一時期前、エボラウイルスが話題になりました。致死率が50パーセント近いということもあり、アフリカなどへの渡航を見合わせた人も少なくなかったかと思います。ところが、世界にはそのエボラウイルスよりも致死率が高く、毎年5万人もの人々が亡くなる病気が存在します。
それは「狂犬病」で、もはや日本では見かけなくなりましたが、いまだにアフリカやアジア諸国では猛威を振るっています。さて、ドイツ国内ではどのような状況なのでしょうか?
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狂犬病とはどんな病気か:世界の状況
狂犬病とは、狂犬病ウイルスに感染した獣(犬、猫、蝙蝠)などに噛まれたり、引っかかれたりすることで感染する病気です。発症してしまうと5日程度でほぼ100%の割合で亡くなる、治療法の確立されていない恐ろしい病気です。
ただし、ワクチンが存在しており、咬まれてからすぐにワクチンを接種すれば、100%近く発症を防げますので、仮に発展途上国などで獣に噛まれたら必ずワクチンを接種しましょう。
さて、この恐ろしい狂犬病ですが、国の対策がしっかりしていたこともあり、日本では50年以上国産の狂犬病は発生していません(海外で咬まれ、帰国後に感染、というケースはいくつかありますが)。他にも、イギリス、アイスランド、アイルランドなど、先進国の島国地域では狂犬病発症例はもう何十年も報告されていません
逆に、発展途上国、特にインドやフィリピンなどでは年間多くの発症例が報告されており、邦人の死亡例も存在します。さて、ドイツでの状況はどのようなものなのでしょうか?
ドイツにおける狂犬病
ドイツは、フランスや他のスカンジナビアの諸国同様、徹底した管理により、ここ20年近く国産の狂犬病による人の死亡例は報告されていません(他国で咬まれたものを除く)。ただ、ドイツの場合は、日本やイギリスと違って他の国と陸続きになっており、特に野生のキツネなどへの対応は随分時間がかかったようです。
例えば、1980年の時点では年間6800件近い事例が報告されており、1991年には3500件、2001年になってからも50件が報告されていたようです。これらの事例は、大抵山などにいるキツネによるもので、2005年ごろまで、そのため、ドイツにはこのように肝の冷えるような看板が掲げられていたようです。
それが、2008年までに、国の徹底的な対策により、どうやら今のところドイツは「狂犬病撲滅地区」に指定されています。
Wie das Robert-Koch-Institut (RKI) auf seiner Homepage mitteilt, ist die Tollwut wegen der oralen Immunisierung der Füchse, die bis zum Frühjahr 2008 durchgeführt wurde, in Deutschland nicht mehr verbreitet. Einen letzten Fall gab es demnach im Feburar 2006 in der Nähe von Mainz. Der letzte Tollwutfall bei einem Menschen in Deutschland trat 2007 auf: Ein Mann war in Marokko von einem streunenden Hund gebissen worden.
「Robert Koch機関の伝えるところによると、ドイツ政府が2008年までにおこなった、キツネへの狂犬病予防接種が功を奏し、狂犬病はドイツではもはや見当たらない。最後の報告例は、マインツの近くで2006年に発見されたものである。また、最後の人間への感染例は、2007年のものだが、これはドイツではなく、モロッコで野良犬に噛まれた男がドイツに帰ってきて発症したケースである。」
ただ、日本とドイツの違うところは、ドイツは島国ではないので、他の欧州からいつ野生動物が迷い込んでもおかしくないところと、野生動物でないにせよ、ペットなどを通じて再度狂犬病が上陸する危険性はある、と言われています。
So war es auch bei den beiden letzten Tollwut-Fällen in Bayern: 2010 kam ein tollwütiger Hund aus Bosnien-Herzegowina und 2013 einer aus Marokko. Um eine Wiedereinschleppung zu verhindern, werden Reisen mit Haustieren deshalb nach eigenen gesetzlichen Vorschriften überwacht.
「最近の2件の狂犬病の駆除事例は、両方ともバイヨンである。2010年にはボスニアから、2013年にはモロッコから、狂犬病の疑いのある犬がドイツに入ってこようとして駆除された。こうした、病気の持ち込みを防ぐため、ペットを伴った旅行は厳格に規定されているのだ。」
一応、統計的にはドイツで狂犬病にあう確率はゼロに等しいですが、理論的には、偶然海外から輸入された動物などによって咬まれて感染することがありえる、という話です。そのことはドイツ政府もわかっているらしく、当局の判断は基本、疑わしきは罰す、の法則に基づき、狂犬病の危険性のある動物は片っ端から駆除されています。