過信にご用心:オンライン英会話だけで英語は話せるようになるのか?

英語を勉強する手段の一つとして、オンライン英会話がよく広告などで取り上げられています。雑誌やテレビの露出も高いですし、インターネットなどでもよく目にしますので、気になっている方も多いと思います。

今回は、オンライン英会話を使って勉強すると、果たして英語が話せるようになるのかどうか、という部分を解説します。

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オンライン英会話を使って英語が話せるようになるのか?

まず、オンライン英会話にはいくつかの種類があります。ざっくり2パターンに分けると、手取り足取り、すべてをサポートしてくれるオンライン英会話学校と、基本的にカリキュラムなどは自分任せのオンライン英会話です。

お察しの通り、前者のほうは金額がものすごく高いです。そりゃ、英会話講師以外にサポーターも雇っていますので、高くなります。代わりに、これだけで時間をかければ確かに英語は話せるようになるでしょう。なぜなら、会話以外にライティングやリスニングもサポートしてくれますので。

方や、自分任せパターンのオンライン英会話は、その名の通り自分任せです。確かに、教材を用意している会社もありますし、講師の質がいい会社もありますが、「どうすれば英語が話せるようになるか」という肝心の方法論にはあまり触れてくれません。

別に自慢したくはありませんが、私はドイツ語も英語も、一応ビジネスで使えるレベルです。私の経験からいうと、ある言語を「会話」だけで学ぶのはとてつもなく効率が悪いです。文法も学び、ライティングやリーディングを交え、初めて言語は習得されます。

幼少期であれば、耳と口だけで新しい言語を学ぶことも可能でしょう。ただ、もう成人を迎えてしまうと、舌も耳もすでに新しい言語を会話だけでは受け入れてくれづらくなります。いや、仮に基礎知識ゼロでニューギニアの奥地に放り込まれて、現地のニューギニア人たちと5年も6年も暮せばおそらく話せるようにはなるでしょう。不可能ではありませんが、効率が悪い、という話です。

仮にオンライン英会話を用いるとなれば、一日にオンライン英会話に割ける時間はせいぜい30分、あるいは1時間がいいところでしょう。会社で働きながらオンライン英会話を利用している人もいるでしょうし、一日中それにだけ時間を費やすわけにはいかないと思います。

こんな限られた時間なので、「効率」を重視しなくてはいけないのは至極自然なことです。では、効率の良い英語の勉強法とはなんなのでしょうか?なぜオンライン英会話だけでは英語は身に着かないのでしょうか?

オンライン英会話だけで英語が身に着かない理由

いくつか、分かりやすいように理由を羅列していきます。

新しい単語が身に着かない

オンライン英会話を10レッスンもやってみれば分かると思いますが、人間、話すためにはなんとなく自分の知っている単語を使いがちになってしまいます。相手から「英語で自己紹介してみて」と言われて、これを英語でスムーズにできる人は少なくないでしょう。だって、使うフレーズがすでに決まっているのですから。

たいして、ちょっとひねくれた質問「なんで日本では過労死が多いのかしら」「もし100万円もっていたら何が買いたいですか?」のような質問をされると、フリーズしてしまう人は多いかと思います。そのコンテキストに即した単語やフレーズをあまり知らないからです。

新しいフレーズ、新しい語彙というのは、基本的に「インプット」を通じて見につきます。これは日本語も同じで、本をたくさん読む人は、それだけプレゼンの際の語彙も豊富で、分かりやすい解説が行えます。

つまり、いくら会話を中心とした「アウトプット」ばかりをオンライン英会話を通じておこなっていても、一向に新しい語彙力は身についていかないのです。その辺は、自力で本を読んだり、新聞を読むなどして語彙力を増やしていきましょう。

文法が身に着かない

もちろん、オンライン英会話の中には「文法」を英語で教えてくれるところもあります。ただ、私は正直なところ、文法をオンライン英会話で学ぶメリットがよくわかりません。参考書を読んだほうが早いし安上がりですし、あとから読み返せるかと思います。

よく、「日本の英語学習教育は間違ってる」「効率が悪い」「文法主体で全く話せるようにならない」とよく言われていますが私は、高等教育としてはそこまで間違った方向性ではないと思います。だって、どうせ話せるようになっても、使う機会がなければ忘れてしまいますが、文法は忘れませんので。

文法がなぜ便利かというと、非常に時間の短縮になるからです。仮に初見で「Hardly had I got home than it began rain(帰宅するやいなや、雨が降り出した)」という英文を読んで、文法知識なしに理解できる人は少ないと思います。なぜ倒置になっているのか、なぜ比較文で用いられるはずのthanがこんなところに来ているのか、これを「経験則」から演繹的に理解を導くためには何回も似たような文章を見聞きし、判断する必要があります。

そんな何回も同じような文章に出会わずとも、文法的な理解を先にしてさえおけば、理解の際に時間の短縮になります。ですので、オンライン英会話とは別に、文法の参考書を一冊か二冊、やっておくことをお勧めします。

モチベーションが続かない

私は日本にいたころオンライン英会話をやっていたことがありますが、飽きました。人間は、目的もなしに淡々となにかを勉強できるほど辛抱強くはありません(少なくとも私は)。それゆえ、多少高くても海外語学留学などが人気なのでしょう、実際の効果のほどは、おそらく家に引きこもってオンライン英会話と文法の参考書を黙々とこなすのとあまり変わらないと思いますが、モチベーションの面で雲泥の差があります。

やはり、対面して英語を話すと楽しいものです。講師の話す英語は、「お客様」向けですので、人によってはなんとなくしっくりこないでしょう。運転でいったら、延々と教習所の中を時速30km程度で走り続けている状況です。そんな状況が長く続けば、高速に早く出て時速120kmで走ってみたい、という気持ちになるかと思います。

オンライン英会話を始めるのであれば、それゆえ、先だって目標を作っておくことをお勧めします。それは、海外赴任でも、TOEFLでも、フィリピンパブでもなんでもいいと思いますが、上達のためには人間には目的が必要です。

単に「うまくならなくてもいいから誰かと英語が話したい」というのであれば、目的は必要ありませんので、単にオンライン英会話をやるだけで目的と手段がいっぺんに達成されますが。