ヨーロッパの旅行中に知り合った親日な人たち

私は旅行が好きなので、休みの日などぶらりとドイツから近隣諸国に格安航空や列車で出かけるのですが、縁は異なもの味なものと言ったもので、行くところによっては面白い良縁に恵まれることもあります。

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旅先で会った欧州の日本好きな人たち

まず、初めに注意しておきますが、海外で話しかけてくる外国人(特に日本語で話しかけてくる外国人)には、注意しなくてはいけません。下心がある場合、詐欺目的、場合によっては傷害・殺人事件の被害者にもなりかねません。

ただ、中にはほっこりするような出会いがあることもまた事実で、あまり不用心になりすぎても危険ですが、すべてに警戒しすぎてしまうと、こうした面白い出会いを逃すのもまた難しいところです。

以下、私が各国で出会った親日な人々を紹介していきます。ちなみに、ここに述べる人たちとは私は連絡先を交換していません、人生で一度っきりの出会いもまた粋でしょう。

1.ハンガリー

私がブダペストを旅行していた時のことです。カフェでコーヒーを飲みながら休憩していると、私の後ろの席から「ナリタ」「シンカンセン」「フジサン」と、なんとなく聞き覚えのあるフレーズを片言で話すハンガリー人の声が聞こえました。

最初は空耳かと思っていましたが、「テンドン」「ミドリノマドグチ」「アキハバラ」というフレーズもちょいちょい会話の節々に挟まっており、どうやら日本のことを話しているな、ということが分かりました。

興味が湧いたので、振り返って話しかけてみると、どうやら、一人はハンガリー人の旅行コンサルの人で、もう片方はハンガリー人の年配の女性、結婚30周年の記念に念願の日本への旅行を計画しており、今回はその相談にきた、とのことでした。

そんな素敵な記念日に日本を選んでくれたというのは、なんとも嬉しい限りです。彼女と旦那さんの日本旅行が素敵なものであったことを願います。

2.フランス

会ったのはドイツ国内で旅行していたときの話ですが、たまたま観光地で写真を撮ってもらおうと母子の親子連れに声をかけたところ、相手がフランス人でした。

娘さんは高校生くらいで、何もしゃべりませんでしたが、饒舌なお母さん曰く、どうやら娘さんはフランスの田舎町で日本語を勉強しているようで、日本人と会うのは初めてだから緊張している、とのことです。

私としても、日本に興味を持ってもらえることは嬉しいので、ちょうどリュックサックに入っていた富士山の絵葉書をプレゼントしたところ、「アリガト!」と喜んでくれました。いずれ娘さん自身が富士山を見に日本に訪れてくれると嬉しいです。

3.ポーランド

友人を訪ねにポーランドへ行ったときのことです。その日は大雨で飛行機が大幅に遅延し、空港に着いたのが22時のことでした。さらに、そこから列車で別の町に向かわなければいけなかったのですが、大雨の影響で駅は大混乱、列車が3時間、4時間遅延し、ホームもめちゃくちゃ、という状況でした。

私の列車は、遅れに遅れ、電光掲示板によると「深夜1時発」とのことでした。深夜12時55分ごろ、それと思しい列車がホームに到着したので、慌てて乗ろうとすると、後ろから「待て!」と若いポーランド人の男に呼び止められました。

なにかと思って尋ねると、どうやら、この列車は臨時の列車で、多分君の思っている目的地にはいかないと思うから、切符を見せてみろ、とのことです。すわ、彼の言う通りで、この列車は全く逆方向に向かう列車で、電光掲示板を信じていたら、私は深夜のポーランドの片田舎で迷子になるところでした。

なんと偶然なことに、彼はどうやら、親が理系の大学教授で、日本で仕事をしていた経験もあり、そのつてで東京に2ヵ月ほど滞在したことがある、と言っていました。こんなところで会うのも何かの縁だ、と言って、私が乗る列車を一緒に待って、見届けてくれました。東欧の人は冷たい印象ですが、中にはこのようにやさしい人もいます。

4.ロシア

ロシアに行ったことがある人は知っていると思いますが、町中にはいたるところにロシア人の軍人が立っています。銃を持って、デパート、レストラン、博物館、いたるところの入り口で、眉一つ動かさない厳格な面持ちで旅行客をにらみつけています。

私がデパートに入ろうとした際も、ゲートのところにいかついロシア軍人が立っていました。私が店中に入ろうとすると、まるで私を叱責するように険しい面持ちで「お前は何人だ!」と叫びました。

てっきり私はなにかやってしまったかと思い、ビビりながら「日本人です」というと、急にその軍人の顔の表情が和らぎ、「ニンジャ、ニンジャ」といって左右に揺れだしました。あまりふざけていたようで、後ろから来た上司と思しきロシア人に怒られていました。

司馬遼太郎も言ってましたが、基本的にロシア人男性は無邪気でいい奴が多いんですよね。戦争で群れると豹変しますが。

5.トルコ

トルコ人は親日が多いと、よくメディアなどで聞きますが、確かに好意を持つトルコ人は多いです。まず、歴史的には、欧米列強に対し、旧近代的な武器と精神力だけで歯向かっていったという(場合によってあまり嬉しくない)仲間意識があるようです。降伏を潔しとしない理不尽な昭和気質な軍人魂が、なぜかトルコ人男性には好まれます気がします。

私がイスタンブールのホステルを利用していた時のこと、受付で英語の話せないトルコ人男性に絡まれました。なにを喚いているのかと思ったら、受付のお姉さんが英訳してくれて、どうやら彼は、私が剣道の黒帯(多分柔道とごっちゃになっている)を持っているのかどうか知りたいようでした。

持っていない、というと「何色なら持っているんだ」と聞かれ、何色も持っていない、と答えると、「じゃあ家に日本刀は持っているか」と聞かれ、それも持っていない、と答えると、大層がっかりされました。トルコ人の中の日本人イメージは、明治維新でストップしているのでしょうか。

おまけ.台湾

基本的に、ドイツに来ているアジア人(中国人、韓国人を含め)は親日が多いです。多分、留学組は家が裕福なので排他主義に走る必要もなく、海外に住んでいるので視野も広いのでしょう。

その中でも、特に日本に対して好意的なのは台湾人です。いくら親日的な中国人、韓国人でも、日本の近代史の話になるとさすがに難色を示す場合が多いのですが、台湾人は日本の近代史に対しても好意的なことが多いです(個人差がありますが)。

大戦中に南方戦線で活躍した高砂義勇隊(これは日本政府に恩給を払ってあげてほしいです)、蒋介石の要請で台湾の軍事顧問を務めた白団、日本人の母を持つ台湾の英雄鄭成功など、なんとなく台湾の若者の心をくすぐる素材が多いのではないでしょうか。