TestDafには必須:ドイツの科学事情を知るためには雑誌と書籍を!

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前回『Quarks&Co』というドイツの科学番組についてまとめました。普通に娯楽テレビとしてみても面白いですし、TestDafのような科学系の記事をたくさん読ませられるテストにも使えます。

映画はスラングなどもでてきて割と敷居が高いのですが、教育ビデオなどでは割と分かりやすいドイツ語を使ってくれるので勉強がしやすいです。今回は教育テレビの王道『Quarks&Co』についてまとめていきます。

今回は、同じようにTestDaf対策としてドイツの科学的な記事に慣れる意味で、科学系の読み物に関してまとめていきます。

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ドイツと科学

科学はドイツ語で『Wissenschaft』です。日本では狭義の科学として主に『自然科学』を指しますが、ドイツ語のWissenschaftはどちらかというと『学問一般』をさすようなイメージです(個人的には)。

そしてノーベル賞について以前少し触れましたが、ドイツはかねてより科学大国です。

81人のドイツ人が、特に科学の発展に寄与したとして、今まで賞を与えられているということです。

昔に言及すればアインシュタインもイマニエル・カントもグーテンベルグもドイツ人ですし、戦争中は謎の兵器をばんばん開発しましたし、戦後も多くのドイツ人学者が科学や技術分野で活躍しています。

語学系のテストでも読ませられるのは科学系のジャンルが多いですし、主婦や子供たちも科学好きが多いです。ドイツという国の土壌がそうさせているのか知りませんが、科学熱の高い国であることには違いありません。

これは恐らく、国の方針でしょうか研究者のみならず国民全体に『啓蒙』の風潮がそなわっているのだと思います。そんなわけで、もしわれわれがドイツ語の勉強用、ないしは趣味として科学系の読み物を探す際には、選択肢にはあまり困らないのがドイツという国です。

例えばインターネットやYoutube検索で『Wissenschaft』と入力すれば多くのニュース、テレビ番組、書籍などがヒットしますし、知り合いのドイツ人にきけば『この雑誌がお勧めだよ!』と快く教えてくれるはずです。

そんなわけで、大学・大学院入試には欠かせないTestDafの試験などでも、頻繁に科学系の問題が出題されることがあり、日ごろからこうした分野の読み物に慣れておくと、試験で割と対応しやすくなります。

以下、お薦めの科学雑誌・書籍および文章の構成についてまとめていきたいと思います。

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科学系の雑誌

個人的におすすめなのは『Psychologie Heute(直訳:こんにちの心理学)』と『Geo』の2つです。両方ともそこいらのタバコ屋でも売っています。

教科書ではなく、普通にドイツ人が読み物として読むものですので、難易度はそれなりに高めですが、逆に言えばこうした科学雑誌を辞書なしで80%以上理解できれば、語学レベルで言うとC1以上の実力はあると思います。

ドイツ語の雑誌

ドイツ語の雑誌

ちょっと記事をいくつか例にとってみましょう。例えば、以下のコラムは12月号の『Psychologie Heute』にのっていた記事です。

Lächeln macht glücklich, selbst wenn wir uns gerade gar nicht wohlfühlen. Das schienen psychologische Studien in der Vergangenheit zu bestätigen.. Auch eine Erklärung war schnell gefunden :Demnach interpretiert unser Gehirn unseren Gesichtausdruck.

『笑うことで人々は幸福を感じることができる。たとえ全く楽しく思っていなくても、だ。この通説はかねてより証明されていたことのように思える。また、その帰結として、笑うことで、我々の脳は我々の表情に準じて同じく楽しく思ってくれる、ということもすぐに発見されたと。』

ドイツ系の科学コラムの定石ですが、最初にテーゼが出されます。多くの記事で「通説では以下のように」いわれている、というところから始まります。

そこにアンチテーゼとして、科学者が独自の理論を発表していく、というのが多くのやり方です(この定石を覚えておくと、結構科学雑誌が読みやすくなります)。

Die Marketingwissenschaftlerin Aparna Labroo von der NorthwesternUniversität in Evanston stellt diese Sichtweise infrage.

『マーケティング研究者であるNorthwestern大学(Evanston在)のAparna Labroo女史が、この通説に疑問を投げかけた』

ドイツの記事ですとよく、ここから記事が面白くなっていく、という印に『疑問を投げかけた!』みたいな表現がよく使われます。この場合ですとinfrage stellenで疑問を投げかける、という意味です。

こっから、実験をおこなって実際はどうなのか、ということを証明して、新しい仮説を打ち立てる、というのが科学記事の定石です。ちなみにこの記事では、日本のことが『日本人は怒りを隠すために苦笑いをする』とも紹介されていました。

帰結として、必ずしも無理矢理笑う事=嬉しい感情と直結しない、とこの記事では結論として言われていました。

あくまでこれは記事の一例ですが、他にも『10,000時間物事をやり続ければその分野のエキスパートになれるのか?』といった同じくアンチテーゼ系の記事や『物に溢れた社会から心を解放するためには』みたいな自己啓発的な記事ものっています。

雑誌の中身

雑誌の中身

もちろんこうした心理学、科学、宇宙学などいわゆるドイツ語でいう『Wissenschaft』は、好き嫌いが別れる分野かと思いますが、個人的には雑学の勉強にもなりますしドイツ語の勉強にもなります。

特にTestDafのように、難しい科学系の文章を読まされ、選択肢にこたえるような問題形式の場合、このような科学系の記事を毎日1つでもよいので読んで、要約して先生などに添削してもらうといいでしょう。あくまでも、TestDafのような試験形式で重要になってくるのはすべてを理解することではなく、要点を理解することですので。

科学系の書籍

科学分野は雑誌でも豊富ですが、本屋にいけば科学系の書籍がたくさん見つかります。分野でいうと宇宙、生物、化学、環境、自然、物理などなどです。

書店の科学コーナー

書店の科学コーナー

なにを読んでいいか分からなかったら、とりあえず私は『Spegel Bestseller(シュピーゲル一押し)』みたいに書かれている本を読んでいます。Spiegelとは以前紹介しましたが、ドイツの人気雑誌で、その中で紹介された本は本屋でもホットな扱いをされます。信用度的には『週刊文春一押し』くらいのニュアンスです。

もともとDer Spiegelは週刊誌で、ドイツどころかヨーロッパで有数の発行部数を誇る会社です(発行部数は一時期110万近くありましたが、現在はライバル誌の台頭やオンラインへの移行、週刊誌離れなど要因が重なって90万を切ってる状況です。)

もし日本からドイツの面白い本を取り寄せたいという場合はAmazonでも購入できますし、Spiegelベストセラー一覧は以下のサイトでも閲覧することが可能です。

Spiegel bestseller

Spiegel bestseller

http://www.spiegel.de/kultur/bestseller-buecher-belletristik-sachbuch-auf-spiegel-liste-a-458623.html

ちなみに科学系の本を本屋で買うところのデメリットは、基本的にハードカバーだということです。日本のように気軽に読める文庫本も無くはないのですが、以下のようにクラシックなものが比較的多いです。

ドイツ語の本

ドイツ語の本

Reclam Sachbuch(レクラム書房 実用書)と書かれています。個人的にはこの書籍の立ち位置は日本でいう『岩波文庫』のような扱いだと思っています。他にも多くの文学、哲学、科学部門の本を扱っていますので、ドイツ語の古典などを読む際には重宝すると思います。値段も高くないですし、なにより軽いので持ち運びに便利です。

また、こうした生きたドイツ語を読んでいると基本的に辞書にのっていない単語がしばしば登場しますが、そうした場合はwikipediaでドイツ語検索、それから他言語で閲覧で日本語を選ぶとのっていることがあります(病名、科学用語などこうしたケースが多いです)。