勉強期間の目安は?日本人にとってドイツ語の学習はどれほど難しいのか?

我々日本人は、中等教育から英語を勉強しており、人によっては大学卒業までその勉強を続けますが、にもかかわらず、英語をビジネスシーンなどで使えるレベルに達している人の割合はほんの一握りです。

それゆえ、我々は「語学の習得」というものの難しさを、この英語の勉強を通じて理解していることだと思います。この記事では、ドイツ語はいったいどれほど難しい言語なのか、というところをまとめていきたいと思います。

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言語の習得難易度

言語の難易度は、絶対的なものではなく、その母国語からの距離によって測られる相対的なものです。例えば、我々日本人にとって中国語は比較的勉強しやすかったり、スペイン人にとってポルトガル語を習得するのは造作ない、といったような形です。

日本の語学アカデミーのまとめたデータによると、日本人における外国語習得難易度は4段階あり、主な言語では以下のようです(数字が増えるほど難しいということです)。

難易度1:韓国語
難易度2:中国語、トルコ語、スペイン語
難易度3:ドイツ語、英語
難易度4:ロシア語、アラビア語、チェコ語

http://www.dila.co.jp/business/learning_time.html

似たような研究は他国でもなされており、例えば、アメリカ人にとって習得が簡単なのは同じゲルマン語族であるドイツ語やオランダ語である一方、日本語、アラビア語など、文字からして異なる言語には彼らも困難を感じるようです。

また、注意すべき点が、上述の通り、語学の難易度は相対的なものですので、英語など他のヨーロッパ言語が得意な人にとっては、ドイツ語の習得は比較的容易である、という点です。要するに、英語と似たような部分が、文法的にも単語的にも多数現れてきますので、厳密に言えば、今まで英語を学習するのにかけたのとそっくりそのまま同じ時間をドイツ語にかける必要はないのです。

これは、他の言語にも言えることで、ロシア語を理解している人にとってはポーランド語の学習が少し楽になりますし、イタリア語が話せたらスペイン語も楽になります。ドイツ語は、ゲルマン語族の言語ですので、他にも、英語、オランダ語などと近接関係にあります。

ドイツ語のなにが難しいのか

上述の表でまとめられたドイツ語の難易度は3(上から二つ目)で、英語と同じくらいの難易度ということですが、実際に私もその通りだと実感しています。つまり、ある点においては英語よりも難しいのですが、ある点においては英語よりも簡単で、トータルすると、英語と難易度で比較すればどっこいどっこいなのか、という印象です。

まず、ドイツ語が英語よりも難しい点は「文法」です。例えば、ドイツ語には格変化があり、名詞の前の冠詞が、その名詞の役割によって異なってきます。英語の場合、これは「a」「the」などに当たる部分で、ここは変化しません。

例えば、以下、「父」という単語の冠詞がすべて、場面場面によって異なっているのが分かります。

  • Der Vater gab seinem Kind eine gute Brille.
  • その父親は息子によい眼鏡を与えた(1格)

  • Trotz dem Verbot des Vaters habe ich eine Partie gegeben.
  • 父の警句を無視して私はパーティを開催した(2格)

  • Er zeigte dem Vater seine neue Freundin.
  • 彼は父に新しい恋人を紹介した(3格)

  • Ich frage meinen Vater, ob das Zweck hat.
  • そんなことをして意味があるのか父に尋ねた(4格)

また、助動詞の働き、動詞の位置など、接続詞がくるとその後の語順が変化する点、などドイツ語は英語や日本語と比較し、文法部分で難しいという印象を受けます。

逆に、英語よりも簡単なのは発音の部分です。英語の場合、必ずしも書かれたとおりに読まれないことが多いですが、ドイツ語の場合、書かれた文字のまま、発音してくれることが多いです。

また語句と語句の間もはっきりと区切って発音してくれますので、リスニングも、英語に比べたら私はドイツ語のほうが楽だと感じます。

言語における到着地点

言語の勉強を行う場合、その目的地、ゴールをどこに据えるのか、で具体的にどれだけ勉強しなくてはいけないのか、が変わってきます。例えば、以下のドイツの人材コンサル会社によると、日本人がドイツで円滑に仕事ができるドイツ語の目安は、以下の通りB2~C1のようで、これは一つの目標値と呼べるかもしれません。

理系の研究所など、多国籍グループの職場などでは英語のみでも応募が認められるケースもありますが、基本的に、英語同様、ビジネスの場面で通用するように、B2~C1レベルのドイツ語力があることが望ましいでしょう。

他にも、独検1級、大学受験、など、指標となる試験や資格は多くありますが、私の場合、一つの言語を勉強する際に、目的の目安になるポイントが「その国の言葉を、日本語に訳さずに、話す・聞く・読む」ことができるか否か、です。

例えば、ballという英単語を聞けば、我々はおそらく「ボール」を即座にイメージすることが可能かと思います。これを、いちいち「球」と訳さないとイメージできない、という人はなかなかいないでしょう。

この「その国の言葉を日本語に変換しない」で理解する技能を、単語レベルではなく、文章レベルで行えるようになることこそが、外国語を勉強するにあたっての重要なターニングポイントだと私は考えます。

この水準に達してしまえば、あとは語彙力を増やしていくだけの作業になりますので、語学の勉強が、座学ではなくもっと楽しんで行える質のものになります。それでは、ドイツ語でこのレベルに達するには、いったいどのくらいの時間をかける必要があるのでしょうか?

到着地点に向けて、学習期間の目安

上述したような「ドイツ語を、日本語に訳さずに、話す・聞く・読む」ことができるようになったのも、大体学習を開始してから三ヶ月以上経過してからのことで、この時点でドイツ語で夢を見るようになりました。この「外国語で見る夢」は、脳の働きがその言語に切り替わったシグナルだそうです。

ただ、私の場合、ドイツの語学学校に通っての話ですので、日本で独学する場合などは、勝手が少し変わってきます。

一般的に、一つの言語をビジネスのシーンで利用できるまでにするには、最低でも1000時間必要だ、と言われています。私の場合、語学学校に半年ほど通い、以下のような具合で上達していきました。この語学学校では、基本的に毎日4~5時間は勉強し+日常会話などでもドイツ語を使うように心がけていました。

1ヵ月:簡単な文章が読める、簡単な言葉がきける、簡単な言葉が話せる(ただしネイティブには伝わらない)
2ヵ月:辞書を使えば少し複雑な文章が読める
3ヵ月:辞書を使えば新聞が読める、ラジオの大意が分かる、ネイティブとの簡単なコミュニケーションがとれる←一つのターニングポイント
6か月:ある程度ラジオが聞ける、ある程度新聞が読める、一対一ならネイティブとコミュニケーションがとれる

一般的には、学習時間3~400時間程度を目安に、言語の理解が深まるそうです。私の場合も、3か月を過ぎた時点で脳がなんとなくドイツ語に順応していく様子が分かり、いろいろな会話内容や本の内容が理解でき、勉強が楽しくなりました。

ペラペラになるにはさらに時間を要しますが、少なくとも、流暢でなくても現地人との会話を楽しむ分には、500時間くらいを目途にしたらよいのではないかと思います。

語学は、なだらかな坂道ではなく、階段だと言われています。ですので、一定期間助走をつけて、ある日を境に急にレベルアップするような気がするはずです。

ドイツ語習得のための学習方法

上のところで「半年」と「1000時間」という単位を出しましたが、この期間は、単に語学学校で消化した時間を指すわけではなく、効率的に学習した時間を指し示します。効率的にやればもっと短期間で上達することも可能でしょうし、逆に、非効率的にやれば1年たっても2年たっても外国語は話せるようになりません。

ドイツ語では『不規則動詞』『名詞の冠詞(女性名詞、男性名詞、中性名詞)』『格変化』と、憶えるだけでも大変な文法の知識がたくさんあり、それを頭で考えながら話すには、やはり受験勉強のような反復練習が必要になってくるのです。

語学学校の勉強は語学学校の勉強でいいのですが、それから家に帰って、どのような勉強をするのか(モチベーションがあがらないこともあるでしょうが)、これによって、習熟度が変わってきます。

以下、私の参考になった勉強方法をいくつかまとめていきますので、『これはあうな』と思うものがあれば試していただければと思います。

もっとも、どの勉強方法が人にあうかは人それぞれだと思いますので、大学受験などを思い出し、ベストなやり方を見つけ出すことがお勧めです。

また、ドイツ語の学習期間とレベルの推移や、他言語との比較など、詳細に関しては以下の記事でまとめてあります。

聞き取りに関しては、英語やロシア語よりも簡単だと感じています。というのも、英語やロシア語は、たまに語尾を別の語の頭とくっつけるような発音をするからです。対して、ドイツ語の場合、基本的に一語一語をはっきりきっぱり読み上げる傾向にあります。