ドイツ人の生活習慣と、ドイツでのタブー(Tabu)に要注意!

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今回はドイツの習慣、およびタブーについてまとめていきます。

日本人と何が違うのかというと、習慣は社会的に当たり前のことのように行われている事として、この記事では扱っていますので、まあ日本人から見て少し不思議に思えるようなドイツ人の行動をまとめてみました。

一方タブーは、当たり前のことのように『してはいけない』事としてこの記事ではまとめていきます。

このタブーを破ると、場合によっては喧嘩や社会的制裁や差別、そこまで至らなくとも相手に不快感を与えるような原因となりますので気をつけましょう。

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習慣とはなにか

習慣とは、広辞苑によると以下のように定義されています。

日常の決まりきった行い。しきたり。ならわし。慣習。

定義が難しいものだと思いますが、要するに『その土地の人たちが守っている不文律のルール』ということです。

日本でいえば、ごみはポイ捨てしない、椅子はしまう、エレベーターではボタンを押して待つ、のような、マナーやモラル、社会常識、ともいえるものです。

これらは、学校や親の影響のところも多いのですが、基本的には我々の育ってきた日本という社会的土壌のうえに構築されているところが大きいので、誰に習うとでもなしに自然とみについたことでしょう。

ところ変われば品変わる、というわけで、当然各国ごとに習慣は異なります。以下に、日本人が少しびっくりするようなドイツの習慣を紹介していきますが、まあこれを知らなかったからと言ってトラブルが生じるようなことはあまりありません。

ドイツの不思議な習慣

1.スーパーで割り込む、列を譲る

以前も少しまとめましたが、これは全く問題のない行為です。

ドイツではよくあることですが、商品が少ないと前の人が割り込みさせてくれたり、逆に後ろの人の商品が少ないと、割り込みさせてくれと言われます。

例えば、自分は一週間の食料品を買うために、牛乳、パン、ビールなどしこたまかごにのせてスーパーのレジに並んでいるとしましょう。

後ろには卵一個持ったおばあさんが並んでいます。こんなときは、そっと列を譲ってあげるのがドイツの習慣です。電車で席を譲るような感覚です。

また逆に、自分がタバコ一個だけ買うつもりでレジに並んでいたら、大体前の人は列を譲ってくれることの方が多いです。そんなときはそんなに深刻に感激せずに、素直に譲ってもらいましょう。

2.自転車走行中は手でウィンカーを出す

ドイツの交通法に詳しいわけではないので、もしかしたらこれは習慣というより法律で決められていることかもしれませんが、自転車を運行する人たちは曲り角では手でウィンカーを出します。

右に曲がるときは右の手を、左のときは左手を差し出します。なので前からきた自転車がウィンカー(?)を出したら、素直に止まってあげましょう。

恐らく、自動車のランプと同じようなニュアンスだと思いますので、恥ずかしがらずにこれも気をつけておこなうようにしましょう。

3.空き瓶のポイ捨ては経済的に自然浄化される

ドイツの夏は天気がいいので、大勢の人が河原や公園や海沿いでビールを飲んでいます。そして、その多くの人がビールをポイ捨てするにもかかわらず、公園はいつもきれいです。なぜでしょう?

実は、ビール瓶をスーパーに持っていくと10~20セントくらいになるので、いつもそれを拾いにくる人たちがいるのです。

まあ、すでに置き去られたあとならともかく、時には飲み終えた瞬間を見計らってやってきて『ビール瓶ちょうだい』と言ってこられます。最初は少しとまどいますが、ドイツの公園や川沿いではわりと日常茶飯事の光景です。

別に貴方の飲んだビール瓶に興味があって集めているのではなく、換金したいだけなのでゴミを持って帰るのが面倒でしたら遠慮なく譲ってあげましょう。近くに回収の人がいない場合は、ごみ箱の上に瓶をのせておいてあげると親切です。

ドイツの公園にあるゴミ箱

ドイツの公園にあるゴミ箱

4.挨拶のときにハグをする

フランスやイタリアは、友人などでも会ったときにキスをしますが、ドイツ人はときどきハグをします。まあ、これに関しては彼らも私らが日本人で、ハグをしない習慣をしっているので、別に無理に強制されたりはありません。

ただ、こちらが例えば3人でいて、向こうから歩いて来た友人とたまたまばったり出くわして、貴方だけ彼にハグしないのもおかしな話なので、まあその辺は空気を読んで行動すればよいかと思います。

5.幼児よりも犬のほうが社会的権利は上

というのは法律上で決められているわけではなく、いたるところに犬がいる状況をドイツ人がよく自虐してこういうのですが、確かにいろんなところに犬を連れていくというのがドイツ人の特徴です。

カフェはもちろん、電車やバスの中にも、別に盲導犬ではないような犬もいますが、彼らはおとなしく、吠えることも少ないので基本的に人に害を与えるようなことはありません。

さて、幼児はどうかというと、いたるところで泣く、物を壊す、ときにお漏らしをする、ということでドイツ人の母親にしてみたら躾けられた犬のほうがよっぽど聞き分けがいいわ、ということです。

ジャーマン・シェパード

ジャーマン・シェパード

6.時間を守る

これは日本人にとっては当たり前なのですが、語学学校・大学にはイタリア人やフランス人などが多くいて、彼らは比較的時間を守りません。そんな中で、ドイツ人の時間厳守は我々にはとてもありがたく見えます。

逆に、ドイツにはいろんな外国人がいるので、ドイツ人は時間を守らない人たちには割と慣れっこになっています。ですので、当たり前のように約束の時間を守ると『ワオ、なんて日本人は規則正しいんだ』といって喜ばれます。

タブーとはなにか

さて、習慣よりも強力で、かつ何かを禁止するような意味合いをもつものがタブーです。どこの国にもタブーは存在します。日本では御飯に箸をたててはいけませんし、南インドでは女性と男性が相席してはいけません。

ポリネシア語が発祥で、辞書的な語としては『それに触れたりすると、災厄に見舞われるもの』として定義されています。以下、人類学者デュルケムからの引用です。

聖を俗から分離する柵があるから、人は、自分のうちの俗なるものをはぎ取ることを条件としてだけ、聖物と内密な関係にはいることができる(『宗教生活の原初形態(下)』p135)

ようするに、それがおいおい聖なるもの、すなわち宗教的なものの成立に結びついていくのですが、ともあれ現代用語ではタブー(ドイツ語ではTabu)は、単に『してはいけないこと』『不文律の失礼』などとして用いられています。

ドイツのタブー

我々アジア人からしてみたら、欧州のタブーは少し勝手が違うので混乱しがちですが、最初におさえて置けば問題ありません。別に法に抵触する、とかではなく、不文律の『タブー』なのです(マナーと言ってもいいでしょうが)。

1.人を指さす

これは問答無用のタブーです。例えば、道路で話をしていていかついお兄さんが通り過ぎたとしましょう。

あなたは友達と話しているとき、そのお兄さんに目がいって『あ、Aさんに似てる』と思ったとします。で、『あの人Aさんに似てるね』と彼を指さそうものなら、殴り掛かられても不思議ではありません。

発祥は確か、人の指には魔力が宿っていて、それで人を指さすことは呪いをかけるのも同然、という話を聴いたように思いますが、定かではありません。

ちなみに、人差し指のことをドイツ語で『der Zeigefinger』といいます。zeigenは『指し示す』という動詞ですが、人以外を指し示すときに使いましょう。

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2.会話中に目をそらす

これは日本と真逆のタブーです。我々は、会話中にしげしげと相手の目を見据えることはそんなにないのではないでしょうか(なんかのコラムで、男性よりも女性の方が目を見て話す率は高いとか読みましたが)。

逆に、ドイツでは会話中に目をそらすことは、タブーとは言わないまでも『失礼』です。『私は誠意を持ってあなたに話している』という意味がアイコンタクトなので、目をそらすということはそれを拒絶するのと同じです。

そらしたからといって喧嘩になるほどの強さはありませんが、それでも憶えておくだけでも違うと思います。

ドイツ人にとって会話の際にもっとも重要視されるのは目線、すなわち『アイコンタクト』です。

3.チップを払わない

チップを払わない=『この店のサービスは最悪だ』と言っているのと同義です。これも2番と同様、しなかったからといって喧嘩になるものではありませんが、多分その店の店員はあなたの顔を憶えていて、次に来た時には怪訝にされると思います。

『記者:さて、貴方は著書の中でチップを貰えなかったからと言って客の香水に小便をぶちまけた人について触れていますが、こうしたことは頻繁に起こりうるのでしょうか?』

ホテルにおけるチップの作法に関しては上記の記事で少しまとめていますが、居酒屋やレストランにおけるチップの支払いは、会計の10%程度を目途にチップを支払ってあげましょう。

4.文字通り禁句(タブー)な話題に触れる

『政治』『ナチ』『宗教』は、人目のあるところでは絶対にしないでください。これは時に生死にかかわります。ドイツには人口の20%近い移民がいて、彼らが彼らの宗教や価値観を持っています。

以前、私の語学学校のある教師が、公然とイスラム批判をしてイスラムの生徒の逆鱗にふれました。確か殴り掛かられて全治1ヵ月だったとかだと思いますが、とにかくそれくらい、世界にはいろいろな価値観を持った人たちがいるのです。

特に今はシリアなどがセンシティブになっているところなので、とりわけイスラム関係は注意が必要です。

日本と共通している習慣・タブーなど

上記では、日本とドイツの違いを見てきましたが、万国共通のものも数多くあります。

  • 女性に体重、年齢を聞かない
  • 年収を聞かない
  • ナイフやフォークを手渡すときには相手に刃を向けない
  • 墓や宗教施設などで騒がない、みだりに写真を撮らない

また、観光客の中には墓地などを観光地か何かと勘違いしてはしゃいだり写真を撮ったりするケースもあるようなので、これもドイツ人の心象はよくありません。

まあ上述したようなものは日本人なら余裕なマナーでしょうが、語学学校や大学に入ると、イタリアやフランスやスペインなど様々な外国の生徒がいて、ときにこうした敷居を土足で踏み越えてくることがあるのです。

そうした場合にも、上述したとおり『文化の違い』ということで寛容にみてあげてください。私らも知らぬあいだに彼らの敷居をまたいでしまっていることがあるかもしれませんので。