今回は『副文』というドイツ語独特のテーマをまとめます。
ただ、一度『接続詞』のところで触れているので、そんなに難しいものではありません。要するに、一つの文のなかの、目的語のところなどが『語ではなく文に変化した』文章のことです。
接続詞のことをドイツ語で『Konjuktion』と言います。
ドイツ語の接続詞には、基本的には2パターンあると憶えていてください。
ただ、副文といってもたくさんあるので、今回は簡単な副文の概念の紹介と、もっともポピュラーな『weil(~ゆえに)(~のために)』といった語の紹介だけします。
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副文とは
副文をあらわす辞書による定義がないので、簡単にまとめます。
- 彼は予想を言った。
- 彼は明日はきっと晴れるだろうと言った。
- 私は深酒のために遅刻した。
- 私は昨日お酒を飲みすぎたために遅刻した
例1、例2ともに、太字になっている部分がドイツ語における副文にあたります。
例1.彼は予想を言った、は単なるSVOの文型です。『予想』は名詞ですので、目的語になれます。
しかし、具体的な『明日は晴れるだろう』という予想を挿入したければ、これは『名詞』ではなく『文』になってしまいます。
ですので、本来はHe says ~.という単純なSVO形ですが、O(目的語)の部分に『明日はきっと晴れるだろう』という『目的文』が挿入される形になります。
その下の例2の文も同様です。
『深酒』という名詞の目的語が『昨日お酒を飲みすぎたために』という目的文に変わっています。日本語の場合、格や語順の変化などは起きずに、そのまま挿入されるだけですので問題ないでしょう。
英語における「because」と「because of」
さて、英語の場合はどうでしょうか。
ドイツ語のweilはほぼ英語のbecauseにあたるので、英語で『名詞』を目的語にする場合と、『文』を目的にした『~ゆえに』の文章をみてみましょう。
- We changed our plans because of missing the bus.
- We changed our plans because we missed the bus.
両方とも『私たちはバスに乗り遅れたので、計画を変更した』という文章です。
ただし、1のほうは『because of missing the bus』という『句』を『目的語』にすえているのにたいして、2のほうは『because』以下がふたたび『SVO』の文型になっています。
because of~という成句を使いたければ、その次にくるのは必ず『目的語』でなくてはいけません。文はこれません。
そして、以前『動名詞』の項でもなりましたが、目的語にくることができるのは名詞だけですので、動詞を目的語に持ってくるには『miss』という動詞を『missing』という動名詞にしなくてはいけません。
ドイツ語の動名詞の役割は、英語と同じです。つまり、動詞が名詞になったので、主語や目的語になることができるようになりました。
参照元:動詞の名詞化 | 僕のドイツ留学
一方で、2.の文は『We changed our plans』と『we missed the bus』という二つのSVOの文をつなげる目的で、接続詞becauseが使われています。
この英語における考え方はドイツ語でも同じですので、以下ドイツ語における場合をみていきましょう。
ドイツ語における主文・副文
主文を『Hauptsatz』、副文を『Nebensatz』といい、接続詞によって挿入される文章の方を『Nebensatz』といいます。
ドイツ語で、副文の形をとる接続詞は、weil, wenn, ob, dassなどがありますが、今回はweilについて触れていきます。
weil は『~ゆえに』の意味、すなわち英語のbecauseと同義ですが、because of のようにweil以下に前置詞を伴って名詞を目的語にすることは『できません』。
あくまでweilは接続詞として、つまり文と文をつなげる役割しかもっていないので、もし名詞を目的語にもってきたければ『wegen』という前置詞を持ってこなくてはいけません。
混乱するので、とりあえず今回は『weil』の文章を先に見ていきましょう(wegenはB1レベルにてふたたびまとめます)。
(私は来れない、なぜなら私は病気なのだ。)
抑えなくてはいけないルールは3つです。
- weilを伴うと、weil以下の語順が変形し、動詞が最後にくる。
- ただし助動詞などを伴う場合は、助動詞が動詞よりも後にくる。
- 「,」を文と文の間につける。
また、主文と副文の順をいれかえて、逆の構造にすることも可能です。つまり
(私は病気なので、来ることができない)
という形も取ることができます。
『Weil ich krank bin』までが一つの句と化しますので、次は『動詞は2番目』の語順にしたがって、助動詞の『kann』がきます。
接続詞を用いた際の文章は、書く分には問題ないのですが話すとなるとやはりぱっと語順が頭のなかで切り替わらないことがありますので、自身の書いてみた文章をいったん音読してみるやりかたが練習方法としていいかと思います。
今回はこのへんで終了いたします。