日本に一時帰国した際に行う手続き:住民票を戻すメリット・デメリット

ドイツ(国外)に何年か生活していると、時には日本に帰国するケースもあると思います。それが短期の旅行なのか、半年スパンの長期的な休暇なのかは人によるところだと思いますが、そうした際にも、事務処理的なお役所仕事はついて回ります。

今回は、ドイツに長期滞在している人が、日本に一時帰国した際にやらなくてはいけない事務手続きに関してです。

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日本への一時帰国と住民票

まず、日本に一時帰国した際に、一番初めに考えなくてはいけないのが、住民票を提出するかどうか、の問題です。住民票を提出すると、健康保険、年金、住民税など、国民の義務としての事務処理及び支払いが鬼のように押し寄せてくることになります。

では、住民票を戻すかどうかの判断はどうしたらよいか、と聞かれると、これは曖昧です。そもそも、短期での日本帰国(1か月以内程度)の場合、市役所・区役所によっては住民票を引き受けてくれないケースがあります。

ただ、これもまた微妙なところで、申請時に「1か月しか日本に滞在しません」と馬鹿正直に言おうものなら、断られてしまうケースもあるのですが「基本的には再び日本に住みたいと思います」というスタンスで住民票を戻し、一か月後に「やっぱり国外に行くことになってしまいました」という「イレギュラーな事態」が発生した体で再び住民票を抜く、というのは私の知る限りセーフのようです。

逆に、住民票の抹消に際しても、基本的には「1年以上の海外への滞在」の場合にみ住民票を抹消することができるのですが、「1年のつもりで海外に出ていって、やっぱり急用で3ヵ月で日本に帰ってきてしまった」というのは市役所に確認した限り大丈夫なようです。

後述するように、住民票を戻したり抹消したりするのはメリットもデメリットもありますので、とりあえずそれらを確認し、最終的に住民票を戻すのかどうかの判断をしてください。

住民票を戻すことのメリット

まず、最大のメリットは、国民健康保険に加入することができるようになることです。例えば、ドイツ在住中に病気にかかった、虫歯になった、でもドイツの医者は嫌だ、日本の医者に掛かりたい、という際には、日本で診察を受ける必要が出てきますが、ここで健康保険に加入していないと、100%自己負担になってしまいます。

特に、一度社会人を経験してしまうと、親元の健康保険には再び紐づけてもらえなくなりますので(ドイツの大学生になったら再度受け入れてくれる組合もあります)、この健康保険の問題は、一時帰国者にとっては死活問題です。そのため、上述のような理由がある場合には、住民票を戻すメリットがある、ということになります。

また、遺産相続、不動産売買など、印鑑登録が必要な場合などにも、住民票がやはり必要になってきます。

そして、海外在住者にとってもう一つ頭を悩ませる問題が「マイナンバー」です。マイナンバーは日本人に支給されるのではなく「日本に住民票がある人」に支給されるものですので、海外に滞在している日本人には支給されません。

これによって、クレジットカードを作ったり、海外送金を受け取ったり、という際にトラブルが生じることになります。また、日本滞在中に短期でバイトをしたい、という際にも、マイナンバーの提示を求められるケースがありますので、注意が必要です。

ですので、こうしたマイナンバーにまつわる問題を解決するために、住民票を復活させ、マイナンバーを手に入れる、というメリットが生まれます。

住民票を戻すことのデメリット

続いて、住民票を戻す際のデメリットに関してです。上述の通り、健康保険に加入できるようになりますが、同時に保険料の徴収が開始されます。また、健康保険だけでなく、年金の徴収も再開されてしまいます。

ただ、年金に関しては、前年度の日本での所得がない場合、免除申請を行うことができますので、これに関しては、健康保険と違い、窓口で適切な申請をすれば免除される可能性が大きいです。健康保険は免除してくれません(免除のためには書類を書いて窓口で待って提出しなくてはいけませんので、この事務手続き自体は非常に面倒です)。

また、住民税の支払い義務も発生しますが、その年の1月1日に日本にいなければ問題ありませんし、日本での収入がなければまた問題ありません。