以前、簡単にではありますが、ドイツ語の習得難易度についてまとめました。
そもそも、ドイツ語では『不規則動詞』『名詞の冠詞(女性名詞、男性名詞、中性名詞)』『格変化』と、憶えるだけでも大変な文法の知識がたくさんあり、それを頭で考えながら話すには、やはり受験勉強のような反復練習が必要になってくるのです。
今回は、より詳しくドイツ語の習得の軌跡を見ていきたいと思います。
スポンサーリンク
ドイツ語と他言語の比較
私は、ドイツ語以外にもいくつか言語を習っているのですが、いくつかの項目でそれらと対比させてみようと思います。ちなみに、個人的な感想ですので、習熟度による偏見などがあるかもしれませんが、一応周りの外国人の意見も取り入れています。
1.ドイツ語の聞き取りに関して
聞き取りに関しては、英語やロシア語よりも簡単だと感じています。というのも、英語やロシア語は、たまに語尾を別の語の頭とくっつけるような発音をするからです。対して、ドイツ語の場合、基本的に一語一語をはっきりきっぱり読み上げる傾向にあります。
ですので、例えば映画や講義などで英語の新しい単語がでてきても、スペルが分からないことがありますが、ドイツ語の場合、新しい単語のスペルはおおよそ理解することができます。
2.ドイツ語の文法に関して
ドイツ語の文法の難易度は英語以上ロシア語以下です。英語には男性名詞、女性名詞などの概念がありませんし、目的語の種類も一つです。ドイツ語では格変化が4つで、ロシア語は更に増えます。スペイン、ポルトガル語などもドイツ語に比べると文法構造は比較的容易だと言われています。
ただ、根本的なルールに関しては英語と似ていますので、英語の文法知識を多く身につけていれば、その分ドイツ語の理解が早いはずです。ちなみに、ドイツ語の後に私はロシア語を勉強しましたが、ドイツ語とロシア語の共通点も多いです(人称による語尾変化の種類や、一部の前置詞の使い方など)。
3.ドイツ語のアルファベットに関して
ウムラウトと若干のアルファベットが英語とは異なりますが、ほぼ構造は同じですし、新しくいくつかのアルファベットを覚えなくてはいけないロシア語や、日本とは微妙に漢字の作りが違う中国語、そもそもアルファベットではない韓国語やアラビア語に比べるとかなりイージーです。
ただ、後述するように、似ているからこそ、発音の微妙な違いに関しては注意する必要があります。
4.ドイツ語の発音に関して
個人的には、英語、ロシア語、中国語、ドイツ語を並べた時に、発音難易度は英語=ドイツ語<中国語≦ロシア語です。まあこれには住んでいる期間や習熟度が大きく関係してくると思うので一概には比べられないのですが、個人的にはピンインよりもドイツ語のようが簡単だと思います。特にドイツ語で苦戦するのは、ウムラウトとRの発音でしょうか。この辺は、後からではなく最初のうちに一気に習得してしまったほうが楽です。
ロシア語は、以前の記事でもまとめたように、日本人にとっての難易度はマックスですので、発音も文法も難しいです。
5.ドイツ語の語彙に関して
ラテン語の語彙をかなり受け継いでいますので、英語が得意であればある人ほど、ドイツ語のボキャブラリー習得は有利です。また、フランス語、ギリシャ語の語彙も割と導入されていますので、この辺話せる人は初めからアドバンテージあります。
これも個人的な感想ですが、英語よりもドイツ語のほうが、新しい語彙が文中に出てきたときに、なんとなくイメージできることが多いです。例えばSonderrechtは『特権』という意味ですが、sonderは『特別』、rechtは『権利』という意味なので、二つ合わせて『特権』といった具合です(英語と似たPrivilegも使えますが)。
ただし、注意点として英語や中国語と違って『男性名詞』『女性名詞』『中性名詞』の違いがありますのでそこが面倒です。
ドイツ語習得の軌跡
前回も簡単にまとめましたが、今回はもう少し具体的に時系列で追っていきたいと思います。
Phase1.文法の勉強(最初の1ヵ月)
この時期、私は語学学校に通わず、独学で文法の参考書を買ってきて演習を始めました。ちなみに、今までのドイツ語勉強経験はゼロです。参考書は、ベレ出版の解説と演習がセットになっているもので、例えば、一章の部分の知識を身につけたら、それでもって演習問題を数問解くように進んでいきます。
加えて、この時期簡単にではありますがNHK講座などを使ってリスニングの演習も始めました。一日の勉強時間は1~2時間程度だったと思います。一日1章を目安に進めていき、大体一ヵ月程度で参考書を一冊終えた気がします。この時の文法的な知識は、一旦は忘れますが、語学学校で勉強する際に再び思い出します。
Phase2.語学学校の開始A1~A2(1~2ヵ月)
続いて、語学学校での授業が開始します。ちなみに、参考書を終えた程度のドイツ語では、正直日常会話にはあまり役立ちません。空港からホームステイ先に向かう時も、私の付け焼刃のドイツ語は全く伝わりませんでした。
最初の1~2ヵ月は、簡単なドイツ語に慣れていくところから始めます。一応、文法は押さえてありますので、授業では講師が何を言っているのか分からなくても、授業についていくことはできました。
また、文法的なことを理解していれば、辞書を駆使して多少簡単な文章を読むことが可能です。この時期、私の周りに文法的なことを全く勉強せずに語学学校に入学した生徒が何人かいましたが、彼らは早々に離脱していきました。
Phase3.ドイツ語の習熟B1~B2
さらに語学学校で3~4ヵ月レッスンを受けていると、次第にドイツ語の音に慣れてきます。この辺の習熟度は個人差がありますが、やはり語学学校以外でも、家などで予習復習を行っていればその分習得は早くなります。
このB1~B2レベルというのは、大体文章が読めたりラジオが聞けたりなどのレベルで、例えば、海外旅行程度であればB1レベルあれば十分です。大学受験にはさらにアカデミックなドイツ語が求められますので、それ以上の修練が必要ですが、ここらへんのレベルに達すると、周りとのコミュニケーションもできるようになり、簡単な本やインターネットの情報なども拾うことが可能になります。
Phase4.大学入学と大学での授業C1~
私の場合、そこからさらに3~4ヵ月勉強し、テストを受験しました。会社を辞めていて跡が無いので、割と真剣に勉強したこともあり、比較的早いペースで大学受験に必要なドイツ語の試験に合格することができました。
この時点では、もちろんドイツ語は完ぺきではありません。映画は何を言っているのか分かりませんし、新聞も辞書が無いと全部は理解できません。ただ、ラジオにしろ新聞にしろ『なんとなく』要旨が分かりますので、それが試験では重要でした。
大学に入学したのちは、講義でドイツ語友達との居酒屋でドイツ語、と極端に生のドイツ語に触れる機会が増えます。語学学校の中のドイツ語は、しょせん生徒用のドイツ語なので生易しいのですが、ネイティブが居酒屋で話すドイツ語は難解です。
私も最初の頃は何を言っているのか全く分かりませんでした。あとは、どの程度ドイツ人と一緒に過ごしたか、どの程度積極的にドイツ語を話したか、が重要になってきます。講義をまじめに受けていれば語彙も増えてきますし、そうすれば会話の中で理解できる単語も増えます。毎日What’up(LINEのようなグループトーク)を利用していれば、彼らの使う用語も理解できます。そうやって、毎日ドイツ語に触れていれば、半年もたつころにはかなりの割合で現地のドイツ語を理解できるようになってきます。