私のドイツ留学9:ドイツの大学院へ進学、ぶち当たった試験の壁

よく外国人は「海外に生活したことのある日本人と、したことのない日本人は全く別の人種のようだ」と言います。前者は、オープンマインドな性格で、後者はどちらかというとethnocentric(自民族主義)的な色合いが強い、というニュアンスでしょうか。

しかし、おそらくそこまで極端でないにしろ、私もドイツで同じ印象を抱きました。つまり、海外志向のドイツ人、ないしは海外で生活したことのあるドイツ人はわりと我々日本人にとっても話しやすく、そうでないとコミュニケーションが難しい、ということです。

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ドイツの大学生になる

以前、私は語学学校時代にすでにタンデムを通じてドイツ人の学生の友達、というものを多かれ少なかれ持っていました。今思えば、日本人のグループにもいろいろあるように(オタクグループ、オープンなグループ、おしゃれなグループなど)、私の知り合ったドイツ人グループは、いわゆる「国際色の強い」グループだったように思われます。

彼らのうちのほとんどが海外生活の経験があり、それゆえ、おそらく私がその輪の中に入っていっても、割と受け入れてくれる土壌を持っていたのでしょう。

私は、ドイツ人はみんなそんな人々ばかりだと思っていたので、大学に入っても友達を作るのにそこまで苦労しないだろう、と思っていましたが、そうはいきませんでした。私の大学の同級生のメンツは、あまり国際色の強くない、例えば海外留学経験がない、アジアのことを知らない、ようなメンバーでした。

どんなことが問題かというと、彼らは自分がその立場に置かれたことが無いので、いわゆる「外国人の気持ち」を考えません。物凄い早口で話す、会話をこちらに全くふらない、などです。これは差別ではなく、ドイツ人、もしくはヨーロッパ人のいわゆる「典型的」な性格です。彼らは、他の人々に対してそこまで気をつかいません。自分の話したいことだけを話すのです。

私にとって、最初の1ヵ月くらい、このメンツについていくには骨が折れました。なにせ、こちらもTestDafに合格したとはいえ、こうもスラングだらけの、早口のドイツ語のメンバーの中で生活したことは無かったからです。これは私にとっていわゆる「ドイツ流の洗礼」でした。

それでも、類は友を呼ぶ、というのか、同じ講義の中で似たような境遇のロシア人や、韓国人などの仲間の輪が広がっていきました。同時に、少しずつ、パーティやイベントを通じて、ドイツ人の友達も増えていきました。

どんな友達ができるのか、これはもう「自分にあう友達」としか言いようがありません。私にとって、難易度が低いのは「ドイツ人以外の留学生」や「海外経験のあるドイツ人」です。その海外経験がアジアですと、ハードルはさらに下がります。彼らは、自分が異国で暮らした経験があるので、こちらの気持ちが理解できるのですから。

話はちょっと変わりますが、ビジネス関連の用語で「アプサラ・モデル」というものが存在します。つまり、企業が海外進出を目指す際、近場の、環境の似た国から展開していき、ノウハウを得たうえで次第に遠くへ向かう、というものです。

私は、ドイツで友人をつくる際にも同じことがいえると思います。最初は、割と日本に興味があったり、海外慣れしているドイツ人の友人を捕まえ、慣れてきたら、他のグループにも手を出していく、といった様子です。最初からドイツドイツしたグループにいきなり突撃するのは、少なくとも私には難しかったです、今は平気ですが。

授業開始と試験

さて、友人問題と並行して、ドイツのセメスターが開始すると同時に、長い、試験との戦いが幕を開けます。いろんな記事で書いていますが、ドイツで単位を取得すること、試験で良い点をとることは簡単ではありません。

しかも、ドイツの良い企業で就職するには、いい成績が必要です。大学院のセメスターはわずか4セメスター、そのうち最後のセメスターは卒論ですので、正味試験を受けるのは3セメスターだけという形で、1セメスターが非常に重い意味を持つのです。

私の場合、当然のことながらドイツで講義を受けるのも試験を受けるのも初めてですので、勝手が分かりません。講義には、できるだけ講師の言った予習をおこなって望み、終われば真面目に復習をします。そんなわけで、生まれて初めて受けたドイツでの期末試験の成績は「2.7」でした。いい企業に就職するためには2.0を取りたいところですので、その意味ではまだまだ物足りない成績ですが、生まれて初めて外国で受けた試験、という意味ではまあまあ及第点でしょう。

ところが、これで緊張の糸が切れたのか、続いての試験で4.0という、落第すれすれの成績、さらに次の試験では5.0(落第)という成績を残してしまいます。まだ試験を2つ残していましたが、これらを準備不足で受けたら同じ結果になることが目に見えていたので、これらは休み期間に後回しにします。4セメスターしかないのに、最初のセメスターでこんなに悪い成績を続いて残してしまったら、挽回ができなくなってしまいます。

試験を受けるにあたって苦しんだのが二つ。一つ目は、言語的な問題です。そもそもドイツ人が「問題量多いよね」と文句を言うような試験ですので、これを日本人である私がドイツ語で取り組むと、そのさらに2倍の労力がかかることは想像するだに難くないでしょう。

次いで、ドイツの学部の形式上、私の学部時代に卒業した「商学部」は、ドイツでは「理系」に分類され、たくさんの統計的、数学的な知識を要するのです。この2点のハードルにより、最初の1学期目はとんでもない成績をたたき出してしまったわけです。

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