銀行マンは高給取り?ドイツの各業界、学部の初任給を調べてみた

厚生労働省の統計によると、日本の直近の大卒初任給はおおよそ20万円で、ここ十年ほどおおよそ19万~20万円程度で安定しているようです。ここから年金やら健康保険やら差っ引かれて、手取りはもう少し下がって17万円程度になります。

さて、ドイツの場合はどうでしょうか?業界や学部ごとに、果たしてどのような違いがあるのでしょうか?今回は、そのようなドイツでの就活に役に立ちそうな初任給情報を、学部別、職業別、学歴別に調べてみました。

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ドイツ初任給事情

さて、統計資料によると、2017年のドイツの大卒の初任給の平均値は43,000€(年収)のようです。1ユーロ=130円として計算すると、年収ベースで559万円もらっていることになります。これはあくまで平均値ですので、当然、学部や職業などで開きが出てきます。

以下、学部ごとの初任給を見てみます。

1.学部や学歴で見てみる

例えば、ドイツでもっとも高給取りとなるのが、法学部の博士号を取得した場合のようで、その場合では初任給は59,000€、日本円に換算すると760万円、他には情報科学の博士号、金融工学や医学部など、理系が高給取りとしてみなされています。

有名どころで平均値の43,000€を上回っているのが、法学、情報科学、経済(商)学部で、薬学、言語学、グラフィックデザインなどは平均値をやや下回っている統計になります。

ちなみに、bachelorとmasterで比較すると、masterの取得者はbachelorと比較して初任給に9パーセントの違いが出るようです。単純に平均値の43,000€が46,870€になるわけで、年収ベースで50~60万円程度かわってきますね。

ただ、基本的にmasterを取得したほうがよいかは学部や専門によって変わってくるようです。

Gerade in den Naturwissenschaften wird oft ein Master, manchmal sogar eine Promotion vorausgesetzt. In den anderen Gebieten lohnt sich ein Master vor allem für Juristen sowie für Akademiker im Finanzwesen, im Einkauf und Logistik. Der Unterschied zwischen einem Einstieg mit einem Master oder einem Bachelor kann in diesen Bereichen 5.000 bis 6.000 Euro im Jahr ausmachen.

「自然科学の分野ではすべからくマスターや、博士号が好まれる。法学、金融、ロジスティックなどの分野でもマスターへの進学は割りにあうだろう。こうした分野では、マスターかそうでないかによって、年間あたり、5000€から6000€の違いが出てくる。」

また、今見てきたのはあくまで「学部ごと」の平均値ですので、実際にいくら給料をもらうかで重要になってくるのは「どこで働くか」です。続いて、セクターごとの給料を比較していきましょう。

2.業界別に見てみる

セクターごとの初任給を見てみると、高給取り一位に躍り出たのが「銀行マン」です。平均値で50,000€、日本円換算で初任給650万円!!続いて自動車のエンジニア、製剤やヘルスケア、コンサルティング、航空業界などが高給取りを占めてきます。

業界別給料

逆に、低給取り(言い方は悪いですが)なのが、旅行業界、メディア業界、建築業界で、軒並み初任給は30,000€台です。ただ、銀行やコンサルに勤めているドイツ人の友人の話によると、夜遅くまで残業があるようで、対価としてやはりそれ相応の労働が求められるようです。

3.会社の大きさで見てみる

続いて、会社の大きさによって給料を見てみましょう。日本でも、やはり大手であれば給料払いはいいですし、ドイツではそこのところはどうなのでしょうか?

Bei Firmen mit weniger als 100 Mitarbeitern liegt das Einstiegsgehalt von Absolventen im Schnitt bei ca. 36.000 Euro pro Jahr.
Bei einer Firmengröße mit bis zu 1.000 Mitarbeitern beträgt das durchschnittliche Jahresgehalt rund 38.000 Euro.
Bei Unternehmen mit bis zu 5.000 Mitarbeitern sind es etwa 41.000 Euro jährlich.
Auf weitere 2.000 Euro mehr Lohn kommen Berufseinsteiger in Konzernen mit über 5.000 Angestellten

「100人以下の従業員の会社では、初任給は36,000ユーロ程度。100~1000人規模であれば38,000ユーロ、1,000~5,000人程度の会社で41,000ユーロ、それ以上であればさらに2,000ユーロくらい増える」

とのことです。中小企業でも初任給は日本円換算で468万円!夢がひろがりますね。ちなみに、ドイツの中小企業はとても優秀で、マネージャーレベルには有名大学のマスターを卒業した人が働いていることも多々あります。中小企業だからと言って見くびってはいけません。

手元にいくら残るのか

さて、いろいろ見てきましたが、どうやら大卒であれば平均で42,000ユーロ546万円、悪くても450万円程度は貰えそうだということが分かりました。この給料は、すべて手元に残るのでしょうか?

残念ながら、答えはNOです。ここから保険などが差っ引かれ、実際の手取りはもっと少ないです。試しに、以下のサイトを参照して、いくら手元に残るのか計算してみましょう。まずは、30歳で独身、年収が42,000ユーロで計算してみます。

ドイツの手取り

http://www.brutto-netto-rechner.info/

でました!税金やら保険やら差っ引かれて、手元に残るのは29,542ユーロ、日本円換算で384万円程度になりました。あれ、思ったより残らないですね。

ちなみに、高給取りの銀行マンの平均値である50,000ユーロで計算すると、手元に残るのは34,000ユーロでした。実に32%が元の給料から差っ引かれた計算になります。ちなみに、似たような条件で日本で換算すると24%差っ引かれましたので、差っ引かれる量はドイツのほうが多いですね(すごいざっくり計算したので、間違っていても許してください)

http://digit-01.com/lifeplan/lifeplan_tedori.html

ですので、結論をいうと、ドイツで大卒者は日本より稼げる。理系、銀行マン、法律系などは特にたくさん稼げる。ただ、その分税金もたくさん持っていかれる。ということです。また、ドイツは物価も高いですので、必ずしも日本よりいい暮らしができるとは一概に言えません。

今回の記事の参考文献:
https://www.absolventa.de/karriereguide/arbeitsentgelt/einstiegsgehalt