ドイツ語の未来形(Futur)は英語と似ているようで少し違う!

kuala-lumpur

今回は未来形をつくる『werden』という助動詞のまとめです。

以前『助動詞』に関してはまとめましたので、忘れてしまった方は一旦そちらを参照していただければと思います。

今後未来形や受け身形などを勉強していくうえで『助動詞』の知識は不可欠なので、まずは基本概念をおさえて置いていただければと思います。

重要なのは、

  1. 助動詞が加わると、動詞は文の最後にくる
  2. 助動詞も格変化をおこす

この2点です。

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ドイツ語の未来形

willやbe going to~を用いる英語とはちょっと勝手が違うので、今回は英語との比較は省きます。

まず、未来形には助動詞である『werden』を用いますが、不規則変化をするので以下の不規則変化は憶えてください。

  • Ich :werde
  • Du :wirst
  • Er/Sie/Es :wird
  • Wir :werden
  • Ihr :werdet
  • Sie :werden

この『werden』の変化形が、動詞の代わりに文の2番目に来ます。代わりに、動詞は文の最後にはじかれる語順となり『未来形』の完成です。

例:Es wird bald schneien
(もうすぐ雪が降るだろう)

未来形をつくるルールはこれで終了です。助動詞の一つなので、他の『法』をあらわす助動詞などと同じようなルールに準じます。

ただし、日本語に訳そうとすると少し困難が生じます。以下、ドイツ語の未来形のもつ『ニュアンス』についてまとめていきます。

ドイツ語の未来形と第一人称

重要なのは、ドイツ語においては『動詞の原形も未来形の役割を果たす』という点です。

以下に例を出しますので、違いをみてみましょう。

例1:Ich reise im Januar nach Japan.
(私は一月に日本に行く)

例2:Ich werde im Januar nach Japan reisen.
(私は一月に日本に行くつもりだ)

例1:のほうは『大体確定している』ような未来形です(ちょっとニュアンスが難しいのですが)。日本語で言えば『一月には日本へ旅行するよ!』という感じです。

既に飛行機のチケットを取り終わっているとか、友達と約束をしているとか、ようするに現在形の延長として未来が言及されている感じです。

例2:のほうは、若干『意志』の要素が含まれています。『一月には日本に旅行するつもりなんだ』という感じでしょうか。ちなみに、möchteも同じく意志を表しますが、

例3:Ich möchte im Januar nach Japan reisen.

このようにしてしまうと『一月に日本に行けたらなあ』と、少し現実から遠ざかります。

このへんは、日本語でイメージしていただけるとむしろわかりやすいかも知れません。

例1:『私は明日村田君と野球をするよ』
例2:『私は明日村田君と野球をするつもりだよ』
例3:『私は村田君と野球がしたいなー』

この程度の違いです。

例1:のほうは、おそらく村田君と野球をする約束もして、場所も確保してあとは雨さえ降らなければ野球をやるのでしょう。

例2:のほうは、例1に比べて少し現実味が離れます。それでも、比較的現実に近いでしょう。この文だけでは読み取れませんが、村田君の予定とか、グランドのコンディションとかの条件さえそろえば、きっと行うでしょう。

例3:のほうは、村田君は海外にいるのかもしれませんし、巨人にいる村田君のことで、私には手の届かない存在なのかもしれません。そこまで極端でなくても、とりあえず、例1や例2に比べると、現実から遠いことには違いありません。

ちなみに、今回は『Ich』を例にとりましたが、『du』や『er』などではまたニュアンスがちょっと異なってきます。以下、見ていきましょう。

ドイツ語の未来形と第二人称

ドイツ語の第二人称に対して未来形を使用する場合は、『君はきっと~するだろうよ』という『予想』的なニュアンスを含みます。

『私』が主語の場合は、例えば明日野球をしたい場合は雨が降るとかグランドのコンディションが悪いとか、外的要因によって変わってしまうので未来形は『意志(~するつもりだ)』をあらわしますが、『君』や『あなた』を主語にする場合はそもそも自分の意志ではどうにもならないので、『~するだろうよ』と言った『予想』になるのです。

これは、『君はきっと将来金持ちになるだろうよ』といったポジティブな意味でも使えますし、『君はきっと後悔することになるぜ!』みたいにネガティブな意味にも使います。

以下に例を見ていきましょう。

例1:Du wirst das bereuen!
(きっと後悔するぜ!)

例2:Du wirst dich wundern!
(きっとびっくりすると思うよ!)

このようなニュアンスになります。また第一人称と同様に、第二人称+未来形の形もとれなくはありません。

例3:Du gehst heute in die Kneipe.
(君は今日居酒屋に行く。)

ただ実際に、例3を見ていただければ、日本語でみても少し違和感を感じます。そもそも居酒屋に行くか否かを決定するのは私ではなく話し相手になっている『第二人称』の登場人物ですし、それにたいして現在形で未来のことを話すのは少しだけ難しいです。

ドイツ語の未来形と第三人称

これが未来形の重要な出番です。その場にいない誰か、あるいは天気のような無生物を予想するときも、やはり未来形を使うのです。

例1:John wird sicher kommen.
(ジョンはきっと来るだろう。)

例2:John kommt heute.
(ジョンは今日来るよ。)

ジョンはこの場にいないので、あくまで推測の未来の話になります。まあ、ニュアンス的なものなのですが、例1は『きっと』と言われているので、約束の時間を過ぎてもジョンはまだこないが、それでも話者は『ジョンはきっと来る!』と言っており、例2のほうは何の心配も無しに『誰が今日来るの?』という問いに対して『ああ、ジョン来るよ』と言っている感じでしょうか。

また、無生物に関しては以下の通りです。

例3:Es wird heute regnen.
(今日は雨が降るだろう。)

例4:Es regnet.
(雨が降っている。)

天気のことなど自分には左右できない、あずかりしらないことなので、これに関して未来形を言いたい場合は『werden』を使う必要があります。仮に他の人称と同じように現在形を使ってしまうと、例2のように『今雨が降っている状態』ということを表してしまいます。

今回はこれくらいで終了とします。