ドイツ語の前置詞(prepositon)はまず視覚的に覚えよう!

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間違いなく、外国語を習ううえで難しいものの一つが『前置詞』の使い方だと思います。名詞しかり、動詞しかり、このものの持つ意味さえ覚えてしまえばいいのですが、『前置詞』に関してはいろんな単語と組み合わさって、いろいろな意味をつくりだします。

日本では、助詞の一部である『格助詞』を用いて、ヨーロッパに諸言語における『前置詞』の役割をつくりだしますが、当然等価ではありません。

前置詞に関しては、これからも何回か書いていきますので、とりあえず『こういうものなのだな』という概要だけつかんでいただければと思います。

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前置詞とは

広辞苑の定義によると以下の通りです。

ヨーロッパ語で、名詞・代名詞の前において、その語の動詞に対する文法的関係(とくに格変化)や意味的関係を表す品詞。時間・空間関係を表すものが多い。

英語ではwithとかonとかunderで、日本語に訳そうとすると『~といっしょに』とか『~の上に』とか、『~の下に』とかなるものです。基本的には、空間的なある点、ないしは時間的なある点を表すのに使ったり、いくつかの動詞は前置詞とセットであらわれてくるものもあります(be interested in~のように)。

ドイツ語における前置詞

ドイツ語の前置詞は、英語と同じで、時間を表したり、場所を表したり、あるいはそれ以外も表しますので、区分けが難しいところですが、一番わかりやすいのは『空間的なところを表す前置詞』『時間的なところを表す前置詞』などで、視覚的に前置詞の働きを理解してしまうことだと思います。

そして、ドイツ語の前置詞はあとにくる名詞の格を変化させますので、それぞれの前置詞があとにくる名詞をどのように変化させるのか、を必ず一緒に覚えるようにしておきましょう。

使い方によって格の変化する前置詞

ドイツ語における空間を表す前置詞は、ほとんどあとにくる格がdativ(3格)、akkusativ(4格)の形の両方をとることができます。

具体的に、auf という『~の上に・~の上へ』の意味の前置詞を見てみましょう。

例1:Das Buch liegt auf dem Tisch.(その本は机の上にある。)
例2:Ich lege das Buch auf den Tisch.(私はその本を机の上に置いた。)

例1の場合ですと、本は机のうえにある状態です。Wo?(どこに?)と聞かれたら、本は机の上にある、という答えになるので、その場合は次にくる名詞は『dativ』の形をとります。

難しい理屈は抜きにして、そういうものだと憶えてしまってください。どこか空間上のあるところ『に』(例の場合だと~の『上に』)その事物が存在している場合は次にくる名詞は『dativ』です

例2の場合ですと、私はその本をその机の上に置いた、という『上へ』の意味になりますので、その場合は次にくる名詞は『akkusativ』の形をとります。これに対応する質問はWohin(どこへ?)ですので、その場合は前置詞の次には『akkusativ』がくる、とやはり難しく考えずに憶えてしまいましょう。

以下に紹介するような他の『空間を表す前置詞』に関しても事情は同じです。『~に(Wo)』という特定の場所を指す場合は『dativ』ですし、『~へ(Wohin)』という空間の移動を伴う場合には『akkusativ』です。

unter(~の下に、~の下へ)
例1:Das Buch liegt unter dem Tisch.(その本は机の下にある。)
例2:Ich lege das Buch unter den Tisch.(私はその本を机の下に置く。)

vor(~の前に、~の前へ)
例1:Das Buch liegt vor dem Tisch.(その本は机の前にある。)
例2:Ich lege das Buch vor den Tisch.(私はその本を机の前に置く。)

neben(~のそばに、~のそばへ)
例1:Das Buch liegt neben dem Tisch.(その本は机のそばにある。)
例2:Ich lege das Buch neben den Tisch.(私はその本を机のそばに置く。)

an(~に接している、~に接しさせる)
例1:Das Buch steht am Tisch.(その本は机にもたれている。)
例2:Ich stelle das Buch an den Tisch.(私はその本を机にもたれさせる。)
※nebenとanの違いは、それに触れているかどうかが大きな違いです。
また、例1にでてくるamはan+demの複合形です。複合形は、ほかにもvon+dem=vom、zu+dem=zumなどがあります。

über(~の上方に、~の上方へ)
例1:Die Lampe hängt über dem Tisch.(そのランプは机の上方にある)
例2:Ich hänge die Lampe über den Tisch.(私はそのランプを机の上方に吊るす。)

zwischen(~の間に、~の間へ)
例1:Das Buch liegt zwischen dem Tisch und dem Sofa.(その本は机とソファの間にある。)
例2:Ich lege das Buch unter den Tisch und das Sofa.(私はその本を机とソファの間に置く。)

in(~の中に、~の中へ)
例1:Das Buch liegt im Tisch.(その本は机の中にある。)
例2:Ich lege das Buch in den Tisch.(私はその本を机の中にいれる。)

dativを伴うドイツ語の前置詞

以上までは空間を指し示し、dativにもakkusativにも変化する前置詞でしたが、dativのみを伴う前置詞も存在します。

mit(~と一緒に), aus(~から), von(~の), nach(~へ:大きなところ), bei(~のそばに:主に人物), zu(~へ:小さなところ)がそうしたものですが、この辺の用法は日本語訳通りにはならず、やや複雑なのでA1ではいないところで触れていくと思います。

とりあえず、これらの前置詞がきたら、次にくるのは『dativ』だということだけ憶えていてください。

akkusativを伴うドイツ語の前置詞

für(~のために)、um(~の周りに)、durch(~を貫いて)、gegen(~対して)などがきたら、次にくる名詞の格はakkusativです。

umなどは時制と一緒に用いられることが多いので、これに関しては少し憶えておいてください。

また、他にも属格(2格)の変化をおこなわせる前置詞もありますが、これは『主文』『副文』という区別の項でまた改めてお伝えします。