長い間滞在していると混ざってしまう!ドイツで英語を勉強する方法

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ドイツ語を勉強するうえで、必ず誰もが一度は困難を覚えるのが『英語とドイツ語の両立』です。

これは我々日本人だけの問題だけでなく、フランス人だろうがオランダ人だろうが、ときには生粋のアメリカ人であろうが口にするような問題です。今回は、このドイツ語と英語の混同を解消させるための方法についてまとめていきます。

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ドイツ語と英語の混同

そもそも、ドイツ語と英語の混同はどうしておきてしまうのでしょうか?一番の理由は、ドイツ語も英語もともに、同じゲルマン語族に属しているがゆえに、単語も文法も似ているというとことです。

例えば、以下の英独両文を見比べてみてください。

英語  :I must learn English,
ドイツ語:Ich muss Englisch lernen.

これはともに『私は英語を勉強しなくてはいけない』という意味です。英語、ドイツ語両方とも『~しなければならない』を表す単語が『must』と『muss』で似ており、この文章にあっては、ともに似た意味を持っています。

ところが、この否定形を表す次の例を見てください。

英語  :I must not learn English,
ドイツ語:Ich muss nicht Englisch lernen.

英語、ドイツ語ともに否定を表す『not』と『nicht』を付け加えました。すると、英語とドイツ語ではまったく意味が変わってしまいます。

この場合
英語  :『私は英語を勉強してはいけない』
ドイツ語:『私は英語を勉強しなくてもいい』

となり、先ほどのように意味が同じではなくなってしまうのです。

文法だけではなく、語彙的にも、ドイツ語と英語とではややこしい部分が多いです。例えば、スペインは英語で「Spain」、ドイツ語で「Spanien」、仮説は英語で「hypothesis」、ドイツ語で「Hypothese」などなどです。中国語とイタリア語のように根本的に違う言語であれば混同も起こりにくいのですが、このように、なまじ似ているがゆえ、とっさの時についつい間違えてしまいがちなのです。

ドイツで英語を勉強する必要性

さて、ではドイツに滞在していて、英語を勉強する必要性はあるのでしょうか?ドイツ語だけではいけないのでしょうか?

まず、大学の入学要件を見てみましょう。ドイツの大学院試験には、基本的にはドイツ語(B2~C1レベル)の能力が必要とされてきますが、それに加えて学科によっては英語(B2~C1レベル)が必要とされてくるようなところもいくつかあります。

例えばフンボルト大学の経営など英語を優先的に扱うような学科では

at least C1 level of English proficiency (フンボルト大学HPより引用)

『最低でもC1レベルの英語技能が必要である』

(PDFなのでリンクが張れませんが)

と書かれています。

また、C1までは求められなくても、やはり学科によってはB2程度が求められるところが多いです(理系や芸術系はこの限りではありませんが)。私の学部も、入学時にB2レベルを要求していました。

なぜ英語がドイツにいながら必要なのでしょうか。まず、ドイツの大学には外国から招聘された講師が多く、彼らはドイツ語を話せませんので、彼らの講義を受講したり、試験を受けるときはオール英語になります。

また、学部によってはドイツ語が一切必要のない学部もあり、そうした学部に所属する留学生と会話するときは、英語になります。

大学だけではなく、会社に入っても、ドイツの会社が海外と取引する機会は日本の比でないくらい多く、英語での交渉は大前提になります。このように、ドイツではドイツ語と同等か、あるいはそれ以上のレベルで英語力が要求されるのです。

ドイツでの英語勉強法

さて、いよいよドイツ語と英語が混ざらなくなる方法についてまとめていきましょう。まず、一番地道なやり方は「慣れる」ことです。私はドイツに渡航して4年近く経ち、毎日ドイツ語と英語を話す生活をしていました。3年もたつと、次第に慣れ、そこまで間違いをおこさなくなります。

ただ、これはあくまで「勉強方法」というより、脳のほうがこのマルチタスクに勝手に順応してくれた結果ですので、それなりに時間を要しました。例えば、ドイツ語のTestDafを受験しつつ、英語のTOEFLを並行して受験したいなど、もっと短期的に効果を出したい場合は、以下のようなやり方を参考してみてください。

1.英語の勉強は夜行う

語学学校時代、私は、午前中は学校でドイツ語の勉強をする生活を続けていました。また、家に帰ってからはメールのチェックをしたり、ドイツ語の復習をしたりといった感じで、朝から夜ご飯を食べるまでは『ドイツ語』で生活すると割り切っていました。この生活の中に英語の単語を持ち込んでしまうと、どうしても混同してしまいます。

ですので、夜8~9時くらいからは脳を『ドイツ語』→『英語』に切り替えて、インターネットもラジオも全て英語でチェックするようにしていました。

この勉強法は、私にとっては、ですがかなり友好的でした。もっとも、ドイツ語の試験が近いときはこの『ドイツ語』→『英語』に切り替える時間帯を少し遅らせていましたが、とりあえず一旦切り替えたらその日は再びは切り替えません

頭の中にスイッチをイメージしましょう

頭の中にスイッチをイメージしましょう

2.ドイツ語で書かれた英語の教科書を読む

ドイツの学生たちも、我々と同じように中学、高校で英語の勉強をしています。当然、彼らも試験に受からなくてはいけないので、必死で勉強しますが、基本的にギナジウムを卒業するために必要な英語の能力はB2~C1と言われています。

そのため、ドイツのギナジウム学生が使うような英語の教科書をつかって勉強すれば、大体B2~C1レベルは獲得できる、という皮算用になります。

また、ドイツ語で書かれた英語の教科書には『ドイツ語と英語の違い』もたくさん載っています。例えば、この動詞の働きはドイツ語ではこうだが、英語ではこうである、みたいな感じです。

なので、割と脳のスペースに余裕がある方であれば、ドイツ語を勉強しながら英語の勉強、という効率のよいやり方が可能だと思います。

ドイツ語で書かれた英語の教科書

ドイツ語で書かれた英語の教科書

3.独英(英独)辞書を活用する

これは、2以上に余裕がある人でないと難しいと思います。

例えばドイツ語の文章を読んでいて、分からない単語があったら、日本語ではなく英語で意味を調べる、といったやり方です。逆に、英語で分からない意味があったらドイツ語で意味を調べます。

これも、似たような単語を混同させる危険性がありますが、英独両方の単語をいっぺんに覚えることができる、という諸刃の剣のようなやり方です。

ちなみに私は、あまり抽象的すぎない単語に限ってはこのやり方をしていました。どうしても、多義語である動詞などは日本語で整理しないと追いつかない場合もあるため、複雑な場合は難しいと思います。

ただ、上述のいずれのやり方にしろ、最初の3~4週間は混同します。上述した通り、脳がマルチタスクに慣れる瞬間がいずれ訪れますので、そのときまで辛抱強くすみわけを心がけて、両方の言語の基礎をマスターしましょう。

英語、ドイツ語ともに初心者レベルですと絶対に混ざりますが、両方のレベルが上がり、基礎がしっかりと確立されてくれば、そこまで極端なミスは犯さなくなります。