ドイツで日本人は差別を受ける?ドイツの日常に登場する日本

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日本人は、外からの評価を気にする民族だとよく耳にします。

実際私も、ドイツに住んでいながら何かと『日本』という単語を耳にすると嬉しく思うことがあります。

今回は、ドイツ人の生活の中で登場する『日本』のイメージはどのようなものなのか、2年以上ドイツに暮らした経験をまとめていきたいと思います。

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ドイツで日本人はどのような扱いを受けるのか?

いぜんも少しコラムで紹介しましたが、ドイツ人の対日感情に関して少しまとめてみましょう。

まず、ドイツは旧西ドイツと旧東ドイツにざっくりと分けることができます。旧西ドイツは、アメリカをはじめとするいわゆる『西側』諸国の支援を受けた国で、それゆえ最終的にはソビエトの支援を受けた東ドイツを上回る経済力を身につけ、現在でもこの力関係の一部は残されています。

さて、私はいわゆる『旧西ドイツ』の都市に住んでいるのですが(私がドイツ人ではないので心の底でどう思っているかは知りませんが)、あからさまな差別はおおよそ2年住んでみて、受けたことがありません。

ただし、これは別に日本人が特別、というわけではなく、西側は東側に比べて『比較的』豊かだと言われていますので、あまり排他的な、民族主義的な考え方を持った人が少ないからだと思います。

対して、東側の都市へ行くとネオナチや排他的な人が多く『比較的』日本人が差別を受けることが多いと言われています。あくまで『比較的』ですし、差別に合うかどうかは確率の問題です。

要するに、街中で歩く分には、我々は日本人、というよりは『アジア人』というくくりで見られ、まあ運が悪ければ馬鹿にされたり、いちゃもんをつけられることもあるというわけですが、必要以上に毎日差別におびえる心配もない、程度のお話です。

これはあくまで外見のお話で、実際に話をしてこちらが「日本人」と分かったとき、相手がどんな反応をするかは、これまた人によります。アニメ好き、お茶が好き、寿司が好き、侍が好き、トヨタが好き、と、日本のモノを好きな人には割とたくさん出くわしますが、あくまで部分的な話で、日本自体にとても興味を持っているドイツ人は感覚的に人口の1%以下くらいです。

まあ、我々も恐らく東京で急にドイツ人に出くわしても『ソーセージ』『ビール』『サッカー』くらいしか褒めるところが見つからないと思いますので、これはお互いさまでしょう。

中には日本から来た、というと『まあ素敵!いつか私も行ってみたいと思っていたの!』という人もいますが、9割方リップサービスです。

まとめると、はなはだ不快感を持たれているわけでもないけど、一部の熱狂的なファンを除き、特別好感度が高い、というわけでもありません。あくまで、遠い東の方にある小さな島国、という印象です(国土面積でいえばドイツより大きいですが)。

日常生活に登場する「日本」あれこれ

続いて、遠いヨーロッパの国で日本は果たしてどのように日常生活に関わっているのか、私の経験を踏まえてまとめていきたいと思います。

1.大学の講義に登場する日本

「日本」という単語は悪い意味でもいい意味でも「頻出用語」です。私の学部は経営や経済学を扱うのですが、少なくとも週1~2回程度は、どこかの講義で『日本』という単語を聞いています。

例えば、Human Resourceを扱う授業では、各国の雇用体系や考え方の違いなどが紹介されるのですが、アメリカ(自由、成果主義)の対極によく日本(終身雇用、過程重視)が登場します。

これは、曲がりなりにも世界経済で2位の座を勝ち取ったからかと思います。それも、一位に君臨するアメリカと真逆のやり方でしたので、授業で取り扱うには面白いのでしょうか。

他にも、マネジメントの授業では『世界で一番古い企業は日本にある』とか、経営の授業でも日本式の「経営」を学びます(たまにとらえ方が間違っていることがありますが)。

2.日本の料理

政治的な理由で中国が嫌い、という人も中にはいると思いますが、中国料理が嫌い、という人はそこまでいないかと思います。ドイツでも、日本という国がどう思われているかどうかは知りませんが、日本料理、という文化は非常に好まれています。

特に日本旅行をした人は自称「通」なドイツ人は、寿司ではなく『お好み焼き』『ラーメン』『牛丼』などをついてきます。ですので、料理に自信のある人は、こういったものを作ってあげるとかなり重宝されます。

ちなみに、日本料理屋は大体どこの町にも存在していますが、値段は高めです。そして、そもそもシェフが日本人ではない可能性が高く、味はあまり期待できません。それでも小金持ちのドイツ人が良く食べに来ています。

3.日本の植物

以前、大学に併設されている植物園を散歩していると、年配の女性数名が、紅葉した木の下でせっせと落ち葉を拾ったり写真を撮っていました。学術名が併記されているので見てみると、japonicaなんちゃらと書かれていたので、日本原産のモミジか何かかと思いますが、とりあえずしきりにお婆さんたちが『wunderwar(素晴らしい)』とか『wahnsinnig(とち狂っている)』とか褒めてるんだかけなしてるんだか分からないことをつぶやいていました。

あとは、桜も割と咲いているところがあります。近くにいると高確率でお婆さんなどに話しかけられ、これは日本産かとか聞かれます。

4.日本の家電・製品・車など

ソニーの凋落が騒がれていますが、一応まだドイツの家電屋さんでは健闘しています。プレステーション関係もずらりと並んでいますし、液晶テレビなども健在です。車に関しては、アウディやBMWのメッカ、ドイツですので、期待できないだろうと思いきや、意外と街中では見かけることがあります。

個人的な印象なので、違っていたら申しわけありませんが、全体の10%くらいは日本車な気がします。

5.日本の映画、ドラマ、歌、小説など

ドイツでは、ビートたけし、たけし城などがなぜか人気です。映画に関しては、まあたまに『日本の○○という映画を見た』という人に出くわしますが、稀です。我々も、逆に日本でドイツの映画やドラマを見る人がいるのかと聞かれたら、ほとんどいないと思いますので、これもお互いさまでしょう。

J-POPに比べたら、まだK-POPや韓国ドラマを知っている人の方が割合は高いと思います。AKBやジャニーズが好きなロシア人は何人か見たことがありますが、ドイツ人は見たことがありません。

小説では村上春樹一択で、川端も三島も認知度はゼロに近いです。この前ドイツ人の主婦が、博士の愛した数式を面白いと言っていました。

6.日本の漫画、ゲームなど

たまにメディアで、さも日本の漫画やアニメが海外でブームかのように取り上げられていることがありますが、基本的にあれは一部の人たちです。日本で韓国ドラマに熱中する主婦などととどっこいの人口割合かと思います。

ドラゴンボール知ってる!くらいなら割と普通のドイツ人なのですが、日本人でも知らないような漫画を知っていたり、アニメを見るドイツ人は変人が多いです。

ただし、ゲームに関しては割とドイツのエリート層もやるようで、この前彼女とやるためにプレステ4とウイイレを買っている院生の友達がいました。ポケモンは鉄板で、99パーセントのドイツ人が知っているはずです。

結論.

日本人だからと必要以上に卑屈になる必要も、奢る必要もありません。一部の人種差別主義者を除けば、ほとんどのドイツ人は外国人に寛容ですし、逆にいうと外国人だから特別扱いしてもらえるわけでもありません。

あくまで日本人としての礼節をわきまえて、相手の文化を知ろうとすれば、自ずと向こうの方もこちらに興味を抱いてくれるはずです。