今回は、外国語を学ぶ上で必ず登場してくる『人称』の区別についてのまとめです。概念としてはそこまで複雑なものではないのですが、外国語を学ぶ上で必ずと言っていいほど登場してくるので、忘れてしまった人は念のためおさらいをしておきましょう。
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人称とは
広辞苑によると、
話し手との関係を表す文法範疇。話し手自身を指す一人称、話しかける相手を指す二人称、それ以外を指す三人称の3種に分ける。多くの言語で代名詞によって示され、動詞がそれと呼応する。
と書かれており、以上が人称の定義です。実際にはそれぞれに単数形と複数形があるので、バリエーションとしては少し豊富になります。
例えば日本語でいえば以下の通りです。
第一人称単数:私、僕、俺、など
第二人称単数:あなた、君、など
第三人称単数:彼、彼女、あれ、それ、など
〈複数系〉
第一人称複数:私たち、我々、など
第二人称複数:あなた達、君たち、など
第三人称複数:彼ら、彼女ら、それら、など
これら人称の区別は命令形や未来形を作る際などに必要になってくるので明確にしておきましょう。
1.第一人称とは
話手自身、または話し手を含むグループのことです。基本的には『私』『私たち』が主語になるので、自分の意志(私は~をしたい)、自分のしたこと(私は~をした)、自分の紹介(私は~である)のような形で使います。
日本語では第一人称はしばしば省略されますが、欧州言語では基本的に『省略されない』と考えていてください。
2.第二人称とは
対話する相手、または相手を含むグループを指示する人称のことです。『あなた』や『あなたがた』の類に属し、相手がその場にいることが前提になります。なので、相手への疑問文(あなたは~ですか?)、意志(一緒に~しましょうよ)、命令・願望(~しろ・~してください)のような使用があります。
日本語と同様、命令形においては第二人称の主語も省略されがちです。
3.第三人称とは
上に登場した二つの人称以外です。つまり、話し手と聞き手以外の登場人物、その場にいない人『彼』『彼女』あるいは物言わぬ『それ』『これ』なども第三人称の仲間です。
注意しなくてはいけないのが、英語には『it』ドイツ語には『es』という、無生物主語が存在すると言うことです。例えば、日本語では『雨が降る』と言いますが(雨が主語)、英語とドイツ語ではともに、itとesが主語になり、特定の主語を示さない『無意味の主語』と呼ばれるものが登場します。
esの用法に関しては後述しますので、とりあえず三人称とは一人称、二人称以外のすべて、と憶えていてください。
人称と格変化
さて、日本語においては主語が『私』だろうと『君たち』であろうと『彼』であろうと、以下のように動詞の変化はおきません。
二人称:あなたはサカナを食べる
三人称:彼はサカナを食べる
一方で、英語やドイツ語においては格変化が生じますので注意が必要です。比較のために、まずは英語のほうをみていきましょう。
1.英語における格変化
第一人称単数:『I』 play baseball.
第二人称単数:『You』play baseball.
第三人称単数:『He』『She』plays baseball.
〈複数系〉
第一人称複数:『We』play baseball.
第二人称複数:『You』play baseball.
第三人称複数:『They』play baseball.
英語においては、第三人称単数においてのみ、上記のように語尾に『s』を生じさせる格変化がおきます。be動詞は例外ですが、とりあえず第三人称単数にだけ気をつければいいのです。
これがドイツ語になるとすべての人称において格変化がおきます。
2.ドイツ語における格変化
第二人称単数:『Du』spielst baseball. 『Sie』spielen Baseball.
第三人称単数:『Er』『Sie』spielt Baseball.
〈複数系〉
第一人称複数:『Wir』spielen Baseball.
第二人称複数:『Ihr』spielt Baseball. 『Sie』spielen Baseball.
第三人称複数:『Sie』spielen Baseball
第二人称単数に『Du』と『Sie』が、第二人称複数に『Ihr』『Sie』の区別がありますが、『du』と『ihr』は君、君たちというフランクな二人称で、Sieのほうは、あなた、あなたたちという形式ばった表現です。
使い分けに関しては実際に生活してみないと難しいですが、君、君たちのほうは友達、語学学校、親戚などで使用し、あなた、あなたたちのほうは仕事場、レストランなどオフィシャルな場で使用します。
語尾がさまざまに変化していますが、これにはルールがあるので一度憶えてしまえばそう難しくありません。
通常、辞書にのっているのは『Sie』の動詞変化である『spielen』の形ですが、ここから『en』を取っ払った『spiel』という形が語幹と呼ばれるものになります。
この『語幹』に対して、以下の表のような変化を蒙るのです。
- ich spiel+e
- du spiel+st
- er/sie/es spiel+t
- wir spiel+en
- ihr spiel+t
- Sie/sie spiel+en
この辺は無理に覚えようとしなくても、どうせそのうち嫌というほどでてくるのでそのうち覚えます。また、一部の動詞は不規則変化を蒙るので、それに関しては逐一勉強が必要ですし、seinや助動詞なども不規則変化をするので注意が必要です。
ちなみにロシア語のこの格変化よりもさらにバリエーションが豊富だとかで、私は勉強するのをあきらめました笑