失業保険の失業手当。海外渡航者はしっかり知っておくべき基礎の基礎

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海外留学は費用のかかるものですので、少しでも多くもらえるお金はもらっておきたいところです。会社を辞めてから海外に留学するまで、期間があれば失業手当を受給できる可能性があります。

今回は、金額的に馬鹿にできない失業手当の受給の方法と、海外留学者の関係性についてみていきたいと思います。

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失業手当とは

そもそも、失業手当とはなにか、というと、会社を首になったり、倒産したり、退職したり、と様々な理由で定職についていない状況で、申請可能な給付金です。ただし、後述するように、誰でも彼でももらえるわけではなく、基本的には「失業した者」「再就職の意思がある者」がターゲットです。

「失業した者」これは明確です。もともと定職についていなかった人、もしくはいまだに職に就いている人はもらえない、ということです。問題は「再就職の意思のある者」という文言です。これは割りとグレーな部分ですので、詳細は後述します。

失業保険の受給資格

まずは、失業保険を受給する資格のある人についてまとめていきましょう。

ハローワークのHPには、以下の文言が表記されています。

失業の認定を受けようとする期間(認定対象期間。原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間)中に、原則として2回以上(基本手当の支給に係る最初の認定日における認定対象期間中は1回)の求職活動(就職しようとする意思を具体的かつ客観的に確認できる積極的な活動のことをいいます。)の実績が必要となります。
また、自己都合などで退職された場合、離職理由によっては、待期期間満了後3か月間は基本手当が支給されません(離職理由による給付制限)が、この期間とその直後の認定対象期間をあわせた期間については、原則として3回以上の求職活動の実績が必要となります。

(参照サイト:ハローワークインターネットサービス)

ここでは「自己都合退職」について言及されていますが、「ドイツに留学に行くので会社を辞めます」というのは立派な自己都合退職です。ですので、まずは、会社を辞めてから3ヵ月は、失業保険はもらえません。

ちなみに、自己都合退職以外で認定されれば、すぐにでも失業保険がもらえますが、『自己都合退職』以外の理由である『会社都合退職』で会社を辞めるには、身体の不具合、会社による退職勧告などの確固たる理由と証明が必要です。

『週に〇〇時間以上の残業時間の証明』など、不当に働かされていた記録をもって無理やり「自己都合退職」を「会社都合退職」に捻じ曲げることはひょっとしたら可能ですが、ものすごい労力を要するうえ、前の会社との関係も険悪になるので、お勧めしません。

そして、海外にいながら失業手当を受け取るのは基本不可能ですので(国内での就職活動が支給の条件のため)、自己都合で退職した人の中で、どうしても失業手当を受け取りたい人は、会社を辞めてから3ヵ月は待機し、それからようやく受給可能になります。

なので、退職から渡航まで、3ヵ月以上の猶予がある人は、受給申請をしてみてもいいかと思います。

ただ、問題は、支給は一時金で行われるのではなく、徐々に定額ずつ払われるので、全部もらえるまで待つとさらに半年程度かかります。

この半年、という期間は、会社を辞めてすぐにでも海外に留学したい人にとっては割と長い期間です。それでは、この時間と労力をかけてもらえる失業保険の額というのは、いったいどれくらいのものなのでしょうか。

いくらくらい貰えるのか

計算方法は以下の通りです。

1『賃金日額を計算する』

これは簡単です、手当などを含めた退職前半年分の給料を180(日)で割ってください。簡単に、田中さん(仮)の月給を40万だとしましょう。すると、40万円×6ヵ月(半年)÷180日ですので、賃金日額は12,000円です(残念ながら一日1万2千円が給付金額ではありません)

2『賃金金額に応じて区分けする』

本当は30歳未満と30歳以上などで少し金額が違うのですが、そう大きく違うわけではないので、ここでは30歳未満のテーブルにのっとって計算しましょう。

さきほど計算した日額賃金が、いくらかによって進み方が違います。

A:日額賃金(2320~4639円)
→日額金額×0.8=給付金額(1日当たり)

B:日額賃金(4640~11740円)
→((-3 × 賃金日額 × 賃金日額) + (70,720× 賃金日額)) ÷ 71,000=給付金額

C:日額賃金(11741~12880円)
→日額金額×0.5=給付金額

D:日額賃金(12881円以上)
→6440円(30歳未満の場合)=給付金額

田中さんの場合、日額賃金が12000円ですので、Cの区分けに入ります。ですので、12000円×0.5の、6000円が一日当たりの給付金額です。

3『2の結果に、給付日数をかける』

勤続年数に応じて、もらえる期間がことなります。
A:1~9年→90日
B:10~19年→120日
C:それ以上→150日間
田中さんはまだ20代なので、90日が限度です。つまり、6000円×90日で総額54万円もらえることになります(一度にもらえるわけではありません)

まとめ

さて、今回は会社を辞め、海外留学に行こうとしている人の失業保険の申請についてまとめました。結論としては、渡航まで期間にゆとりがあれば、受給申請することは可能ですが、そのために半年以上日本にくぎ付けにされます。

例えば、ドイツ留学前に日本で半年程度語学の勉強をしてから渡航したい、というような場合では、この失業手当を申請してみるのも、悪くない手段かと思いますが、なにせ受給資格は「再就職の意思のある者」ですので、すんなりいくかどうかは人それぞれです。

  1. 『自己都合退職』の場合、受給まで3か月かかる
  2. 海外にいながら失業手当受給は不可能

海外留学者のための国内主要事務手続き目次