っています。

そして、テストの形式的なお話ですが、運に左右されやすい試験です。試験はリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つで構成されており、リーディングに関しては全問マークシートです。

この試験で求められるのは『要点』を理解することです。特に、難所と言われるリーディングの試験では『このテキストの言っていることは○か×か』とか『この広告に適した人物を選べ』とか、文章を100%でなくても、要点さえ掴んでいれば正解できる問題がほとんどで、また、DSHのように文法問題もありません。

また、スピーキングは『機械に向かって』吹き込むタイプの問題です。試験官が相槌を打ってくれるわけではないので、これは大分好き嫌いが分かれる問題です。

そして、スコアリングは4段階でなされます。それぞれ、不可、3、4、5で採点され、よく言われている4×4とは、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの全ての試験でスコア『4』をとるということです。

私の見たところ、大学の中で全て5を必要とする大学も、ほんの少しありますが、無視していいレベルです。また、芸術系や理系など、オール3でもよかったり、合計15点でいいとか、ところによって基準が異なりますが、一般的には4×4を求められます。

2.DSH

Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang (大学入試のためのドイツ語試験)です。スコアリングは1,2,3でなされ、一般的に必要とされるのは『2』以上です。

まず、このDSHの最大の特徴ですが、ドイツの大学が個々に運営しており、その大学でしか受験できません。つまり、日本では受験できないのです。また、大学ごとに問題のレベルが異なりますので、最近の傾向から、問題が簡単な都市で受験することが望ましいです。

ただし、例えばBerlinの大学でDSHを受けたから、ベルリンの大学しか応募できないのか、といったらそういうわけでもなく、どこかの大学でこの試験に合格すれば、どこの大学受験にも使用可能になります。

さて、TestDaFとの違いですが、まず、スコアリングはそれぞれのパートではなく、まとめてなので、仮に足を引っ張る科目があったとしても、他の科目で挽回することができます。

TestDaFの場合、リスニング、スピーキング、ライティングが、最高点の5であったとしても、リーディングで3をとってしまったら、入学基準の4×4には届きません。対して、DSHの場合、点数は合算されますので、何かが苦手でも何かで挽回できるのです。

それと、リーディングでは文法が出題されます。スピーキングも、DaFのように機械に吹き込むのではなく、試験官との対話形式ですので、相槌をうってくれます。

この試験、受験できる人数が限られており、基本的には、その大学の『語学準備コース』に通っている生徒が優先されます。なので、手軽さで行ったらDaFですが、確実に合格を目指す場合、語学準備コース→DSHの流れの方が合格率は高いと思います。

受験と大学入学まで

さて、晴れてドイツ語の試験に合格しても、まだ大学に入れるわけではありません。一般入試の場合、書類選考が基本となり(中には、その後面接が行われるところや、筆記試験が求められるところもあります)、そのため必要書類を揃えなくてはいけません。

注意しなくてはいけないのが、外国人の締切りです。大学によっては、外国人もドイツ人と同じ締切ですが、多くの大学では、日本人は締め切りの一ヵ月前までに書類を提出してください、と書かれています。

しかも、ドイツには『大学総覧』のようなものは一切ありません。締切や応募要件(Zulassungsvoraussetzung)などは、全て個々の大学のホームページから探し出していくしかなくなります。

ちなみに、どういった大学を受験したらよいかというアドバイスですが、特別なコネなどが無いのであれば、とりあえず応募要件を満たしている大学を片っ端から受けていきましょう。受験費用などはかかりませんので、日本から受験するにしても、EMSの郵送代1500円程度です。

そして、大学のレベルなどに関してですが、ドイツの大学のほとんどが国公立です。つまり、極端なFラン大学などは滅多にないわけで、一部の超上位校以外、そこまで大学のレベルを気にしなくてもよいそうです(日本のように、大学別の偏差値などがあるわけでもありません)。

ちなみに、一部の超上位校とは、これは学部によって異なりますが、Munich、Mannheim、Bonnなどは、やはりエリート大学と言われています。この辺の情報は、私は自分の専門以外は詳しくないので、実際にドイツで知り合いを見つけて、自分の学部で優れている大学院を探すほうがよいでしょう。

さて、応募後の流れですが、締切から一ヵ月くらいたつと、メールなり郵送なりで結果が来ます。そこに、特定の期日までに受講料をおさめたり、家を探したり、正式な署名を送ったりしなさい、と言われますので、言うとおりにしましょう。

入学手続き期間は大体余裕を持って設定されているので、他の大学の結果もよくみて、考えてから行きたい学校を決めましょう。ただし、入学日が近づくにつれて、家さがしも難しくなりますし、飛行機のチケットも高くなりますので、焦らなくてはいけないのもまた事実です。