ドイツは日本に興味があるか?ドイツ人からよくされる質問ベスト10

ドイツ人に限らず、外国人の友人を持つと、よく「日本の習慣」について聞かれることが多々あります。もちろん、外国人の中には日本マニアのような人もおり、彼らは日本に詳しいのですが、中にはテレビなどで日本を見知った人もおり、そうした人々にとって以下のような質問は好奇の的のようです。

このような「文化に対する質問」は、お互いのことを知り、仲良くなるきっかけにもつながります。今回は、私がドイツ人に良く聞かれる質問をまとめていきます。

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ドイツ人から聞かれる質問ベスト10

ここ数年、訪日旅行客の数は次第に増えてきてはいますが、まだまだ日本を訪れるドイツ人の数は多いとは言えません。それゆえ、東洋の中国のさらにその先に浮かぶ島国、日本という国を、ある人は興味の目で見ていることもあります。

以下、私がドイツに住んでいてよく聞かれる質問です。ドイツ人と話すとよく聞かれるものばかりですので、自分なりの答えを用意しておくと話がはずみます。

1.なんで日本人はマスクをするの?

なぜかよく聞かれます。下手したら、日本人への質問系で一番多いんじゃないか、ってくらいよく聞かれます。答えは明瞭で、自分が風邪をひいているとき、相手に移さないためです。ワオ、日本人はなんて礼儀正しいんだ!と驚かれます。ちなみに、私はヨーロッパでマスクをしている人を一人たりとも見たことがありません。

アカデミックな用語を使えば、欧州文化は「individualistic」であり、アジア文化は他人やハーモニーを重んじる「Collectivistic」の文化だということです。

2.日本人はどうやって日本語のキーボードを打つの?

これもよく聞かれます。亜種として「日本にはいくつのアルファベットが存在するの?」という質問もよくされます。これを説明するには「表音文字」と「表意文字」という概念からスタートしなくてはいけません。

前者のほうは、アルファベットを組み合わせて作れます(ひらがな・カタカナ)。後者のほうは、表音文字を変換することで、同じ音を持った異なる文字に変換させることが可能だ、と私はよく説明しています。

3.日本人はなんではっきりNOと言わないの?

日本に行ったことのある人、日本人の友人がいる人などは、よく疑問に思うようです。ルイ・ベネディクトの「菊と刀」によると、日本人の社会的規範になっている一つの概念は「恥」です。つまり、体面(face)、名誉(honour)を公に傷つけられることは、最大の恥であり、ある意味殺人よりも許されるべき行為とされていました。

それゆえ、他者の体面を保つため、日本の文化はおのずと「直接的」な表現を避けるようになってきました。直接なにかを断ることは、相手への侮辱へとつながります。ゆえに、相手に察してもらうよう、婉曲に、自身の「NO」を伝えるような表現に慣れてしまっているのです、と私は説明しています。

4.日本は中国や韓国と仲が悪いの?なんで日本は中国が嫌いなの?

ちょっと俺、アジアの外交も知ってるんだぜ、的なインテリなドイツ人によく聞かれます。私は中国好きですけどね、三国志とか項羽と劉邦の楚漢戦争とか、なんとなく日本人の判官びいき魂をくすぐる歴史的なテーマ多いですよね。我々の文化も、大半はもとはと言えば中国からの輸入ですし、私個人的には中国は好きです。

あまり深く説明しても面倒なので、中国と日本は、ロシアとドイツみたいなものだよ、というと納得してくれます。日本に中国人はいっぱいいますが、政治的には好ましく思っていない、的な。と、なると立ち位置的に韓国は地理学的に強国に挟まれて悲惨な位置にある、ポーランドとなるのでしょうか。ちなみに今でもポーランド人の中にはドイツが嫌いな人は多いです(特に年配の方)。

5.日本人は中国語を理解できるの?

ドイツ人学生の中には、中国文化を勉強したり、中国語を勉強している人が多いです。彼らは商業的なので、中国という巨大なマーケットを放っておくわけがありません。ということで、中国繋がりで「漢字」を知っている彼らから見ると、日本語と中国語の違いは興味深いようです。

文章を書かれたらなんとなく分かるけど、言っていることはよくわからないよ、君らがオランダ語を理解できなくても、なんとなく分かるのと同じだよ、と答えています。

6.日本人はドイツ人と他の外国人を識別できないの?

それは、ドイツ人が日本人と他のアジア人を識別できないのと同じでしょう。私は、長くドイツに滞在している間、だんだん目が慣れてきたようで、ドイツ人と他の人種を識別できるようになってきました。

同じノリで、「日本人は道ですれ違って日本人が識別できるの」という質問もあります。日本人と韓国人と中国人の場合、化粧や服装で見分けるほうが早い気がします。

7.日本には「悪口(swear-word)」がないって本当?

「馬鹿」とか「死ね」程度のものは存在しますが、欧州のようないわゆる「本当に汚い言葉」は存在しない気がします。日本人のことわざの一つに「弱い犬ほどよく吠える」というものがあり、悪口に逃げるような男は意気地なしだと見なされます。

特に体面を重んじるサムライの文化の中では、こうした悪口の応酬よりも、刀を用いた物理的な決闘が好まれたため、日本人は悪口を使わない、となんとなく彼らの中の武士道の理想像を傷つけないような説明をしています。

8.なんで日本人は英語が話せないの?

語族が違うのと、話す機会がないのが主な理由でしょう。同じゲルマン語族であるドイツ人が英語を話せるのとは勝手が違います。僕らは英語の習得に君の2倍かかるけど、中国語の習得なら君の半分で済むよ、と言ってあげましょう。

9.なんで日本人はたくさん働くの?なんで過労死するの?

昨今も問題となりました、Karoushi。これは、ドイツ人にあの社会に一度身を置いてもらい、民俗学的なアプローチで実際に経験してもらいたいですね、説明しても分からないと思うので。

私が感じたのは、とにかく日本人にとって重要なのは「体面」である、ということです。仕事を投げ出す→無責任、会社を辞める→無責任、と。上述した通り、西洋文化を縛っているものが罪の意識なら、日本社会を規範するのは恥の意識です。

美徳や美意識の感性は国ごとによって異なりますし、壊れるまで働いてこそ立派である、という日本の精神論的、軍人勅諭的な風習の表れとしか説明のしようがないかと思います。

Straight out of college in 2009, his son Satoshi proudly joined a prestigious manufacturer, but within a year he was dead. Investigators said working extreme hours drove him to take his own life. The young engineer fell victim to the Japanese phenomenon of “karoshi,” or death from overwork.

「大卒後すぐに、彼の息子であるサトシさんは、大手メーカーに就職した。しかし、就職からわずか1年で死んでしまった。調査員によると、彼の死因は働きすぎによるものである。この若きエンジニアは、日本特有の現象、過労死の犠牲となったのだ」

引用:過労死に関する英文記事

10.なんで君はドイツに来たの?

日本人がドイツにいると、よく聞かれます。仕事の面接でも聞かれますし、教授との雑談でも聞かれます。これに関しては、ある程度自分なりの受けのよい答えを用意しておいたほうがいいでしょう。