ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン・・ドイツの自動車産業を見てみよう

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ドイツはEU経済の中心ということもあり、多くの有名企業が存在します。このカテゴリでは、ドイツの有名企業や産業と、その特徴についてまとめていきたいと思います。

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ドイツの企業事情

企業はドイツ語でUnternehmenです。ドイツの株価指数として有名なのは、フランクフルト証券取引所の主要銘柄30で構成されているDAXで、日本人が知っているところですと、アディダス、ダイムラー、シーメンス、フォルクスワーゲンなどが銘柄として数えられています。

ドイツの産業は、一時東ドイツとの統合の影響で停滞を見せたとはいえ、GDPベースでいまだに日本に次ぐ世界3位の実力を見せ、EU経済をけん引する原動力になっています。金融業、工業、自動車産業、環境エネルギー業などが特にドイツのメイン産業で、これらを中心にドイツ経済は安定を見せており、周辺国からも大勢の労働者が雇用を求めてドイツを目指します。

自動車関係

ドイツの自動車産業は、工作機械と並んで、ドイツ経済をけん引しているエネルギーの一つでもあります。VWの不正の件で若干の信用低下はあったものの、やはりアウディやベンツ、BMWといったドイツ社への信頼は根強いです。

1.ダイムラー

日本では高級車として有名なメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)はここのブランドです。本拠地はシュツットガルトに置かれ、売り上げ台数は世界で200万台程度と、トヨタやVWの5分の1程度ですが、売り上げは1500億ドル程度で、世界の自動車産業では5~6位くらいにランクインしています。

ちなみに、第二次世界大戦中に活躍したパンター戦車は当時のダイムラー・ベンツ社の開発で、また、ベンツはヒトラーにも愛用されていたという関係でした。他にも、メッサーシュミットBf109など、ドイツの主力戦闘機にもダイムラー社のエンジンは使われています。

Wir sind eines der erfolgreichsten Automobilunternehmen der Welt. Mit den Geschäftsfeldern Mercedes-Benz Cars, Daimler Trucks, Mercedes-Benz Vans, Daimler Buses und Daimler Financial Services gehört die Daimler AG zu den größten Anbietern von Premium-Pkw und ist der größte weltweit aufgestellte Nutzfahrzeug-Hersteller.

『我々は世界で最も成功した自動車会社の一つである。メルセデスベンツや、ダイムラー・トラック、メルセデスベンツ・バン、ダイムラーバス、そしてダイムラー金融などがダイムラーAGに属しており、世界で最も巨大な高級車販売会社で、かつ輸送車販売会社でもある。』

ドイツのサイトを見ていると、日本のモノよりも価格設定が安くなっており、私の大学の友達も中古車で持っている人が何人かいます。

2.BMW

ドイツ一物価が高いと言われているミュンヘンに本拠地を構える、ドイツを代表する自動車会社の一つです。ミニクーパーで有名なMINIや、イギリスのロールスロイスなどもこのBMWの傘下に入っています。

世界での売り上げ台数は180万台程度、売上高は1000億ドル程度です。ホンダの売り上げ台数が400万台程度で、売上高は大差ないので、BMWの収益構造の良さがうかがえます。

元々は航空機のエンジン開発会社としてスタートしたこともあり、第二次世界大戦中は上述のダイムラー同様、ドイツの戦闘機のエンジン開発に一役買っています。有名どころでは、フォッケウルフFw190などのエンジンがBMWです。

Mit ihren drei Marken BMW, MINI und Rolls-Royce Motor Cars setzt die BMW Group über alle relevanten Segmente der internationalen Automobilmärkte hinweg gezielt auf Premium-Qualität

『BMW,MINIそしてロールスロイスの3つのシンボルが、BMWグループを、プレミアムなクオリティに狙いを定めた、世界中の自動車グループの更なる高みへと持ち上げるのだ』

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当たり前ですが、ドイツ国内ではBMWはよく見かけます。友達と話していても、将来なんの車を買いたい?と言う話題になった時に、ベンツやVWではなく、BMWが出て来るので、一応、ドイツでも高級車としての印象はついているのでしょう。

3.フォルクスワーゲン

現在不正発覚で揺れに揺れているフォルクスワーゲンですが、いまだにドイツ国内での知名度は健在です。アウディやポルシェと言った高級車も一応現在のところフォルクスワーゲングループの傘下にありますし、世界で最も大規模な自動車グループの一つと言ってよいでしょう。

さて、フォルクスワーゲンの起源ですが、ヒトラーが提唱した政策の中に、ドイツアウトバーンの整備とオートモビリゼーションがあり、そこで積極的に国民車の普及が推奨されました。そんな背景の中つけられた名前が『Volkswagen=フォルクスワーゲン(大衆の車)』です。

最も、戦前・戦中はVolkswagenとは名ばかりで、軍事産業に従事しており、実際に国民の役に立ち始めたのは戦争が終結し、工場がイギリス軍の傘下に置かれるようになってからでした。ドイツの戦後の立ち直りを初期から支えた由緒正しい会社というわけです。

そんなフォルクスワーゲンが、今回2015年に排ガス不正を犯したことは、ドイツ全土を揺るがす大問題でした。今後の展望が気になるところです。

„Der Eindruck täuscht“, sagt ein Gebrauchtwagenverkäufer. „Ich habe in den vergangenen zwei Monaten sehr gut verkauft – auch Diesel.“ 40 Stück in acht Wochen, 260 seit Jahresanfang, ein Drittel davon Diesel.

『「VWの印象に裏切られたよ」そう語ったのは中古車ショップの店員である。この2ヵ月でVWの車はとてもよく売れたんだ、もちろんディーゼル車も。2ヵ月で40台、年初めからだと260台で、そのうちの3分の1がディーゼル車だ。』

とうわけで、いまだに多くのディーゼル車がドイツに出回っているわけですが、果たしてこの先どんな解決方法が待っているのでしょうか。

おまけ. トラバント

VEBザクセンリンクという会社が開発した、東ドイツの象徴ともいえる国民車です。今でも、ノスタルジーな感覚でトラバントという単語が出てきます(日本人が三丁目の夕日を懐かしむ形)。

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映画やテレビなどでもこの『トラバント』はたびたび登場してきますし、東ドイツのジョークのネタとして時々ドイツ人が口にしますので、覚えておいて損はない車です。