卒業は難しい?ドイツの大学・大学院における単位認定のシステム

ドイツの大学は、日本の大学同様、とにかく単位(CP/クレジットポイント)が必要になってきます。アメリカの大学同様、入るのよりも卒業するのが難しい、と言われており、確かに、わたしも在学していて卒業できるのか、と思うことが幾度もありました。

今回は、ドイツの大学の単位システムについてまとめていきていと思います。

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ドイツの大学院の単位システム

私の専攻は文系(ドイツでは経済、商学関連の授業は理系に分類されますが)ですので、ここで紹介する単位システムは基本的に、私の在籍する大学のシステムに基づいています。

私の大学院の場合、卒業までに120CPが必要で、そのうちの30CPは卒論、残りの90CPは講義やセミナーなどを駆使して単位をなんとか稼がなくてはいけません。

ドイツで単位を取るには、基本的には以下の3つの方法があります。

  1. 講義(期末試験)
  2. セミナー(セミナー論文+プレゼンテーション)
  3. 語学コース

他にも、インターンシップを単位認定したり、研修旅行のようなもので単位認定されるところもありますが、ここではオーソドックスなものだけ紹介していくことにします。

1.講義(期末試験)

ドイツの大学・大学院で単位を認定されるのに一番オーソドックスなものです。これに関しては日本と変わりません、講義を受講し、期末試験でよい点をとれば、単位を得られる仕組みです。

日本の講義と違う点は、出席点、宿題点などは与えられません。つまり、期末試験の一発勝負のみで成績が決まります。いくらすべての授業に参加していようが、いくらたくさん発言しようが、温情は与えられません。

逆に言えば、最終試験でよい成績さえ収めればよいので、授業に一回も参加せずに、友達にノートなどを借りて試験を受け、単位を貰うことも可能です。例えば、インターンシップなどでセメスター中ずっと大学には通わないけど、試験の日だけインターンシップを休み、試験を受けに来る、というやり方がやろうと思えばできるのです。

2.セミナー(セミナー論文+プレゼンテーション)

セミナーにも、プロジェクトを立ち上げたり、研修旅行をしたりして単位を稼ぐものもありますが、オーソドックスなものは、セミナー論文を書くことと、それについてのプレゼンテーションを行うことです。

セミナー論文は、Quantitative(定量的)リサーチと言われる、いわゆる統計学的な論文か、またはQualitative(定性的)リサーチという、理論構築に的を絞った論文かなど、種類が分かれます。また、形式としても、一人で書くのか、グループで書くのかなど、セミナーによって異なります。

いずれにせよ、一発勝負の期末試験とは違い、毎日のように図書館やパソコンルームにこもって黙々と英語の文献を読み漁り、論文を書き続ける作業で、集中力が要されます。一日中パソコンと向き合っているので、セミナー論文を書くたびに視力が低下していく気がします。

そして、ドイツの締め切りは「絶対」ですので、1分、1秒でも遅れたら受け取ってもらえません。私は、提出日の前日は、寝過ごしたらどうしよう、といつも気が気ではありません。

また、一度、提出時間10分前まで作業をしていたことがあり、慌ててホチキスでセミナー論文をとめたら、そのまま指まで貫通し、血染めのセミナー論文を教授に提出したこともあります。

ドイツの大学院でセミナー講義を受講してみる

3.語学コース

上述の殺伐とした2つの単位認定方式と異なり、語学コースによる単位認定は割と穏やかな雰囲気に包まれています。そして、語学コースによる単位認定は、割とよい点数がもらえることが多く、単位ロンダリングの抜け道として使われます。

ただ、大学院の語学コースで受講し(少なくとも私の大学院は)、単位認定してもらえるのは「母国語」「ドイツ語」「英語」以外で、それも、B1レベル以上の水準に達していないと認めてもらえません。

具体的には「スペイン語」「中国語」「ロシア語」「イタリア語」などが、大学の語学コースには用意されています。日本の大学でいう「第二外国語コース」のようなものです。

ただ、大学のほうはもっとその基準が緩いようで、A1レベルで単位がもらえた、テニスの授業で単位がもらえた、という話も聞きました。

必修科目、専門科目、選択科目

先ほど、卒業までに120CP必要だと書きましたが、さらに細かい内訳を書くと、そのうち25%が卒論で、25%必修科目、30%専門科目、20%選択科目です(私の大学院の場合)。

必修科目とはなにかというと、大学院在学中に「必ず合格しなくてはいけない」科目です。これに合格しないと、卒業できません。そして、この必修科目の個数は限られていることが多く、私の大学院の場合、5つある必修科目のうち、4つを履修しなくてはいけません。

なお、私の大学院のシステムで、同じ科目の試験を受験できるのは3回までなので、5つの履修科目のうち、2つ以上、試験をパスできない科目が発生すると、自動的に「卒業できずに詰む」状況に陥ります。

専門科目とは、いくつかある専門講義のうちから、自分で選択して履修できるもので、先ほどの必修科目に比較すると、かなり自由がききます。

最後の選択科目はさらに自由で、上述の「語学コース」であったり、場合によってはプロジェクト、他学部の講義、なども単位認定することが可能です。この「選択科目」では、よい成績を稼いでおきたいところです。

大学・大学院の成績はどれくらい必要か

まず、大学生の場合、将来大学院に進学することや、いい会社に就職することを考えると、2.0以上(GPAでいうところの3.0)の成績は欲しいところです。

大学院の場合も事情は同じで、やはり将来いい会社に就職したいと思ったら、2.0をターゲットに頑張っていく必要があります。ただ、この2.0という数字は、大学院からドイツにきた日本人にとっては割ときつい数字です。

少なくとも、日本の大学のノリで一夜漬けなどをしていては絶対にとれない成績ですので、注意しましょう。ちなみに、私の大学院の推奨している、一科目につき自習する必要のある時間は「130時間」です。1セメスターにつき5科目履修する必要があるので、合計で650時間、4ヵ月平均にならすと(1セメスターは休暇期間を除き4ヵ月なので)毎日「5時間半~6時間」自習し続ける必要があります。

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