ドイツにいると、かなりの頻度でメールを使います。大学院の入試相談課に連絡するときや、新しい家を探すとき、語学学校に質問するときです。
こうした際に、基本的なメールのルールを知っておかないと、相手に不愉快な印象を与えたり、こちらの主旨が伝わらなかったりするので、メールを書く際の最低限のルールは知っておいたほうがよいかと思われます。
もちろん日本語でもメールの作法はあると思いますが、今回は同一語での作法や書き方などを紹介していきたいと思います。
スポンサーリンク
ドイツのメールの書き方
メールはドイツ語でも『die E-Mail』です。ちなみに、手紙は『der Brief』で、今回の内容は手紙の書き方にも応用できるのですが、昨今あまり手紙を書く機会もないので『メール』ということにしました
ちなみに、手紙も書き方としてはほぼ同じなのですが、署名が必要だったり、日時を書かなくてはいけなかったりと、少しだけ勝手が違うので、また別の機会に紹介することにします。
さて、ドイツでメール(手紙)を書く際に注意しなくてはいけないのが、日本と同様『フォーマル』と『インフォーマル』とでメールの書き方が大分違うと言うことです。
この辺は万国共通なのでしょうが、例えば日本でも友人同士のメールに一々『拝啓』とか『~様』とかつけませんし、逆に上司や取引先とのメールに『久しぶり!』とか『君~』とかいった言葉遣いをしないのと同じです。
以下、今回は『フォーマル』なメールと『インフォーマル(プライベート)』なメールの書き方についてまとめていきます。
フォーマルなメールに関して
そもそも、フォーマルなメールとはどんなときに使うのかというと、具体的には以下のようなときに使用することになります。
- 公的な場所への問い合わせ
- 大学、大学院に連絡するとき
- 新しい入居先などに連絡するとき
- 職場や仕事の取引先に挨拶するとき
- カタログをみて会社に商品を問い合わせたいとき
- ホテルなどに予約を入れたいとき
まあ、基本的には『顔を合わせたことのない』人、あるいは仕事上の人とのメールは全て『フォーマル』なフォームのメールをつかっておいたほうが無難でしょう。日本でも、敬語をつかって失礼、ということはあまりありませんので、どちらか迷った際は『フォーマル』なフォームを使うことにします。
さて『フォーマル』なメールを打つ際に注意しなくてはいけないのが、以下のような事柄です。
- 『Sie』フォームをつかう
- 冒頭に宛先を入れる
- 結びの語を入れる
- 最後に自分の名前を入れる
以下、順に説明します。
1. 『Sie』フォームをつかう
これは、ドイツ語特有の『du』か『Sie』かの違いです。『du』は『君』みたいなニュアンスですし『Sie』は『あなた』のようなニュアンスです。基本的にはオフィシャルな場や、初対面の相手には呼称として『Sie』を用いるのがよいです。
当然、Sieフォームですので動詞の語尾も全てSie形に合わせる必要があります。
- Du Spielst
- Sie Spielen
2.冒頭に宛先を入れる
英語では「Dear~」に該当する部分です。相手が男か、女か、あるいはパーティーの招待状のように不特定多数に送られるものかによってこのスタイルが変化しますので注意しましょう。
女性へ宛てる場合 Sehr geehrte Frau ××,
不特定多数に宛てる場合 Sehr geehrte Damen und Herren,
男性宛の場合と、女性宛の場合とで、geeheterかgeehrteかで異なっているので注意しましょう。
ちなみに、ドイツ語にはMissとMrs.とMs.を使い分ける必要が無く、すべて『Frau』で統一可能です。また、名前のあとに『,』を忘れないように注意しましょう。
3.結びの語を入れる
これはもう決まった形で憶えてしまいましょう。フォーマルな手紙の場合は
を使用します。英語でいうとYours sincerelyにあたります。
4.最後に自分の名前を入れる
最後に、自分の名前を忘れないようにしましょう。自分の名前は、必ず『フルネーム』で書くようにしてください。また、基本的には西洋圏ですので、名前→苗字の順でかくことが望ましいでしょう。
以上が、最低限のメールの枠組みです。これにあとは文章を付け加えていくのですが、以下にちょっと例をのせておきますので参考にしてください。ヘルガさんが田中さんにフォーマルなメールを打つ場合は下記のようになります。
文章
Mit freundlichen Grüßen
Holger Angela
インフォーマルなメールに関して
先ほどの『フォーマル』なものとは対象的に、プライベートな内容のメールを打つときなどに使用します。
例えば、以下のとおりです。
- 遠方の友人、恋人とのやり取り
- 家族などとのやり取り
もっとも、ドイツに家族がいる人はまれだと思いますので、殆どが『友人・恋人』とのやり取りということになるでしょう。
以下のようなことに注意してください。
- 『du』フォームをつかう
- 冒頭に宛先を入れる
- 結びの語を入れる
- 最後に自分の名前を入れる
先ほどと同様、説明をほどこしていきます。
1.『du』フォームをつかう
これは、先ほども説明しました。第二人称をSieではなくduにするだけです。Sieでも失礼ということはないのですが、やはり堅苦しく感じてしまうため、友人間ではduのほうがよいでしょう。
2.冒頭に宛先を入れる
インフォーマルな場合は、フォーマルな場合と少し違います。
女性へ宛てる場合 Liebe ××,
LieberかLiebeか『r』の有無が違いますので注意しましょう。また、先ほどと同様名前のあとに『,』を付けるのもお忘れなく。
3.結びの語を入れる
これもフォーマルなもの同様、形式的に覚えてしまいましょう。インフォーマルな場合に使用されるのは
というフォームです。
英語だとBest regardsみたいなニュアンスです。
4.最後に自分の名前を入れる
これもフォーマルなものと同様、自分の名前をフルネームで忘れないようにしましょう。
さて、これらをふまえてメールを書くとすると以下のようになります。田中さんがジョンさんに書いたメールです。
文章
Liebe Grüße
Taro Tanaka
メールで使える表現など
以下、少しメールで使える表現などについてふれていきます。
vielen Dank für~
『~についてありがとうございます』という表現です。フォーマルでもインフォーマルでも使うことが可能です。
例:vielen Dank für deine E-Mail.
(メールありがとうございました)
例:vielen Dank für deine Einladung.
(ご招待いただいてありがとうございます)
Ich freue mich auf~
『~できることを楽しみにしています』という表現です。これも、フォーマル・インフォーマル問わず使うことが可能です。
例:Ich freue mich darauf, diesen Sachverhalt mit Ihnen zu besprechen
(この件についてあなたとお話できることを心待ちにしております)
・Bitte antworten Sie uns umgehend.
『早くお返事いただけたら幸いです』という表現です。どちらかというとフォーマルな文章で使われることが多いです。また、基本的にはその後に急いでいる理由などを添えるとより丁寧でしょう。
Ich möchte Sie fragen, ob~
『~かどうか少し質問させていただきたいのですが』というフォーマルな表現です。インフォーマルな場合はIch habe eine Frage(ちょっと質問あるんだけど)くらいでいいです。
日本のビジネスレターもそうですが、母国語話者であってもときには難しく感じる時があるくらいですので、ドイツ語でビジネスレターを書けるようになるには中々時間がかかります。
日本人と同様、ドイツ人は直接の表現を嫌いますので『~してくれませんか?』と言うより『~していただけたら嬉しいのですが』みたいに、少し婉曲な表現を学ぶ必要があるのですが、この辺りは長く生活して慣れていくよりほかにないと思います。
今回は、ドイツ語のメールに関するまとめでした。