ドイツ大学受験のための登竜門。語学学校での生活と主なアクティビティ

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将来的にドイツの大学に進学を考えている方、ドイツで働こうと思っている方と、ドイツ人と結婚を控えている方、とドイツ語を勉強する理由は様々です。ドイツの語学学校にはそうした様々な理由をもった人が、世界中から集まってきています。

今回は、ドイツの語学学校での生活についてまとめていきたいと思います。

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ドイツと語学学校

語学学校とは、という定義ですが、日本ではあまりこれに該当するような施設をみかけることは少ないかもしれません。

日本にも、中国人らが日本で日本語を学ぶために訪れるような施設と、ゲーテ・インスティチュートのように日本人が日本国内で外国語を学ぶような二種類のパターンがあります。以下、ドイツのwikipedeiaからの引用です。

Eine Sprachschule oder Sprachenschule ist eine besondere Schule, an der Sprachen gelehrt werden. Sprachenschulen werden entweder von Ausländern besucht, die die jeweilige Landessprache lernen wollen, oder von Personen, die Kenntnisse in Fremdsprachen neu erwerben oder vertiefen wollen.

『語学学校(SprachschuleまたはSprachenschule)とは、語学を勉強するための特別学校のことである。そこでは、外国人がその国の言葉を学びにくるパターンと、その国の人が外国語の理解を深めにくるパターンがある。』

我々がよく『ニュージーランドの語学学校に通う』『ドイツの語学学校に通う』というのは前者の意味です。以下、ドイツの語学学校の生活についてです。

語学学校と語学のレベル

恐らく、学校によって多少の違いはあると思いますが、経験上最初の日に『クラス分け』の試験が行われます。

以前まとめましたが、国際的な指標として語学のランクにはA1,A2,B1…といった形でレベル分けされており、B2~C1あたりのレベルをもって『大学の授業』や『仕事』につかえるレベルとみなされます。

最初に、このレベルのどれに該当するのか、というクラス分けを、大体『筆記試験』『口頭試験』によって行います。また、事前にドイツ語にどの程度触れて来たのか、というのも一つの重要な指標になります。

個人的な見解では、以下のようなレベルで大体考えていただければと思います。

  • A1:ゼロからスタートする場合
  • A2:ドイツ語の参考書などをかじったことがあるなど
  • B1:大学の第二外国語でドイツ語を勉強したことがある

それ以上(B2,C1)は、恒常的にドイツ語を使う環境にいたとか、特殊な環境でないとあまり当てはまらないと思います。

また、一般的な語学学校のレベル別の進行ですが、週5の授業で以下のような日程が一般的です。

  • A1:6週間
  • A2:6週間
  • B1:6週間
  • B2:12週間
  • C1:10週間

もちろん、語学学校によって進行が速かったり、遅かったりとありますが、大体の目安としては上述の表を参考にしていただければと思います。B1とB2のあいだの壁がおおきいのが特徴的です。

語学学校の授業と試験

具体的に、語学学校の授業ではどんなことを行うのか、というと基本的には『会話』『文法』『リスニング』『リーディング』『筆記』などをまんべんなくやっていく形です。

恐らく語学学校ごとに指定の教科書があるので、それをもとに練習問題を解いたり、レベルがある程度すすんだらあるテーマをもとに討論をしたり、といった感じです。

レベルに応じてやることは異なりますが、私の通ったところでは以下のような流れでした。

  • A1&A2:文法メイン、リーディング重視
  • B1:文法、リーディング、会話を多少
  • B2:リーディング、語彙、会話
  • C1:筆記、リーディング、語彙、会話

以下、詳細についてまとめていきます。

A1&A2:文法メイン、リーディング重視

できること:自己紹介、非常にゆっくりとした会話、簡単な文章を読む

私はA2からの入学だったのですが、A1でもやることは余り変わりません。最初のうちは『自己紹介』『数の数え方』『5W1H』など基礎的なところを行います。

実際に、文章を読めるようになるのはA1の後半~A2の前半程度からですが、語彙も簡単で、新聞など日常生活に応用できるわけではありません。

ドイツ語の教科書

ドイツ語の教科書

(韓国人の友達に写させてもらったのでハングルが書いてあります)

また、会話に関しては講師も非常にゆっくり話してくれれば分かりますが、日常生活でドイツ語が話せるのか、というとあまり期待できないレベルです。あくまで『初心者レベル』という扱いがこの『A』のレベルです。

B1:文法、リーディング、会話を多少

できること:ドイツ語による簡単な会話、辞書などを使えば新聞が読める

このあたりから、会話が多少なりともものになってきます。おそらく、ともにドイツ語しか話せない友人と二人で居酒屋へ行って、なんとか気まずくないレベルなのがこのB1レベルなのではないかと、個人的には思っています。

また、街中で読める文章も多少なりとも増えてきます。もっとも、語彙力が絶対的に乏しいので辞書のお世話になりますが、新聞なども辞書さえ多用すればなんとか内容が理解できるレベルです。

授業風景

授業風景

B2:リーディング、語彙、会話

できること:ドイツ語による会話、インターネットなどでの情報検索、新聞を読む
世間的にはB1とB2レベルの間に大きな壁がある、と言われています。確かに、B2を境に語彙も文章の難解さも以前とは格段にパワーアップする形です。

ちなみにB1~B2の辺りから、ドイツ語を挫折する学生が多いと言われています(私の周りでも20パーセント程度はこの辺りで挫折して帰国していました)。

もっとも、頑張ってついていけばB2あたりから、病院や図書館で会話を行う、新聞の内容をある程度理解する、インターネットでほしい情報を検索する、などの自由がきくようになりますので、ドイツ語に触れられる時間がふえると思います。

ドイツ語の新聞

ドイツ語の新聞

C1:筆記、リーディング、語彙、会話

できること:映画を見る、テレビを見る、文学作品を読む

ちなみに、何をもって『できること』と見なせるかは怪しいですが、C1を終えたからといって、映画や文学作品が私も100パーセント理解できるわけではありませんし、道行くドイツ人と自由に会話が楽しめる、というわけでもありません。

あくまで『なんとなく』分かるようになるだけですし、C1レベルを語学学校で終えても、TestDafのような公式テストでは落ちるような人も何人もいます。

ただ、C1までとってしまえば、B2よりも輪をかけて『ドイツ語の世界』で生きられるようになりますので、自分から積極的にドイツ語を知ることができます。ここまで来ると『机の上の勉強』というよりは映画やテレビを楽しみながら学べる形です。

ドイツ語学習者のための雑誌

ドイツ語学習者のための雑誌

語学学校とテスト

ゲーテのような公式の語学学校は別として、一般的な語学学校の終了書が『公式の終了書』として見なされることはあまりありません。

そのため、もし大学受験などで語学の証明が必要であれば、ゲーテの試験や、TestDafやDSHなどを受けて合格する必要がでてきます(この辺の詳細については別途後述します)。

また、こうした公式の試験とは別に、B1→B2、B2→C1のように、レベルの変わり目には語学学校自作の問題を用意している学校がほとんどです。

これらは何の意味を持つのかというと『ちゃんと授業についてこれているか』を図る指標として使われ、これに落ちると再び以前のクラスに戻らなくてはいけない、という特徴があります。

この辺に関してはあまり情をかけてくれない国ですので、もし何月までにこの語学レベルが必要!という目標があるのであれば、これらの試験も落とさないようにしないと先に薦めません(B1→B2の壁が大きいです)。

語学学校とアクティビティ

最後に、アクティビティの紹介です。前述のとおり、ドイツの語学学校には様々なバックグランドをもった学生が集まってきます。

また、授業は10人以下の小規模な形式が多く、学生とも比較的仲良くなることが多いと思います。語学学校によっては毎週アクティビティを開いたり、飲み会を開催してくれるようなところもありますし、仲良くなればもちろん個人的にも飲みにいきます。

ロッククライミング

ロッククライミング

この辺の愉しみ方はもちろん人それぞれだと思います。勉強をしに来ているのだから他人とはつるまない、というやつもいますし、毎晩クラブへ遊びに行くやつもいます。

色々な国からいろいろなバックグラウンドをかかえてきているので、そういった人々と自分の性格があわなくても『色々な人がいる』という体で考えていれば馴染みやすいのではないかと思います。

以上で、語学学校の生活について、を終わります。