ドイツ人が日本に対して抱いている10の勘違いイメージ

マルコポーロが東方見聞録の中で東洋のはるか彼方に燦然と輝く理想郷として紹介して以来、神秘と謎に包まれた「ジパング」という国は、欧州人のあこがれの対象となりました。

やがて時が流れ、21世紀になった現代でも、いまだに、多くのドイツ人にとってこの東洋の島国は神秘的なものであることに変わりはありません。

それゆえ、中には思いもよらぬ勘違いをしているドイツ人たちも存在します。

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ドイツ人がよくする日本に対する勘違い

中には微笑ましいものもあれば、多少政治の絡んだきわどいものまでありますが、ドイツに滞在中に出くわしたドイツ人たちの日本に対する勘違い集をまとめてみました。

1.日本人は手を合わせてお辞儀する

なんかよくドイツ人、というか欧米人が勘違いしているのが、日本人は両手を合わせてお辞儀するというモノです。なので、ちょっとお調子者のドイツ人なんかは、日本人を見るとこのスタイルを真似してきますが、神社以外で我々はそんなことしませんし、タイか何かと混同しているのかと。

ドイツ人の日本に対するイメージ

(写真出典:タイ国際航空HPより)

2.日本人は日本食しか食べない

ドイツ人の友人の実家に泊まると、よく豪華な朝ごはんや夜ご飯が出るのですが、なんか申し訳なさそうに「ごめんね、うちにはお米は無いのよ」とドイツ人のお母さんに言われます。いや、僕らはパンも食べるしコーヒーも飲みますよ、というとなんか驚かれます。

3.日本人は柔道の達人である

一度、ドイツ滞在中に友達に誘われて柔道のクラブ活動に参加したのですが、私は柔道なんて高校の体育の時間にすこし齧っただけで、背負い投げも大外刈りも知りません。ところが、私が道着を着ると、周りのドイツ人の目がこっちに集まってしまい、私が下手な受け身を披露した瞬間、悲嘆と失笑の入り混じったどよめきの声が洩れました。

映画の中に出てくるような、小柄なアジア人の老人が、大きな男性をばったばったとなぎ倒す姿を期待していたのかも知れませんが、残念ながらそんなことは滅多におきません。

4.日本人は神道の信者である

ちょっと日本文化を齧ったことのある外国人がよく勘違いしているのが、日本人は「神道」という日本特有の宗教の信者である、ということです。これは歴史や天皇制とも絡んでいるのでややこしいところですが、すでに神道というか八百万の神的な考え方は日本の文化に溶け込んでしまっているので、道で会った日本人に100人聞いたところで、「私は神道信者だよ!」という人を見つけるのは難しいと思います。

5.日本の支配者は天皇である

中にはちょいちょい、天皇が日本を統治していると思い込んでいる欧米人もいますが、エリザベス女王が国政に口を出すのか、というのと同じだと言ってあげましょう。

6.日本食は健康食である

アメリカのマヨネーズたっぷりのファーストフードなんかよりはましかと思いますが、塩分多いですし、あまり食いすぎるとやっぱり体に良くないかと思います。ちなみに、ドイツ人がきたとき、お好み焼きを食べられるお店に連れて行ったら、こんな油っぽいものは日本料理じゃない!と驚いていました。

7.サムソン、ヒュンダイ、Huaweiは日本の企業である

かつて、中韓の企業は世界に進出するために、さもメイド・イン・ジャパンであるふりをしていました。CMで相撲レスラーを使ったり、ヒュンダイもホンダのエンブレムにそっくりの「H」を用いたりと、もはやドイツ人の間ではどれが日本企業でどれが他のアジア企業なのか分からない状況です。

ちなみに、昨今ドイツで大ブームとなっている「Superdry 極度乾燥しなさい」(日本語でシャツにそう書かれている)という服飾メーカーは日本と縁もゆかりもないイギリス発のブランドのようです。

欧州でブームのsuperdry

(写真出典:ロンドン空港HP)

8.日本に行けば白人男性は無双できる

一部当たっているところもあるかもしれませんが、多くのドイツ人男性が、日本に行けばあまりイケてない自分でもワンチャンあるという謎の幻想を抱いています。日本人は白人が好き、白人の自分が声かけたら、向こうから喜んで付いてくる、と思っている欧米人も少なくありません。

私は、白人がどこまで日本でモテるか、というのは、メジャーリーガーが日本のプロ野球にきてどこまで打率が残せるか、というのに似ていると思います。確かに、体格的にもドイツ人のほうが恵まれているので、基本的にモテる要素はそろっていますが、かといってドイツで全くイケてないドイツ人が日本に来て無双できるほど甘くはないですし、それなりに現地に溶け込む努力をしないといけないかと。

9.日本人は箸でなんでも食べる

中華料理屋など、箸を用意している店に行くと、よくドイツ人たちが私の一挙手一投足に注目します。つまり、日本人である私は、果たしてどんなものでも箸で食べられるのか、という疑問です。

中には、宮本武蔵が箸で蠅を捕まえた、というエピソードを知っている者もおり、期待は高まるばかりのようですが、いくら私でも、ぱっさぱさのチャーハンや汁物を箸では食べられませんし、店主も、箸のほかにスプーンくらいつけてくれてもいいのに、と思います。

10.日本とはこの世の理想郷である

日本にも、ドイツをまるで理想郷のように思っている人がいるのと同様、ドイツやその他欧州の国々にも、似たような幻想を日本に対して抱いている人口が、一定割合存在します。彼らの中では、日本は、すべての日本人は優しく礼儀正しく、高度に発達したロボットが仕事を行い、街は清潔でモラルに溢れ、それでいて古き良き文化が守られている、というまさに夢の国のようです。

私は日本とドイツ以外にもいくつかの国に住んだことがありますが、この世に理想郷なんて存在しません。どの国にもいい点があり、悪い点があります。