ドイツ語における命令形(Imperativ)の活用方法

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今回はそんなに複雑でない、比較的簡単なテーマです。

日本語では命令形でも、動詞は最後に来ますが、英語やドイツ語では最初にきます。ただ、日本語で誰かに命令する機会が少ないように、直接的な命令形というのは、ドイツ語でもあまり私は耳にしたことはありません。

日本語でも、社会においては、例えば会社などで『明日までにこれ終わらせろ』というよりは『明日までにこれ終わらせておいてね』『明日までにこれできる?』と、ある程度オブラードにつつむのが普通でしょう(体育会系の部活とからな別ですが)。

ちなみに、広義では『~してください』『~してくれませんか?』も命令形の一種ですので、どちらかといえばこちらの形を使う機会が多いと思います。

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命令形

広辞苑によると、命令形とは

動詞・助動詞の活用形の一種。命令の意を表すもの

と書かれています。

直接的な表現の『寝ろ』『起きろ』『行け』『来い』などは、基本は親や上司などの目上のものが、子供や部下など目下のものに使うのが通例ですね。一般的に使う場合には、『~してください』『~してくれませんか?』を使うことが多いでしょう。

動詞を活用させ、語尾が変化するという意味ではドイツ語も同じです(英語では語尾変化はしませんが)。以下、英語の命令形をおさらいからします。

英語における命令形

比較のために、まず英語の命令形を見てみましょう。英語の命令形には以下のルールがあります。

  1. 動詞が文頭にくる(否定の場合はDon’tが文頭に)
  2. 動詞が原形になる
  3. 主語が無くなる
  4. 柔らかくする場合はpleaseやcould you~?といった表現を用いる

Close the door.なら『ドアを閉めなさい』ですし、
Don’t close the door.なら『ドアを閉めるな』ですし、
Please close the door.なら『ドアを閉めてください』です。

そんなに難しいものではないので、このくらいにしておきます。ドイツ語は少しルールが増えます。

ドイツ語における命令形

まず、ドイツ語における『二人称』は以下の4通りあります。

  1. 親しい間柄の場合
    du :君
    ihr :君たち
  2. 初めて会う場合、仕事の間柄など
    Sie :あなた
    Sie :あなたたち

そして、duとihrとSie(あなた、とあなたたちは同じ形ですので)とで、3パターンの命令形が存在します。
説明のため、例文は以下のものに統一します。
例:Ich machte das Fenster zu.(私は窓を閉める)

これをそれぞれの形の命令形に置き換えてみましょう。

1.duにおける命令形

das Fenster zu!
(窓を閉めて)

ルールは以下の通りです。

  1. 動詞が文頭にくる
  2. 動詞が『du』の動詞における『st』をとったものに変化する ※1
  3. 語尾に!をつける

※1 ただし、一部不規則変化するものあり

2.ihrにおける命令形

Macht das Fenster zu!
(君たち、窓を閉めなさい)

ルールは以下の通りです。

  1. 動詞が文頭にくる
  2. 動詞は『ihr』における動詞の変化形と同じ
  3. 語尾に!をつける
3.Sieにおける命令形

Machen Sie bitte das Fenster zu!
(窓をどうか閉めてください)

ルールは以下の通りです。

  1. 動詞が文頭にくる
  2. 動詞は『Sie』における動詞の変化形と同じ
  3. 語尾に!をつける
  4. 基本的には、Sieは丁寧な二人称なので、日本語の『どうか~』『どうぞ~』にあたる『bitte』を文頭や文中に入れるのが普通

be動詞的な命令形

英語では『気を付けて!』などはbeを用いて『be careful』となりますが、ドイツ語のbe動詞にあたる『sein』は命令形においては特殊な変化を蒙ります。

  • du sei  例:Sei artig!(おとなしくしなさい!)
  • ihr seid  例:Seid artig! (同上)
  • Sie seien 例:Seien Sie artig!(同上)

これは特殊な変化形なので、憶えておきましょう。

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希望・願望・仮想

そのほかにも、英語では例えば『Could you close the door?(ドアを閉めてもらえますか?)』とか『Couldn’t you close the door?(ドアをしめていただけないでしょうか?)』と、『~してくれたら嬉しいです』的なニュアンスを醸すためには、動詞や助動詞を過去系にした仮定法を用います。

ドイツ語でもそれは同じなのですが、ドイツ語の場合『非現実話法』と言われるものがあり、またまた動詞が複雑な変化をするので、ここでは全部は取り上げません、B1レベルの話になってきてしまいますので。

とりあえず、今回の項目ではそれぞれの二人称に対する命令形のルールを憶えていただけたらと思います。