ドイツ語の形容詞と副詞の働きの仕組みは基礎の中の基礎

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さて、主語と動詞に引き続いて、今回は『形容詞』と『副詞』についてまとめていきます。この辺も、国語の授業とか英語の授業の初期のところで習ったようなところでしょうか(私は忘れてしまっていましたが)。

あくまで私の意見ですが、文章の構造上は、まず優先順位として最初に『主語』と『動詞』を見極めてから『形容詞』『副詞』を見極めていくのがいいと思います。

もっとも、形容詞・副詞の意味を真逆に解釈してしまうと、せっかく分の構造自体を理解していても、『Meine Frau ist gut(私の妻は良い妻だ)』『Meine Frau ist schlecht(私の妻はひどいぞ)』では、文の意味が180度かわってしまいますので、すらすらっと読み飛ばしていると痛い目を見るので注意してください。

ちなみに、この項は個人的にはドイツ語の文法理解をしていくうえで、結構なウエイトをしめている重要な項目だと思います(特に、比較・最上級などを勉強するときに)。

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形容詞と副詞とは

例によって広辞苑からひっぱってきます。形容詞とは

事物の性質・状態・心情などを、その接続的・静態的な属性に着目して表す語

と書かれています。

要するに、『赤い』『小さい』『醜い』『愉快な』『ハンサムな』・・・といった、名詞にくっついて修飾するような品詞を総称して『形容詞』と言います(日本語には形容詞と形容動詞がありますが)。

次に、『副詞』の説明を見てみましょう。広辞苑さんです。

主として用言および状態を示す体言または他の副詞を修飾する語

と書かれています。なんか難しいですね。

ここで用言と体言の違いを勉強する必要なないので、ざっくりとまとめると、『とても美しい(形容詞を修飾する)』『すぐ用意する(動詞を修飾する)』『もっとゆっくり(副詞を修飾する副詞)』という感じで、何か他のものを強化(?)するように使います。

ここまでが日本語における形容詞と副詞です。国語の授業ではないので多少乱暴に説明しましたが、要するにこんなところです。

また、英語においては副詞は基本語尾に『ly』がつきます。Sad(形容詞)→sadly(副詞), complicated(形容詞)→complicatedly(副詞)のように。

ドイツ語における形容詞と副詞

ドイツ語においては、形容詞は『Adjektiv』、副詞は『Adverb』とそれぞれ言います。(ともに中性名詞です)。

さて、やっかいなのが、ドイツ語の形容詞と副詞は、英語のように2パターンあって使い分けるわけではなく、『形容詞』が同時に『副詞』の役割も果たすことにあります。

英語と区別するために、以下の2つの文章を見比べてみましょう。
『形容詞的用法』
英語:She was sad about his death. 彼女は彼の死を悲しんだ(形容詞的に)。
独語:She war traurig. 彼女は悲しんだ(形容詞的に)。

『副詞的用法』
英語:He speaks sadly. 彼は悲しそうに話す(副詞的に)。
独語:Er redet traurig. 彼は悲しそうに話す(副詞的に)。

英語では、sad(形容詞)はsadly(副詞)に変化していますが、ドイツ語ではtraurigは形容詞だとろうと副詞だろうとtraurigのままです。やっかいと言えばやっかいですし、語尾が変化しないので楽といえば楽ですが。

ただ、一つ注意しなければいけないことがあります。

「名詞の前におかれた形容詞は、語尾が変化する)」ということです(副詞は変化しません)。
例1:Der gute Artz wohnt in Berlin.(その良い医者はベルリンに住んでいる)
例2;Ein guter Artz wohnt in Berlin.(一人の良い医者がベルリンに住んでいる)

ですので、これは形容詞か、それとも副詞だろうか、ということを確認しながら文章を読んでいないと、形容詞と副詞を取り違えている恐れがあります。

(形容詞の語尾変化は、A2の項でとりあげます。正直、憶えるのが面倒にもかかわらず日常会話で最低限なくても会話は成立するので、ついつい怠けがちになるところですが)

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形容詞・副詞の勉強法について

また、ある程度慣れてくると形容詞・副詞に関しては語彙自体を知らなくても、見当がついてきます。

また、文中のdochとかeinfachとか、無理して訳さなくても大意に影響のないものも数多くあります。例えば下記のドイツ語をご覧ください。
『Machen Sie doch bitte das Fenster zu』
日本語訳では『その窓を閉めてくれないでしょうか』という訳になりますが、dochがあろうとなかろうと大意になんら影響はありません。

ネイティブに尋ねたところ、『ああ、その副詞はなんとなく語感をよくするために使ったよ』とか言うケースもあります。

日本語でも、『その窓を閉めていただけませんか?』と『どうかその窓を閉めていただけないでしょうか?』では、まあ微妙にニュアンスは違いますが、おおよそ大意は伝わりますよね(私はネイティブではないので、ドイツ語のこの辺りのニュアンスの違いはまだ分かりませんが)

要するに、そこまで神経質に、一言一句訳しながら進む必要はないということです。

また、文章を読みながら分からない単語が出てくるたびに辞書をひいていると、辞書を逐一ひくくせがついてしまい、語学の勉強としてはあまりよろしくないと、語学の教師が言っていました。(ドイツの教師も言ってましたし、私の高校の先生も言ってました)

なので私は文章を読むときは、『これは形容詞・副詞だな』と検討をつけたら、基本的にはある程度流しておいて、文章を読み終えた後に辞書を引くことにしています。

これを繰り返しているうちに、次第に辞書を引かなくても、おおよその見当がつくようになってきます。